夢の中の妖達

葉月

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水掻きのあるヒト

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 僕の名前はマコト。僕は不思議な夢をみる。

 いつから見ているのだろう。たぶん、夢なんだと思うけれど、その夢は凄くリアルさを感じるんだ。

 感じるはずの無い痛み、匂いが伝わってくるんだ。昨日見た夢は、何処となく恐怖を覚えたんだ。

 その夢は、僕に似ていて、僕とは違う姿をしていたんだ。

 キラキラと水面に映る夕暮れ。僕の一番好きな時間。此処は僕の目に映る現実とは違う世界のようでワクワクし、心が躍った。

 夕暮れは、色んなイロを魅せてくれる。
黄色に染まっていた空が赤紫、紫、青紫へと変化していく。変化していく空は、見る人によっては、違うイロを言う。だから僕は、夕暮れが好きなんだ。

 僕は夕暮れ刻を歩き、あてもなく歩いた。。何故、そう思ったのかは僕にも分からない。

 空がだんだんと赤紫から青紫へ姿を変え夜になるのだろうか。徐々に街へ向かう道には、お祭りなのだろうか。街路灯代わりの提燈が数多にある。

 「お祭りであるのなら、嬉しいな。あのレトロな雰囲気、出店、神輿、活気に溢れている人達。あー。考えるだけでワクワクしてきたよ。」

 周囲を見渡すと、そこには、道端で行列をなすヒト達がいた。一瞬目を見張った。何故!?そのヒトの足は、片足だけで、こちら側で言うカエルの様な水掻きが生えている。

 先頭のヒトは、着物を着ており、他のヒトは、頭に藁で出来た三角の帽子を被り、腰や胸回りに薄い布だけを纏っている。

「何処に行くの。」

 尋ねる気なんて全くなかったのに、僕は思わず声に出してしまった。

「「彼処にある鳥居まで行って、」」

「だけど、までに入らないと、元気な脚は、貰えないんだ。一刻でも過ぎれば、元気な脚は貰えず、今ある脚がダメになってしまうモノもいるんだよ。」

「早く辿り着きたいんだが、結構長旅だったから、この調子だとギリギリかも知れんな。焦っても元気な脚は貰えないんよ。」

 そのヒトは丁寧に優しく教えてくれた。何故、脚を貰いに行くのだろう?

 僕は、教えてくれた方角を見るや否や、身体が震えた。鳥居がある場所は、木々が生い茂り、恐怖と厳かを感じる。

「デモ、キミは脚が、二つあるから貰ってきた・・・・」

 夢はそこで醒めた。なんとも不思議な夢だった。鳥居がある所は、近づいても近づいてもいつまで経っても辿りつかないように感じた。

 あの不思議な夢。最期まで見ていたらどうなったのだろう。水掻きがあるヒト達はどうなったのか。

 
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