白雪姫の姉は辺境で静かに暮らしたい〜毒親魔女とゾンビ妹が騒がしいので、怠け者公爵との激甘スイーツ生活を死守します!〜

けんゆう

文字の大きさ
31 / 35

31 白雪姫の姉ですが竜が目覚めます

しおりを挟む
 革命軍と公爵軍は、なおも抵抗を続ける残存兵力を掃討し、その日の夜には、王都と王宮の大半を掌握した。

「公爵様、後宮の捜索隊から報告です! 国王陛下、いまだ発見できず!」

「どこへ行かれたんだ……地下道か? 隠し部屋か?」

 一方、スノーホワイト王女は満身創痍の状態で、王宮の侍医団が運び込んだベッドに横たわっていた。

「出血がひどく、全身骨折、内臓の損傷も深刻で、手の施しようがありません。今夜限りの、お命かと……」

 侍医長が、沈痛な声で告げる。

「そんな……」

 頭に包帯を巻いたアップルは、スノーホワイトのかたわらに座ると、手を握った。

「スノーホワイト……」

 スノーホワイトは目を開いて、力なく微笑んだ。

「アップルお姉様……来てくれたんだね……」
 
 スノーホワイトの声は聞き取りづらいほど小さく、その姿はまるで、灼熱の日光を浴びて溶けてゆく氷のように、はかなく見えた。

「何か……食べたいものはある?」

「冷たくて、甘いものが食べたい。これを、使って……」

 スノーホワイトはアップルに器を持ってこさせると、魔法で手のひらから氷を出し、器をいっぱいに満たした。

 アップルは王宮の厨房で、氷に塩を混ぜ、零度よりも冷たい氷水を作り出した。その氷水でアイスクリームを作り、リンゴのアイスクリームケーキを手早く仕上げる。

 それは、かつてサニーに盗まれた改良版リンゴケーキのレシピを、さらにアイスクリームバージョンへと進化させた一品だった。アップルはスプーンでアイスをすくい、スノーホワイトに食べさせる。

「はい、アーン……」

「んっ……おいしい……この味、覚えてるよ……お姉様のケーキレシピから、何もかも始まったよね。ありがとう……」

 スノーホワイトの頬に血色が戻り始め、声も少し大きく、元気になってきた。明らかに、アップルのスイーツの効果だった。

「ねえ、お姉様。私、お姉様をけっこう、憎んでたよ」

「えっ?」

「あの人の邪悪な魔法の矛先はお姉様に向かないで、全部私に向いて。私からジョンを……お義兄様を奪って。伸び伸び育って、スイーツなんか作って……でも、そう思わせるのが、あの人の策略だよね?」 

「そうよ、スノーホワイト……あの人はね、人と人を競わせて、不和をまき散らすことで、自分の存在意義をアピールする、悲しい人なの」

「お父様に、私とお母様の命を、選ばせたもんね。おかげで、私は今日まで命を得たけれど、その代わり、お父様はおかしくなってしまった……」
 
「私とあなたのこともそうよ。あなたを溺愛し、私を放置した。ジョンとあなたの婚約を破棄させ、ジョンに私を冷遇させた。全部、あの人のやり口なの」

 アップルは苦笑いしながら、スノーホワイトに向かってうなずいた。スノーホワイトの瞳に、うっすらと涙がにじむ。

「みんなをここに呼んで。言っておきたいことがあるの」

 スノーホワイトの招集を受けて、ジョン公爵、ハンター軍師、そして七人のサムライたちが集まった。スノーホワイトはベッドから半身を起こすと、静かに語りだした。

「革命軍、軍報……革命軍は、この戦いで完全なる勝利を収め……サニー王妃を廃位し、国王陛下の生存が確認できぬ今、革命軍首領である私、『白雪姫』スノーホワイトが女王として即位することを……ここに宣言します」

「スノーホワイト……」

「そして、女王の絶対的な命令権をもって……女王の配偶者、王配となるべき者を指名します」

 スノーホワイトは悪戯っぽい目つきで、その場にいた全員の顔を、一人ひとり見つめていった。

(あっ……まさか、最期の思い出に、ジョンを王配にしたいと言い出すんじゃないかしら。そしたら、どうしよう……?)

 アップルは唇を噛んだ。スノーホワイトは間をおいて、口を開く。

「ハンターさん。あなたが、私のプリンスになって」

 全員が一斉にハンターを見た。ハンターが困惑しながらスノーホワイトのそばに近寄り、語りかける。

「姫君、一体何を言い出すんだ……私は、そんな柄じゃない。身分も年も離れすぎてるし、顔だって……」

「あなたは、私を導いて、本当の人生を与えてくれた人よ。王配の資格は、充分すぎるほどある。身分や年なんて、関係ない。顔は……まあ、普通かな」

 ハンターは驚きのあまり、ポカンと口を開けたまま、しばし沈黙していた。しかしその隙に、さっきスノーホワイトが使ったスプーンで、ハンターの口へと強引にリンゴアイスクリームケーキが押し込まれた。

「ウェディングケーキを食べたわね。もう、断れないわよ」

「なっ……誓いの間接キス、とでも言いたいのか?」

 微笑を交わし合うハンターとスノーホワイトに、皆が歓喜の声をあげた。アップルがスノーホワイトを祝福する。

「おめでとう、本当に良かった……」

「うん。ハンターさんは、もう絶対に譲らないからね。取っちゃダメよ、お姉様」

「心得ました、女王陛下」
 
 アップルの答えを聞いて満足したように、スノーホワイトは弱々しく笑うと、途切れ途切れに言葉を続けた。
 
「ジョンお義兄様。あなたは、私の初恋のプリンスだったよ。今、女王として、あなたを王太子クラウン・プリンスに指名します。お姉様と、ずっとお幸せにね……ナイト、ムサシ、ミョウガ、ホーチキ、レンタロー、ゲンシュウ、キョースケ……みんな、私の大切な仲間。本当にありがとう、短い間だけど、楽しかったよ……」

 スノーホワイトは、声を出すのも辛そうにしながら、かすれた声でつぶやく。

「もう、そろそろ終わりみたいね……でも、その前に……やりたいことがあるの……氷葬殿礼ネクロマンス・グラシエル!」

 スノーホワイトは最後の魔力を放出して、氷の棺を作り出した。スノーホワイトの体はユラリと空中へ浮き上がり、棺の中に横たえられた。

「これは、自殺じゃないの……冷凍保存……この魔法の氷は、私より上位の魔法使いが解除するまで、絶対に溶けないから……遠い未来、蘇生魔法を正しく使える善い大魔法使いが現れることに、希望を込めて。おやすみなさい……」

 ハンターが、スノーホワイトの頬にそっと手を添える。

「私もいずれ、この棺に入れてもらおう。目を治してくれる、未来の大魔法使いを待ちたい」

「ありがとう……私の王配殿下プリンス・コンソート……」

 やがてスノーホワイトの全身は氷像となり、氷の中で眠りについた。

「「「姫様ぁっ!」」」
「姫君……」
「スノーホワイト……」
「さようなら、スノーホワイト。私の、たったひとりの妹……」

 その場に立ち会った全員が、声を上げて泣いた。

 スノーホワイトを元通りに蘇生できないか、わずかな可能性に賭けて、手錠と鎖をかけられたサニーが呼び出された。サニーは、極度の敗戦ストレスと魔力喪失から、シワだらけで白髪の老人に変わり果てており、かつての美貌は見る影もなかった。
 
「スノーホワイトちゃん、あなたに魔砲を当てるつもりはなかったのよォォォ、スノーホワイトちゃあああん……! ごめんなさい、私、使えないの……使えなくなってるのよぉ、蘇生魔法が!」

 やはり今の彼女には、蘇生魔法を使うために必要な魔力が無かった。激しい戦いで自前の魔力を完全に使い果たし、未だ回復していない。そして、秘密の魔力供給源として彼女の魔力を補完してきた宝玉も、既に失われていた。

「スノーホワイトちゃん……私、ブルームーンも、王様も、あなたのことも、本当に大好きだったの……あなたたち、理想のロイヤルファミリーだった……だから、私もその中に入れてもらいたかったの。ただ、それだけなの……」
 
 サニーは一晩中、踊るような滑稽な手つきで祈りながら、像の前で泣き叫んでいたが、とうとう魔力は回復せず、八時間以内に蘇生魔法を発動させることは出来なかった。

「タイムリミットだ。地下牢に入れて、二度と出すな」

 ジョンが冷徹に命令する。

「アップルちゃん……助けてよぉ。ママにひどいことしないでぇェエエエ!」

「ママ……?」

 監獄へ連行されていくサニーに、アップルは言った。
 
「私、あなたをママって、呼んだことないよ?」

「じゃあ……お母さん?」

「サニー様。大魔女様。それから、王妃陛下。そんな呼び方しか、許されなかった。ご飯もロクにもらえず、奴隷みたいに使われ、不用品扱いされた。もう、遅いよ。これだけのことをしでかしておいて、助けるとか無理だよ……」

 みじめに憐れみを乞う老いた母の顔を、アップルは険しい表情でキッと見返した。それでも、僅かに残った親子の情で、アップルの頬には一筋の涙が流れた。 

「俺があの時、怒りまくって、お義母かあさんを全力で攻撃してしまった。だから魔力を使い果たして、スノーホワイトを蘇生出来なくなったんだな……」

 サニーの背中を見つめるアップルに、ジョンが声をかける。

「ジョンのせいじゃない。私のせいよ。私が前線に出てきて、ケガなんかするから……」

「そうじゃない。スノーホワイトをいったん蘇生させてから取り戻そうなんて、他の誰も思いつかなかった。これは運命だ。お前が来なくても、王宮はいずれ、総攻撃で落ちていた……」

 ジョンはアップルの肩を、慰めるようにそっと抱き寄せた。

 その時、王宮全体が、地鳴りと共に揺れ動いた。

「な、何だ⁉」

「空に何かいるぞ!」

 夜空から舞い降りてきた黒い影は、二度、三度と王宮に体当たりを試みると、ついに屋根を突き破った。
 
「黒竜……だと⁉」

 落ちた天井の隙間から、竜の黒い顔と金色の目が覗いていた。侍医団はスノーホワイトの棺を守りながら、避難する。サムライたちはカタナを抜き、屋外へ飛び出していく。

「アップル、大丈夫か!」

 ジョンはアップルに駆け寄った。

「大丈夫よ。ケガはしてない」

「そうじゃなくてアップル、お前、目が……目が……」

 アップルの目が、ぼんやりと赤く光を帯びていた。部屋を出ていこうとしていたサニーは、立ち止まって振り向くと、ニヤリと笑みを浮かべながら、しわがれ声を出した。

「ふふ……あれは、あなたの父親よ。あの黒竜こそ、私を捨てた竜王……」

「なんですって……?」

「そうよ……なぜ私が竜族の子を産んだか、まだ話してなかったわねぇ? 私は、庶民出身だった。努力して入った王立魔法学園で、汚い、臭い、貧乏人とバカにされ、不当に扱われた。名前は陽気サニーでも、人生はずっと日陰者」

 サニーは天井を見上げた。崩れた天井の穴から、上空を悠々と旋回する竜王の姿が見える。

「あの伯爵令嬢のブルームーンばかり、もてはやされて……私は、令嬢殺害未遂の疑いをかけられ、学園を追放されて、悪質魔女として魔の森に捨てられた」

「じゃあ、まさか、あの時の生贄の女性は……」

「そうよ、ハンター!  竜族は、女が極端に少ない。だから、魔の森に迷い込んだ人間の女性には、需要があるの。あの時、あんたは私を助けに来てくれたと思った。でもあんたは、私のことを完全に忘れてた!」

 ハンターはブルームーンの護衛騎士として、学園に出入りしていた。しかし、記憶を今たどってみても、学園時代のサニーのことは、よく思い出せなかった。

「だから、あんたが竜王と戦った時、私は背後から、ただ黙って見てたのよ。勝った方につけばいいわ、ってね!」

 ハンターの顔が凍り付いた。

「私は竜王を受け入れ、アップルを産んだ。だけど竜族はね、人間の女をただの子宮としか見てないのよ。竜王は赤ん坊のアップルを連れ去り、私は捨てられた。だから、アップルを連れて逃げたの。アップルを魔王に育てて、世の中に復讐しようと思ってね」

「魔の森を、何の防護も無しに通り抜けたのか。道理で、頭がぶっ壊れてるわけだ……」

「もう二度と行きたくないわ。竜王は、追いかけてきた。だから逆に罠にかけて、宝玉の中に竜王を閉じ込めたの。あの魔力を、全部、私のものにしてやったわけ! 結局、出て行っちゃったけどね!」

 サニーはそう言い捨てると、兵士たちに地下牢へ連行されていった。アップルはうつむきながら、肩を震わせる。
 
「そんな……そんな意地のためだけに、私は産み落とされて、魔力がないからって放置されたの?」

「おい、アップル! 体が……」

 ジョンが驚きの声を上げた。アップルの全身から、紅蓮の光がほとばしる。彼女の竜の血が、今まさに目覚めようとしていたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

ひめさまはおうちにかえりたい

あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編) 王冠を手に入れたあとは、魔王退治!? 因縁の女神を殴るための策とは。(聖女と魔王と魔女編) 平和な女王様生活にやってきた手紙。いまさら、迎えに来たといわれても……。お帰りはあちらです、では済まないので撃退します(幼馴染襲来編)

処理中です...