同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優

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立夏の住むマンションは、会社から電車で2駅の駅チカマンションだ。

「お邪魔しまーす」

モノトーンな基調の綺麗に片付いた部屋は、彼の雰囲気に合っていた。

「シャワー浴びる?」
「あ、うん」

順番にシャワーを浴びる。立夏が入っている間、部屋でテレビを見ながら待っていると、しばらくして下着姿の立夏が戻って来た。

「ちょ⋯、服を着なさい!」
「え~、やだ。シャワー浴びたばっかりで暑いし」

やだって、何その子どもみたいな返し!

「昂輝も脱いでもいいよ? あ、下着は履いてね」
「脱がないから!」

なんでTシャツ着てんのに今から脱ぐんだよ!

「別にいいじゃん。男同士なんだし」

立夏はなんでもないことのように言って、冷蔵庫からビールを取り出す。まあ、ここは立夏の家なので、俺もこれ以上は何も言えない。

「昂輝も飲む?」
「え? あ、うん⋯」
「はい」
「⋯え?」

俺もビールは好きなので、くれるんなら貰おうかなと思ったら立夏が飲んでる缶を突き出された。新しいのを出してくれるという意味じゃなかった。

「なに、いらないの?」
「⋯やっぱいいや」
「そ?」

立夏は気を悪くした様子もなく、残りのビールに口を付ける。こっちに背を向けているので、均整の取れた綺麗な背中が見えた。よく最上階のジムを利用していると前に話していたから、普段から鍛えているんだろう。

飲み終わると歯磨きをして、今度はちゃんとTシャツを着て戻って来る。

「じゃ、寝よっか。ちょっと狭いけど一緒でいいよね?」
「え? 布団とかは?」
「あるけど、出すの面倒くさい」
「場所教えてくれれば自分で⋯」
「それはまた明日ね。おやすみ」
「ちょ、おいっ」

立夏はさっさと電気を消すと、ベッドに横になった。

マジか⋯。

どうしよう。床で寝る?

一応カーペットが敷かれているが、硬めのものなのでこのまま寝たら身体が痛くなりそうだ。

うー、こんなことなら会社で寝れば良かったか?

俺はそっと立夏の隣に横になってみる。あ、意外と狭くない。

ベッドはセミダブルで、立夏は細身だし、俺もガタイがいい方ではないので、男2人で寝転んでも狭いと言うほどでもなかった。

立夏は横になったらすぐに寝てしまうタイプなのか、静かな寝息が聞こえてくる。豆電はつけて寝るタイプなようで、真っ暗ではないので目が慣れると割とよく見えた。

綺麗な顔だ。睫毛長いし肌も綺麗だし、女子社員からかなり人気があるらしい。それなのに、浮いた話を聞かない。彼女がいるというのも聞いたことがない。一部ではゲイなのではとも言われている。

⋯⋯。

え、まさかそういうつもりで家に誘ったわけじゃないよな⋯? 

自分の勝手な想像に青くなりながらも、ないないと慌てて否定した。

「ん⋯」
「っ!?」

タイミングよく寝返りをうつ立夏に、ビクッと大げさなまでに反応してしまう。

はあ。何考えてんだよ俺は。

寝よ。
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