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6.恋愛と友情
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校外学習が終わると、いよいよ文化祭の準備が始まった。文化祭自体は10月だが、間に試験と夏休みが入るので、準備が出来る期間は意外と短い。
「深智のクラスはプラネタリウムやるんでしょ」
「情報早いな。大和に聞いたの?」
「ふふ。ずいぶんロマンチックなやつやるよね~」
昼休み。
漫画を貸すついでに芳賀と中庭で弁当を食べていた。ここは木陰だからまだマシだけど、そろそろ外で弁当は暑いな。
ずいぶんロマンチック、という感想は、俺も同じことを思った。だけど、飲食とかお化け屋敷とか、そういうのに比べれば準備がラクそうなのでいい。
「大和と見に来れば」
「うーん、それもいいけど、でも大和、ナレーションもやるんでしょ? どっちかっていうとそっちを聞きたい」
プラネタリウムの内容は、天文学部と文芸部が中心になって作っている。当日は何人かが持ち回りでナレーションをするのだ。
「そっか。芳賀のクラスは?」
「縁日。浴衣着るんだ」
「えっ、女装?」
「なんでそうなるの? 普通に男物だよ」
なんだ。ちょっと期待したのに。
「腐男子って女装も好きなの?」
「腐男子は関係ないと思うけど⋯。綺麗な人が綺麗な格好するのは、皆好キダト思ウヨ」
「カタコトになってるから。深智もするならしてもいいよ、女装」
「なんでだよ。意味わかんないし」
プラネタリウムで女装する必要性がわからない。眉間に皺を寄せていると、芳賀はくすくすと笑った。
「当日って、やっぱり大和と一緒に回る?」
「んー、出来ればそうしたいけど、自由時間被るかわかんないし、実行委員の仕事もあるしね」
「そうだよな」
「深智は? 暎一と回るの?」
「わかんない。暎一好きな人いるから、やっぱり文化祭とかはそういう人と一緒に回りたいのかなって」
「⋯ふーん」
相変わらず暎一の好きな相手というのはわからないままだが、時間が合えばきっとそうなるだろう。
「なんか不満そうな顔してるね」
「え? や、別にそんなんじゃないし」
「あ、じゃあアレだ、寂しそうな顔」
「それこそなんでだよ。別に寂しいとかないし」
「⋯取っちゃえば?」
「?」
何を?
「取るっていうのもちょっと違うか。まだ暎一、その人と付き合ってるわけじゃないもんね」
「なんでそうなるんだよ。俺別に暎一のこと好きとかじゃないし」
「恋愛感情じゃなくても、親友取られちゃったら寂しいんでしょ。だったら、取られないようにすればいいんじゃない?」
「⋯恋愛相談受けてるのに?」
「暎一から? マジか。ウケる」
「ウケないよ」
芳賀が言ってるのは、暎一の恋を応援しないということだ。たかが自分のわがままで。
「僕はそんなに悪いことだと思わないけどなぁ。もう付き合ってるなら、むやみに邪魔するのは良くないと思うけど、そうじゃないんだし。恋愛と友情と、どっちを選ぶかは暎一が決めることでしょ」
「まあ、そうかも」
「仮に、その好きな人への気持ちが100あったとして、それ以上の気持ちが深智に対してあって、深智の方を選ぶんだったら、暎一もその方が幸せだと思う」
「⋯そうなるように、俺が仕向けたとしても?」
それでも、幸せだと言えるのだろうか。
「まあ、あくまで僕の考えだけど」
「俺そんな器用じゃないし」
「だからいいんじゃん。器用に手の平で転がしてたらどうかと思うけど、不器用な人が失敗覚悟で頑張ってるだけなら、応援したくなるでしょ」
「⋯お前意外といい性格してんのな」
前に、美人の恋人をゲットした大和に対して、やるじゃんと言ったけれど、実は大和の方が芳賀に捕まったクチなのかもしれない。芳賀に訊いてもはぐらかされそうだから、今度大和に訊いてみよう。
「あ、そろそろ予鈴鳴るね。教室戻らないと」
「そうだな」
「これありがとう。読み終わったら返すね」
「そのまま大和に渡してくれてもいいんだけど」
「それは嫌。大和にも先に僕に貸してることは黙っておいて」
やっぱり内容チェックが目的なのか?
芳賀は意味深な笑みを浮かべて、教室に戻って行った。
なんか、濃い昼休みだったな。
前は芳賀の方が悩んでる感じで、俺が励ますようなこと言ってたのに、今日はすっかり立場が逆転していた。あの時も、俺なんかの励ましは不要だったのかもしれない。
「取っちゃえば、か⋯」
俺は軽く頭を振って思考を追い払った。
早く教室に戻ろう。
「深智のクラスはプラネタリウムやるんでしょ」
「情報早いな。大和に聞いたの?」
「ふふ。ずいぶんロマンチックなやつやるよね~」
昼休み。
漫画を貸すついでに芳賀と中庭で弁当を食べていた。ここは木陰だからまだマシだけど、そろそろ外で弁当は暑いな。
ずいぶんロマンチック、という感想は、俺も同じことを思った。だけど、飲食とかお化け屋敷とか、そういうのに比べれば準備がラクそうなのでいい。
「大和と見に来れば」
「うーん、それもいいけど、でも大和、ナレーションもやるんでしょ? どっちかっていうとそっちを聞きたい」
プラネタリウムの内容は、天文学部と文芸部が中心になって作っている。当日は何人かが持ち回りでナレーションをするのだ。
「そっか。芳賀のクラスは?」
「縁日。浴衣着るんだ」
「えっ、女装?」
「なんでそうなるの? 普通に男物だよ」
なんだ。ちょっと期待したのに。
「腐男子って女装も好きなの?」
「腐男子は関係ないと思うけど⋯。綺麗な人が綺麗な格好するのは、皆好キダト思ウヨ」
「カタコトになってるから。深智もするならしてもいいよ、女装」
「なんでだよ。意味わかんないし」
プラネタリウムで女装する必要性がわからない。眉間に皺を寄せていると、芳賀はくすくすと笑った。
「当日って、やっぱり大和と一緒に回る?」
「んー、出来ればそうしたいけど、自由時間被るかわかんないし、実行委員の仕事もあるしね」
「そうだよな」
「深智は? 暎一と回るの?」
「わかんない。暎一好きな人いるから、やっぱり文化祭とかはそういう人と一緒に回りたいのかなって」
「⋯ふーん」
相変わらず暎一の好きな相手というのはわからないままだが、時間が合えばきっとそうなるだろう。
「なんか不満そうな顔してるね」
「え? や、別にそんなんじゃないし」
「あ、じゃあアレだ、寂しそうな顔」
「それこそなんでだよ。別に寂しいとかないし」
「⋯取っちゃえば?」
「?」
何を?
「取るっていうのもちょっと違うか。まだ暎一、その人と付き合ってるわけじゃないもんね」
「なんでそうなるんだよ。俺別に暎一のこと好きとかじゃないし」
「恋愛感情じゃなくても、親友取られちゃったら寂しいんでしょ。だったら、取られないようにすればいいんじゃない?」
「⋯恋愛相談受けてるのに?」
「暎一から? マジか。ウケる」
「ウケないよ」
芳賀が言ってるのは、暎一の恋を応援しないということだ。たかが自分のわがままで。
「僕はそんなに悪いことだと思わないけどなぁ。もう付き合ってるなら、むやみに邪魔するのは良くないと思うけど、そうじゃないんだし。恋愛と友情と、どっちを選ぶかは暎一が決めることでしょ」
「まあ、そうかも」
「仮に、その好きな人への気持ちが100あったとして、それ以上の気持ちが深智に対してあって、深智の方を選ぶんだったら、暎一もその方が幸せだと思う」
「⋯そうなるように、俺が仕向けたとしても?」
それでも、幸せだと言えるのだろうか。
「まあ、あくまで僕の考えだけど」
「俺そんな器用じゃないし」
「だからいいんじゃん。器用に手の平で転がしてたらどうかと思うけど、不器用な人が失敗覚悟で頑張ってるだけなら、応援したくなるでしょ」
「⋯お前意外といい性格してんのな」
前に、美人の恋人をゲットした大和に対して、やるじゃんと言ったけれど、実は大和の方が芳賀に捕まったクチなのかもしれない。芳賀に訊いてもはぐらかされそうだから、今度大和に訊いてみよう。
「あ、そろそろ予鈴鳴るね。教室戻らないと」
「そうだな」
「これありがとう。読み終わったら返すね」
「そのまま大和に渡してくれてもいいんだけど」
「それは嫌。大和にも先に僕に貸してることは黙っておいて」
やっぱり内容チェックが目的なのか?
芳賀は意味深な笑みを浮かべて、教室に戻って行った。
なんか、濃い昼休みだったな。
前は芳賀の方が悩んでる感じで、俺が励ますようなこと言ってたのに、今日はすっかり立場が逆転していた。あの時も、俺なんかの励ましは不要だったのかもしれない。
「取っちゃえば、か⋯」
俺は軽く頭を振って思考を追い払った。
早く教室に戻ろう。
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