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7.夏祭り
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試験も終わって、いよいよ来週から夏休み。教室内はどことなくみんな浮き足立っている感じだ。
「深智、夏休みなんか予定ある?」
放課後、帰る支度をしていると、暎一に声をかけられた。
「んー、特には。コミケ行ってみたいな⋯」
「行くのか?」
「いや、行かないけど」
行ってみたいけど、なんか色々凄そうでハードルが高い。お金もないし。
「今月末、お祭あるだろ? 一緒に行かないか?」
「お祭? ああ、神社の」
うちから割と近くにある神社で、毎年夏祭りがある。そこそこ規模が大きく、人も集まるイベントだ。
「去年は受験でろくに遊べなかったもんな~。いいよ、行こ」
スマホで予定を確認していると、いつの間にか大和と芳賀が近くに来ていた。
「深智たちもお祭行くの?」
「今暎一と話してたとこ。そっちは?」
「行くよ~。どうせなら4人で行こうよ」
「え、けど⋯」
大和たちはデートなのでは。そう思って大和の顔を見るも、楽しそうに笑っているだけで気にしていないようだった。
「そうだな。この4人で遊びに行ったことないし」
暎一も乗り気なようで、すぐに4人で行くことが決まった。
「お祭行くなら、文化祭まで待たなくても浴衣着れるじゃん」
「え、着るの? 暑いからヤダ」
「えー」
この前は楽しそうに、浴衣着るんだって話してたのに。
「浴衣って暑いのか? 涼しいイメージだけど」
「生地によるんだろうけど。でも普通にTシャツとかの方が涼しいよ。長袖みたいなもんだし」
確かに、丈も長いもんな。
「じゃあ、浴衣着てる女の子たちは、みんな暑いのに頑張ってるんだな」
「ねーえらいよね~。男なんて、どうせその中身のことしか考えてないのにね」
「ぅおい!」
なんか爆弾投下してきた。
「⋯そんな奴ばっかりじゃないだろ」
「あはは。冗談だよ」
やっぱりなかなかの性格をしている。俺の中で、芳賀に毒舌という属性が追加された。
✦✦✦
お祭の当日は、俺の家で集合して4人で一緒に行くことになった。現地集合だと人が多いから探すのが大変なのだ。いくらスマホがあるとはいえ、先に着いた方はこの暑い中待ってないといけないし。
全員揃ったところで祭りの会場となっている神社へ向かう。
「結構人多いんだね~」
初めて来たという芳賀が、周りを見回しながら言った。
「なに食う?」
「とりあえずかき氷」
店を探し、4人でかき氷を頬張る。
「透のクラスの縁日って、かき氷とかも出すのか?」
「そういうのはやらないよ。食べ物は駄菓子くらい。かき氷とかやると調理になっちゃうから、申請が面倒になるんだよね」
「そうか。じゃあ遊ぶ系が中心?」
「そう。スーパーボール掬いとか、輪投げとか」
「なんか懐かしい感じ」
スーパーボール掬い、聞いたらちょっとやりたくなってきた。どっかないかな。
さり気なく探しながら歩いていたら、スーパーボール掬いを発見した。
「やるか?」
「高校生にもなってやる遊びかね?」
「いいじゃん。勝負しようぜ」
「いっぱいとったらうちのクラスに寄付して」
芳賀は見学でいいらしく、俺と暎一と大和で勝負することになった。
白熱した勝負の結果は⋯。
「深智も暎一も下手過ぎじゃない?」
「大して変わんないじゃん」
大和が2個、俺と暎一が1個という結果に終わった。
「芳賀はやってもいないじゃんか」
「僕こういうの苦手だったんだけど、深智たちがこのレベルなら勝負になったかも」
くっ、返す言葉がない。
「いやあれ、流れ速すぎだろ。詐欺だ」
「なんにも騙してないから詐欺ではないよ」
大和は、取ったうちの片方を芳賀に渡していた。これで仲良くみんな1個ずつだ。
⋯えっと、どうせいらないから芳賀のクラスに寄付しようと思ってたんだけど、みんなで持っとく流れなのか? これは。
「深智、どした? 眉間に皺寄ってるぞ」
「うん、今ちょっと空気を読んでる最中だから」
大和たちの様子を注視していると、2人は何かほかに興味のあるものを見つけたらしく、先に進み始める。
あ、と思った瞬間に、暎一に手を掴まれた。
「ほら、俺たちも行くぞ」
「あ、ちょ⋯」
ギュッと掴んでくる手の平は、夏の日差しのせいかすごく熱い。
「⋯手、掴まなくても、ちゃんと付いてくって」
「さっきぼーっとしてただろ。はぐれたら探すの大変だし。っていうか、熱中症とかじゃないよな?」
「それは大丈夫だけど」
別にぼーっとしてたわけじゃないんだけどな。
俺の返事を聞くと暎一は、良かった、と言ってふっと微笑んだ。
なんだろう、なんか、最近の暎一は前とは少し違う気がする。具体的にどこがというのはわからないけれど。
高校生になったからか?
「うーん⋯?」
首を傾げているうちに、大和たちに追いついた。2人は唐揚げを買っていた。
「深智、これあげる」
「いいの? サンキュー」
「その代わり、たこ焼き買って。僕そっちも食べたい」
「まあいいけど」
一通り食べ尽くし、お神輿なんかも眺めた後、神社の境内で一休みする。辺りはすっかり暗くなっていた。
「この後どうするー? 帰る?」
「んー、そうだな⋯」
「⋯カラオケとか行く?」
「いいね」
「混んでないか?」
「ああ⋯」
混んでるだろうな。すぐには入れないかも。
「祭りはもう終わりか? 花火とかあればいいのにな」
暎一がハンディファンを首に当てながら言う。
「花火ってお金かかるらしいからな」
「そうそう。結構高いんだよね~」
あれ? けど文化祭で花火上がるって言ってなかったっけ?
「高いのに、文化祭はやるの? 金持ちなの? うちの学校」
「金持ちなら俺らに還元しろし」
「文化祭の花火は、商店街のお祭りと一緒にやるから、そっちと半々でお金出してるんだよ」
「そうなんだ?」
芳賀が、先輩から聞いたという話を教えてくれる。
文化祭の一般公開の日は、商店街のお祭と同日になっている。こっちは主に昼間。商店街の方は夕方からがメインで、文化祭に来たお客さんがそのままそっちに行ったり、俺たち生徒が打ち上げとして行ったりするので、その辺の客を狙っているのだろう。
花火は、学校からも商店街からも見える位置に上がるらしく、半分ずつお金を出しているらしい。
「花火か⋯。この前深智に借りた漫画に、花火見ながら告白する話があったな」
「ああ、あったね」
暎一が興味を持ったのか、こっちを見て何か訴えてくる。
アレか? 文化祭で花火見ながら告白とか考えてる?
「言っとくけど、漫画だと花火の音が大きくて、何言ってるか聞こえなかったっていうパターンの方が多いから」
あくまで俺が見てきた限りだと、だけど。
「そうか⋯」
「暎一~、ついに告白? だったらプラネタリウムでいいじゃん」
芳賀がニヤニヤしながら言う。
「あれ、そんなにロマンチックになるのか?」
「そこは大和に頑張って貰いなよ」
「いや、無理だろ」
っていうか、もしロマンチックな感じになったら告白もアリなのか? 周りにクラスの奴らいそうだけど。
「ね、ここ暑いし、おしゃべりするなら深智の家行こうよ」
「ああ、いいよ」
「やった!」
その後は、俺の家で喋ったりゲームをしたりして過ごしたのだった。
「深智、夏休みなんか予定ある?」
放課後、帰る支度をしていると、暎一に声をかけられた。
「んー、特には。コミケ行ってみたいな⋯」
「行くのか?」
「いや、行かないけど」
行ってみたいけど、なんか色々凄そうでハードルが高い。お金もないし。
「今月末、お祭あるだろ? 一緒に行かないか?」
「お祭? ああ、神社の」
うちから割と近くにある神社で、毎年夏祭りがある。そこそこ規模が大きく、人も集まるイベントだ。
「去年は受験でろくに遊べなかったもんな~。いいよ、行こ」
スマホで予定を確認していると、いつの間にか大和と芳賀が近くに来ていた。
「深智たちもお祭行くの?」
「今暎一と話してたとこ。そっちは?」
「行くよ~。どうせなら4人で行こうよ」
「え、けど⋯」
大和たちはデートなのでは。そう思って大和の顔を見るも、楽しそうに笑っているだけで気にしていないようだった。
「そうだな。この4人で遊びに行ったことないし」
暎一も乗り気なようで、すぐに4人で行くことが決まった。
「お祭行くなら、文化祭まで待たなくても浴衣着れるじゃん」
「え、着るの? 暑いからヤダ」
「えー」
この前は楽しそうに、浴衣着るんだって話してたのに。
「浴衣って暑いのか? 涼しいイメージだけど」
「生地によるんだろうけど。でも普通にTシャツとかの方が涼しいよ。長袖みたいなもんだし」
確かに、丈も長いもんな。
「じゃあ、浴衣着てる女の子たちは、みんな暑いのに頑張ってるんだな」
「ねーえらいよね~。男なんて、どうせその中身のことしか考えてないのにね」
「ぅおい!」
なんか爆弾投下してきた。
「⋯そんな奴ばっかりじゃないだろ」
「あはは。冗談だよ」
やっぱりなかなかの性格をしている。俺の中で、芳賀に毒舌という属性が追加された。
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お祭の当日は、俺の家で集合して4人で一緒に行くことになった。現地集合だと人が多いから探すのが大変なのだ。いくらスマホがあるとはいえ、先に着いた方はこの暑い中待ってないといけないし。
全員揃ったところで祭りの会場となっている神社へ向かう。
「結構人多いんだね~」
初めて来たという芳賀が、周りを見回しながら言った。
「なに食う?」
「とりあえずかき氷」
店を探し、4人でかき氷を頬張る。
「透のクラスの縁日って、かき氷とかも出すのか?」
「そういうのはやらないよ。食べ物は駄菓子くらい。かき氷とかやると調理になっちゃうから、申請が面倒になるんだよね」
「そうか。じゃあ遊ぶ系が中心?」
「そう。スーパーボール掬いとか、輪投げとか」
「なんか懐かしい感じ」
スーパーボール掬い、聞いたらちょっとやりたくなってきた。どっかないかな。
さり気なく探しながら歩いていたら、スーパーボール掬いを発見した。
「やるか?」
「高校生にもなってやる遊びかね?」
「いいじゃん。勝負しようぜ」
「いっぱいとったらうちのクラスに寄付して」
芳賀は見学でいいらしく、俺と暎一と大和で勝負することになった。
白熱した勝負の結果は⋯。
「深智も暎一も下手過ぎじゃない?」
「大して変わんないじゃん」
大和が2個、俺と暎一が1個という結果に終わった。
「芳賀はやってもいないじゃんか」
「僕こういうの苦手だったんだけど、深智たちがこのレベルなら勝負になったかも」
くっ、返す言葉がない。
「いやあれ、流れ速すぎだろ。詐欺だ」
「なんにも騙してないから詐欺ではないよ」
大和は、取ったうちの片方を芳賀に渡していた。これで仲良くみんな1個ずつだ。
⋯えっと、どうせいらないから芳賀のクラスに寄付しようと思ってたんだけど、みんなで持っとく流れなのか? これは。
「深智、どした? 眉間に皺寄ってるぞ」
「うん、今ちょっと空気を読んでる最中だから」
大和たちの様子を注視していると、2人は何かほかに興味のあるものを見つけたらしく、先に進み始める。
あ、と思った瞬間に、暎一に手を掴まれた。
「ほら、俺たちも行くぞ」
「あ、ちょ⋯」
ギュッと掴んでくる手の平は、夏の日差しのせいかすごく熱い。
「⋯手、掴まなくても、ちゃんと付いてくって」
「さっきぼーっとしてただろ。はぐれたら探すの大変だし。っていうか、熱中症とかじゃないよな?」
「それは大丈夫だけど」
別にぼーっとしてたわけじゃないんだけどな。
俺の返事を聞くと暎一は、良かった、と言ってふっと微笑んだ。
なんだろう、なんか、最近の暎一は前とは少し違う気がする。具体的にどこがというのはわからないけれど。
高校生になったからか?
「うーん⋯?」
首を傾げているうちに、大和たちに追いついた。2人は唐揚げを買っていた。
「深智、これあげる」
「いいの? サンキュー」
「その代わり、たこ焼き買って。僕そっちも食べたい」
「まあいいけど」
一通り食べ尽くし、お神輿なんかも眺めた後、神社の境内で一休みする。辺りはすっかり暗くなっていた。
「この後どうするー? 帰る?」
「んー、そうだな⋯」
「⋯カラオケとか行く?」
「いいね」
「混んでないか?」
「ああ⋯」
混んでるだろうな。すぐには入れないかも。
「祭りはもう終わりか? 花火とかあればいいのにな」
暎一がハンディファンを首に当てながら言う。
「花火ってお金かかるらしいからな」
「そうそう。結構高いんだよね~」
あれ? けど文化祭で花火上がるって言ってなかったっけ?
「高いのに、文化祭はやるの? 金持ちなの? うちの学校」
「金持ちなら俺らに還元しろし」
「文化祭の花火は、商店街のお祭りと一緒にやるから、そっちと半々でお金出してるんだよ」
「そうなんだ?」
芳賀が、先輩から聞いたという話を教えてくれる。
文化祭の一般公開の日は、商店街のお祭と同日になっている。こっちは主に昼間。商店街の方は夕方からがメインで、文化祭に来たお客さんがそのままそっちに行ったり、俺たち生徒が打ち上げとして行ったりするので、その辺の客を狙っているのだろう。
花火は、学校からも商店街からも見える位置に上がるらしく、半分ずつお金を出しているらしい。
「花火か⋯。この前深智に借りた漫画に、花火見ながら告白する話があったな」
「ああ、あったね」
暎一が興味を持ったのか、こっちを見て何か訴えてくる。
アレか? 文化祭で花火見ながら告白とか考えてる?
「言っとくけど、漫画だと花火の音が大きくて、何言ってるか聞こえなかったっていうパターンの方が多いから」
あくまで俺が見てきた限りだと、だけど。
「そうか⋯」
「暎一~、ついに告白? だったらプラネタリウムでいいじゃん」
芳賀がニヤニヤしながら言う。
「あれ、そんなにロマンチックになるのか?」
「そこは大和に頑張って貰いなよ」
「いや、無理だろ」
っていうか、もしロマンチックな感じになったら告白もアリなのか? 周りにクラスの奴らいそうだけど。
「ね、ここ暑いし、おしゃべりするなら深智の家行こうよ」
「ああ、いいよ」
「やった!」
その後は、俺の家で喋ったりゲームをしたりして過ごしたのだった。
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