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9.文化祭前日
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季節は過ぎ、いよいよ文化祭前日となった。
看板作りやチラシの作成など、ここまでで出来ることを進めていたが、今日は通常授業は行われず、朝から1日準備の時間となる。
教室に暗幕を張り、窓からの光も入らないようにして、部屋の中を暗くする。本物のプラネタリウムみたいに、寝っ転がれる椅子が用意出来るわけではないので、映像は天井ではなく壁に映すのがメインだ。
ストーリーも、星座や宇宙の話だけではなく、星に興味のない高校生でも面白いと思ってもらえるような話を考えたらしい。
「へえ~。結構いい感じだな」
別の部屋でナレーションの練習をしていた大和が、教室内を見まわし関心したように言った。
「ちょっと映像つけてみようぜ」
照明を消して、プラネタリウムをセットする。よくある家庭用のプロジェクターだ。こういうのが好きで、複数個持ってるクラスメイトがいたからこそ、実現した企画だった。
「おおー!」
「え、いいじゃん!」
カラオケルームみたいな感じを想像していた俺は、思った以上の出来にテンションが上がった。
フィルムはいくつかあるみたいで、当日は大和たちがナレーションをするストーリー上映を3回、それ以外の時間は、休憩場所として開放する予定だ。
俺と暎一は、中央に座って壁の映像を見つめる。
「大和、ナレーションやって」
「昔々あるところに、織姫と彦星がいました」
「⋯そんな話なの?」
「いや。今台本持ってないから無理」
「おい~」
突っ込みながらも、俺は暗い部屋で暎一と至近距離で座っていることに、急に緊張し始めて、さり気なく少し離れた。
「織姫と彦星ってあれだろ、結婚してイチャイチャしてばっかりで仕事しなくなったから、引き離されたんだろ?」
「あー、じゃあしょうがないよな。仕事はちゃんとしないと」
ムードぶち壊しなことを言う大和と暎一に、俺は呆れ気味に溜息を吐いた。
「2人ともそれ、小さい子の前とかで言うなよ?」
「わかってる。子どもにしちゃいけない話第5位くらいか?」
「1位は何?」
「サンタクロースの正体」
「ああ」
それは納得。
ふと、廊下から声が聞こえてきた。
「わ、すごーい! いい感じじゃん」
他クラスのくせに堂々と入ってきたのは芳賀だった。
「こらこら。他のクラスは当日まで立入禁止」
「え~、いいじゃんちょっとくらい。ね、大和」
「まあ、透は実行委員だし」
関係ないだろと思うが、大和が芳賀にダメだと言うわけがなかった。
「代わりに良い情報持ってきたよ」
「なに?」
「花火が見えるスポットのマップ。先輩たちが配ってた」
「へえ。サンキュー」
見ると、屋上が1番見やすいポイントらしい。
「当日って屋上開放してるんだっけ?」
「うん。けど、屋上は毎年結構3年生でいっぱいみたい」
「そうなんだ」
「大和、どこで見る?」
芳賀は大和と2人で楽しそうに相談する。
俺は、隣に座る暎一をチラッと見た後、すぐに視線をマップに戻した。
夏に一緒にプールに行って以来、俺たちの関係は特に何も変わっていない。俺は出来るだけ、何も考えないようにしていた。
「深智」
「なっ、なに?」
「何そんな驚いてるんだ?」
「べっつに? なんでもないよ」
「⋯。文化祭、一緒に回ろう」
「⋯いいけど」
いいんだろうか。例の好きな人と一緒に回らないのかな。
まあでも、暎一が誘ってきたんだしいっか。
「じゃあどこ行く? 俺2-1のチーズ焼き食べたい」
「いいな」
俺はプログラムを見ながら、まずは明日の計画を一緒に立てることにした。
看板作りやチラシの作成など、ここまでで出来ることを進めていたが、今日は通常授業は行われず、朝から1日準備の時間となる。
教室に暗幕を張り、窓からの光も入らないようにして、部屋の中を暗くする。本物のプラネタリウムみたいに、寝っ転がれる椅子が用意出来るわけではないので、映像は天井ではなく壁に映すのがメインだ。
ストーリーも、星座や宇宙の話だけではなく、星に興味のない高校生でも面白いと思ってもらえるような話を考えたらしい。
「へえ~。結構いい感じだな」
別の部屋でナレーションの練習をしていた大和が、教室内を見まわし関心したように言った。
「ちょっと映像つけてみようぜ」
照明を消して、プラネタリウムをセットする。よくある家庭用のプロジェクターだ。こういうのが好きで、複数個持ってるクラスメイトがいたからこそ、実現した企画だった。
「おおー!」
「え、いいじゃん!」
カラオケルームみたいな感じを想像していた俺は、思った以上の出来にテンションが上がった。
フィルムはいくつかあるみたいで、当日は大和たちがナレーションをするストーリー上映を3回、それ以外の時間は、休憩場所として開放する予定だ。
俺と暎一は、中央に座って壁の映像を見つめる。
「大和、ナレーションやって」
「昔々あるところに、織姫と彦星がいました」
「⋯そんな話なの?」
「いや。今台本持ってないから無理」
「おい~」
突っ込みながらも、俺は暗い部屋で暎一と至近距離で座っていることに、急に緊張し始めて、さり気なく少し離れた。
「織姫と彦星ってあれだろ、結婚してイチャイチャしてばっかりで仕事しなくなったから、引き離されたんだろ?」
「あー、じゃあしょうがないよな。仕事はちゃんとしないと」
ムードぶち壊しなことを言う大和と暎一に、俺は呆れ気味に溜息を吐いた。
「2人ともそれ、小さい子の前とかで言うなよ?」
「わかってる。子どもにしちゃいけない話第5位くらいか?」
「1位は何?」
「サンタクロースの正体」
「ああ」
それは納得。
ふと、廊下から声が聞こえてきた。
「わ、すごーい! いい感じじゃん」
他クラスのくせに堂々と入ってきたのは芳賀だった。
「こらこら。他のクラスは当日まで立入禁止」
「え~、いいじゃんちょっとくらい。ね、大和」
「まあ、透は実行委員だし」
関係ないだろと思うが、大和が芳賀にダメだと言うわけがなかった。
「代わりに良い情報持ってきたよ」
「なに?」
「花火が見えるスポットのマップ。先輩たちが配ってた」
「へえ。サンキュー」
見ると、屋上が1番見やすいポイントらしい。
「当日って屋上開放してるんだっけ?」
「うん。けど、屋上は毎年結構3年生でいっぱいみたい」
「そうなんだ」
「大和、どこで見る?」
芳賀は大和と2人で楽しそうに相談する。
俺は、隣に座る暎一をチラッと見た後、すぐに視線をマップに戻した。
夏に一緒にプールに行って以来、俺たちの関係は特に何も変わっていない。俺は出来るだけ、何も考えないようにしていた。
「深智」
「なっ、なに?」
「何そんな驚いてるんだ?」
「べっつに? なんでもないよ」
「⋯。文化祭、一緒に回ろう」
「⋯いいけど」
いいんだろうか。例の好きな人と一緒に回らないのかな。
まあでも、暎一が誘ってきたんだしいっか。
「じゃあどこ行く? 俺2-1のチーズ焼き食べたい」
「いいな」
俺はプログラムを見ながら、まずは明日の計画を一緒に立てることにした。
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