安全で楽しい世界㈱

さくら優

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かなた君編

3.ゲーム

自室のベッドに寝転がり、奏汰は深い溜息を吐いた。

最近、佐伯と会えていない。大学の試験があったのと、その後、奏汰の方が都合がつくようになると、今度は佐伯が仕事で出張とのことで、すれ違いになってしまった。
当初の予定なら、そろそろ帰ってくる頃のはずなのだが。

そんなことを考えていると、スマホに佐伯からメッセージが届いた。

『明日帰るけど、夜会える?』
「!」

ずっと待っていた恋人からの誘いに、奏汰は速攻で会えますと返信した。待ち合わせの場所と時間を決めスマホを閉じると、先ほどとは打って変わって幸せに満ちた溜息を吐く。

明日の夜が楽しみで仕方ない。けれど、佐伯の方は仕事終わりのようなので、あまり羽目を外さないよう気をつけなければ。

佐伯はどうやら、普通にセックスするよりもくすぐる方が好きなようで、奏汰が誘わなければくすぐられるだけで終わることも多かった。

奏汰は、人差し指でスーッと自分の二の腕を撫でてみる。別に何も感じない。

快感であれば、自慰でもある程度満たすことが出来るが、くすぐられたいという欲は自分ではなかなか満たすことが出来ないものだ。
道具を使えば多少は満たされるのかもしれないが、せっかく恋人がいるのに、そんなことをする気にはならなかった。

奏汰はついさっきの佐伯からのメッセージを眺めながら、前回会った時のことを思い返す。
佐伯の部屋に泊まることになっていたので、夕食を食べた後、ちょうどテレビで映画をやっており、それを2人で見ていた。

半分ほどが過ぎてCMになったところで、ソファに仰向けで寝転がる体勢にされ、座っている佐伯の膝の上に足を乗せる格好にさせられた。

「あっ、何⋯? ひゃっ」

突然足の裏をくすぐられ、奏汰は咄嗟に膝を曲げて逃げようとしたが、足首を掴まれて阻まれた。そのまま、足の裏をピンと張った状態で人差し指でくすぐられる。

「きゃは! やっ、佐伯さ⋯、まだ見てるのに」
「見てていいよ~」
「えっ⋯?」
「俺も見るし。でも、手は空いてて暇だから」

甘い声で、触らせて、なんて言われて断れるわけがなかった。

「ふ、ふふ⋯、やあっ」
「奏汰、もうCM終わるから静かにね。暴れたり声出したら今夜は何もしないから」
「そんな⋯」

軽く睨むが、こうなったら佐伯が引かないのはわかっているので、奏汰は大人しくクッションを抱き締めて手で口を覆った。

再び映画が始まると、佐伯は激しくくすぐるのはやめてくれて、足の裏を優しく指先で撫で回される。

我慢出来ないほどではないが、それでもくすぐったいことには変わらず吐息が震えた。

気を紛らわせようと画面の方を見るが、好きな映画なのに内容が全く頭に入って来ない。

内容が難しくなってくると、佐伯も集中しているのか、時々手が止まる。逆にCMになるとくすぐる方に集中されるので、奏汰は必死に口を押さえて耐えた。

「んっ、――っ! ぁ、ふ⋯」

時々声が漏れてしまうが、CMの間は多少見逃してもらえた。

その後も、ひたすら足の裏だけをくすぐられ続け、だんだん妙な気分になっていった。
時々手が止まってしまうのも、最初のうちはその間休めることに安堵していたが、しばらくすると焦らされているような感覚になっていった。

もはや映画を見る余裕などなく、じっと佐伯の顔を見つめる。

CMになれば佐伯もこっちを向いてくれるので、もう許して欲しいと念を込めて視線を送ったが、結局映画が終わるまで、それに気付いてくれることはなかった。

エンドロールが始まり、次週の予告も終わると、佐伯はようやくテレビを消して、奏汰に覆い被さってくる。

「ぅ⋯、さ、えきさ⋯」
「ふふ。可愛い。いい子にしてたから、奏汰がして欲しいこといっぱいしてあげるね」
「ん⋯」

唇を塞がれ、ゆっくりとキスが深くなっていく。奏汰はうっとりと目を閉じて、背中に腕を回した。


   ✦✦✦

翌日、待ち合わせをした店で一緒に食事をした後、佐伯の家へ行った。

シャワーを浴びて浴室を出ると、奏汰が着ていた服は勝手に洗濯されており、持ってきたはずの新しい下着もなくなっていたので、仕方なくバスタオルを巻いただけの格好で寝室へ行く。

「佐伯さん、俺の服は?」
「今洗濯してるよ~」
「下着も持ってったはずなのに」
「こっちに持って来といた」
「⋯もう。勝手に持ってかないでください」
「寒かった? ごめんね」

論点がズレている佐伯の返しに、ぷくっと頰を膨らませると、くすくす笑いながら抱き寄せられ、一緒にベッドに倒れ込んだ。

「だっていらないでしょ。どうせ脱ぐんだから」
「あ⋯」

至近距離で視線が絡み、そっと目を閉じると唇を塞がれた。わざと音を立てるような佐伯のキスに、耳からも羞恥を煽られる。

唇を離すと、ギュッと強く抱き締められた。

「佐伯さん⋯?」
「ちょっと充電」

珍しく甘えるような態度に、奏汰は胸がいっぱいになって、背中に腕を回して強く抱き返す。自分も寂しかったが、佐伯も少しでも同じように思ってくれたみたいで嬉しかった。

「寂しかった?」
「うん⋯」
「ごめんね」

ふるふると首を横に振る。大きな手の平が二の腕や胸の辺りを撫で回し、奏汰は熱っぽい息を吐いた。

「あ、ん⋯、ふ、ふふ⋯」

右手で脇腹を撫でられる。軽く爪を立てて指をバラバラに動かされると、くすぐったさに逃げるように身を捩った。

反対の指は乳首を撫で始め、くりくりと捏ね回される。

「ふあ、や、あは⋯、やぁっ」
「奏汰、今日、どうしてほしい?」

耳許で吐息を吹き込むように囁かれ、背筋がぞくぞくと震える。

「ぁ⋯、佐伯さ、んの、好きにして⋯」
「そんなこと言っていいの?」
「んっ、んああっ!」

両手できゅっと乳首を摘まれて、甘えるような声が上がった。

「じゃあ⋯、ゲームしようか」
「ぁ、ゲーム⋯?」

佐伯はくすっと笑うと、閉じている奏汰の腋の下に指を潜り込ませ、軽くくすぐった。

「ひゃっ、ふふ⋯、あはは」
「こうやってくすぐるから、奏汰は自分で腕開いたりして、俺が触りやすいようにすること。いい子に出来たら奏汰の勝ちね」
「え⋯?」

すでに頭が半分蕩けてきていて上手く思考が働いていないが、とんでもないことを言われているような気がする。

「奏汰が勝ったら、好きなこといっぱいしてあげるよ」
「⋯負けたら?」
「負けたら、朝までこちょこちょの刑」
「っ⋯」

どうする?と聞かれ、奏汰は一瞬迷ったがすぐに頷いた。負けても朝まで可愛がってもらえるなら、断る理由はない。

「じゃあ、今からスタートね」
「んっ、ふ⋯」

さっき左の腋に潜り込んできた指が再び動き出し、奏汰は言われた通りに腕を横に広げた。動きやすくなった佐伯は、5本の指でくすぐってくる。

「あははははは! やあぁあ!」

耐えるように首をすくめると、そこには左手が潜り込んできて、奏汰はゆっくりと顔を上げた。

「やっ、やははは! くすぐったいっ、やぁああ!」
「嫌? 腋と首どっちが嫌?」
「ん、首⋯、首やだ⋯」
「じゃあこっちにしようか」

首から離れた手は、今度は右の腋の下に入ってこようとする。ギュッと閉じていた腋を開くと、左腕と同じように横に広げる。

「あぁははははは! やっ、さ、えきさ⋯、これ、恥ずかしい⋯、」

じっとしているように言われたことは今までもあったけれど、こんな風に自分から身体を開くように言われたことはなかった。羞恥とくすぐったさで涙が溢れてくる。

「そう? 奏汰、自分からくすぐって~って言ってるみたいで可愛いよ」
「やぁー!」

さらに羞恥を煽る言葉にポロポロと涙がこぼれるが、佐伯の手が止まることはない。

今度は背中の方に手が伸びてきて、奏汰は横向きになって背中を露わにする。

ゆっくり撫でられると気持ち良くて、目がとろんとしてくる。そうして油断しているところで、脇腹をくすぐられた。

「ひゃっ! あっ、あははははは!」

再び手が前に戻って来たので仰向けの体勢に戻ると、お臍の周りをこちょこちょと指が踊る。

「やぁああ! そ、こだめっ、やだああははははは!」
「だめって、奏汰が自分からお腹見せてきたんでしょ~」
「だってぇ~、やあははははは!」

じっとしていられず、奏汰はキュッと足を閉じて太腿を擦り合わせる。それに気付いた佐伯は、くすっと笑みを溢した。

「はい、足も開こうね」

太腿をすぅっと撫でられ、奏汰が言われた通り足を開いて少し膝を浮かせると、佐伯は褒めるように目を細めた。

内腿や膝裏を撫でられると、くすぐったいのと一緒にぞくぞくと快感も湧き上がってきて、首を激しく左右に振る。

「あっ、や、だめ⋯、もうっ」
「イキそう?」

恥じらう余裕もなく、こくこくと頷く。
いつも達く時はくすぐられるのもセットだったせいで、今ではすっかりくすぐられるだけで達けるようになってしまっていた。

「じゃあ、最後はここね」

足の裏を撫でられて、奏汰はギュッと丸めていた足の指をゆっくりと開く。

「ふ、ふふ⋯、やっ」
「もっと足ピンってしてごらん。そう、いい子」
「ひゃははははは! やっ、無理! 無理ぃー!」

踵や土踏まず、母指球あたりもカリカリと引っ掻かれ、指の間も余す所なく撫で回される。

悲鳴のような声がひっきりなしに上がり、そのうちに力尽きてそれもなくなってきた頃、ようやく佐伯は手を止め、奏汰の顔を覗き込んできた。

目を閉じて荒い呼吸を繰り返しているところをチュッ頰にキスをされて、縋るように抱きつく。

「はあ、ぁ、佐伯さ⋯」
「いい子にしてたから今日は奏汰の勝ちだね」

今日は、という言葉に一瞬引っかかったが、甘い声で何してほしい?と聞かれて、すぐにどうでもよくなった。

「んっ、佐伯さんの、ほしい⋯」
「じゃあこっちはいいの?」

ピンっ、と主張している奏汰のものを指で弾かれ、嫌々と腰を振った。

「やっ! そ、こも⋯してっ」
「ふふ。いいよ。後ろ向いて、腰上げて」

言われた通りの格好をすると、後ろを開くように揉まれた後、ゆっくりと指が入って来る。同時に反対の手で前の方も扱かれ、奏汰は中の指をきゅうっと締め付けた。

「ああぁっ! あっ、く、っ――!」

すでに限界だった奏汰のものは、緩く扱かれるだけであっという間に上り詰める。全身を震わせながら達した後、脱力するとすぐに指が抜かれ、佐伯のものを挿れられた。

「あっ、あ、んんっ、あぁあっ!」

片方の手は自身に絡みつき、もう片方で乳首を摘まれる。中をきゅうきゅう締め付けると、すぐに熱いもので満たされる感覚があり、奏汰は胸がいっぱいになるのを感じながら、甘い声を上げ続けた。


   ✦✦✦

優しく髪を撫でられる感触に、奏汰はゆっくりと目を開ける。顔を上げると、目の前に微笑みを浮かべた佐伯の顔があった。

「起きた?」

どうやら気を失っていたようだ。
寝ている間に後始末をしてくれたのか、身体はすっきりしている。

「まだ夜中だから、寝てていいよ」
「佐伯さんは?」
「俺も寝るけど、もうちょっとしたらね」

佐伯は以前、自分はショートスリーパーだからあまり寝なくても平気だと言っていた。

奏汰は身体を擦り寄せると、熱っぽく佐伯の顔を見つめる。すると、すぐにその意味を察してくれたようで、ニヤッと笑って再び覆い被さってくる。

「まだ足りない?」
「ん⋯」

だいたい、負けたら朝まで苛めてくれると言っていたのに、勝ったらもう終わりなのか。
そう言うと、佐伯はくすっと笑みを溢す。

「朝まで苛めてほしいの?」
「⋯うん」

首に腕を回すと、大きな手が再びゆっくりと肌を撫で回し始めた。

それに溜息を吐いて、奏汰は幸せそうに微笑むと、ゆっくりと目を閉じた。

END.
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