異世界に転移したけどマジに言葉が通じずに詰んだので、山に籠ってたら知らんうちに山の神にされてた。

ラディ

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1・男はただ、誰かと話したかっただけなのに。

3.なんかある。

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 他に行けるところもなく、行きたい場所もないので、とにかく山を出ることはなかった。

 初めは適当に自生してる植物を食っては吐いて、酷い時は三日三晩のたうち回った。

 そんな日々の中でなんかグルグルした変な木になってる実とか、めちゃくちゃマゼンタで目に悪い野草とか、わりと美味いものを見つけていった。

 山には野生動物なのか化け物なのか、角の生えた熊やら、軽自動車くらいある猪だったり、いわゆるゴブリン的な輩、火を吹くトカゲやら、バカみてえに強い鬼とか、そんなんが住み着いていた。

 そいつらを狩ったり、襲われたのを返り討ちにしたり、たまに殺されかけたりもした。

 まああんま語りたかないが、俺は生まれた時から武芸一般を仕込まれて育った。

 命を奪うことに躊躇いがないわけじゃあないが、躊躇わないように切り替えることが出来る程度に精神を鍛えられただけなのだ。

 やがて食うに困らなくなり、自身の技や身体や心と対話する時間が増えた。

 そんな暮らしの中でもポップアップウインドウは度々出現し、文字解読をしようとしたが早々に諦めた。

 あと、なんか念じると大きめのウインドウが開くことに気づいた。

 何枚かのタブが切り替えられるようだったが、もちろん一つも読み取れない。
 なんかもしかするとライトなファンタジー世界お得意のレベルとかステータスとかいう人間の力を数値化するわけのわからんものがあるのかもしれない。
 タブを切り替えた時のやつはもしかすると、ちょいちょい化け物が使ったり門番のおっさんの時にぶっ飛ばした奴が使ってた魔法みたいなやつが俺も使えるようになってて一覧表示されているのかもしれない。

 だが読めんのでわからん。
 使い方以前に何かわからん。

 たまに山の中で人影を見かけた。

 公務執行妨害の件があるので慎重に観察をして、気配を殺して尾行すると山の麓に集落があることに気づいた。

 一定範囲で比較的狩りやすい鹿のような動物を狩っているようだった。

 意思疎通が出来ないし、弓矢とか短剣も持ってたからなるべく接触しないようにしていたが、ある時狩人が化け物に囲まれてるところ助けちまった。

 いーや流石に見殺しにすんのは夢見が悪いって、若い女の子だったし尚更だ。

 そこからたまに麓に下りると、村の人から差し入れを貰えることが増えた。

 村で採れた野菜やら、服だったり、短刀などの道具だったり、山の中じゃ手に入らないものを貰えた。

 流石に貰いすぎな気がした時は、適当にデカ猪を絞めて村の前に置いといた。

 そんなご近所付き合いが定着してきた頃に、村が野盗に襲われた。

 たまったま早めに気づけたんで、片っ端から頭をかち割って殺して身ぐるみ剥いで山に持ち帰った。

 したら差し入れ用の宅配ボックス的な場所が出来た。いーや申し訳ねえ。

 ある時は、わけわからん量のいつもより大分強い化け物が山に沸いたので片っ端からぶっ飛ばして、可食部がありそうなやつは村に置いてきた。

 したらばまた差し入れのグレードが上がった。

 その間も読めねえポップアップウインドウは、現れ続けた。

 そんなある日、暇つぶしに立禅をしていると何となく山がざわついているのを感じた。

 なんつーか、デカい地震が来る前に鳥がめちゃくちゃ鳴くみたいなアレだ。

 なんかあんのか? この山は別に火山でもねえし……、台風の季節でもねえ。

 うーん、一応村の様子も見とくか? つっても何も聞けねえしなぁ……。

 なんて考えながら偉くディテールに凝った宅配ボックス小屋まで下りると。

「ジヌラ! ジヌランスマガーッカチャ、マルメガヴィーラジャイササ……」

 村の美人の狩人が俺を見つけるやいなや、深刻そうな顔で何やら語り出す。

 いやすまん全然わからねえって……、なんか色々身振り手振りやってくれてっけども。

 でもまあ、とりあえずなんかあることはわかった。

 今までも何もなかった時なんてなかったと思うけど、今回はなかなかに厄介ななんかがあるんだろう。

 だが一個もわからんので、とりあえず腹を膨らましておいたり身体を休めたり道具の手入れをしておくことにした。

 が、同日。

 突然、山に爆音が鳴り響いた。

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