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2・女はただ、騎士として生きたかっただけなのに。
1.世界の果ての果てでの無期限の警備任務。
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私、ミラ・ヴィダールは騎士である。
騎士の家系であるヴィダール伯爵家に生まれ、父や兄たちと同じように騎士となる為に日々鍛練していた。
だがそれは子供の頃の話だ。
十二を過ぎた頃、私は父に言われた。
「……ミラ、おまえにはヴィダールの剣を継ぐ才はない。他の道を見つけなさい」
その日から、私の予定帳から剣の稽古の文字が消えた。
その代わりになるものを、私は必死で探した。
魔法は光と火と風の三属性との適性があったものの、魔力量が伸びずに魔法使いの道もなく。
槍や斧も試しましたが、これは剣よりも才がなく。
唯一、才があったのは弓だった。
父が仲介してくれたエルフのリギール師匠の元で徹底的に弓を学んだ。
一つ教えられたら、十でも百でも繰り返した。
連射や速射、複数本の同時に的を射る、など様々な技術を修練した。
スキルも獲得し、私は【弓に生きる者】の称号を獲て。
私は騎士団へ入団し、国を守る騎士となった。
だが、私は現実を知った。
現代の魔物戦、対人戦においても中遠距離での主流は魔法である。
長距離からの攻撃が可能であり、高火力で、かつ魔力を用いて放つ為、物理的に荷物がかさばらず移動も煩わしくない。魔力は食事などによって回復が行えるので矢のように消耗品でコストがかさむこともない。
弓矢にも利点はある。
魔法に耐性などのスキルを持つ敵を相手にする場合は遠距離からの物理攻撃が可能である。
でも、大型の魔物には弓矢で致命傷を与えられるのは難しく、魔法に耐性のある魔物なんてのはかなり珍しい。居たとしても剣術や槍術系のスキルを持った者が大勢で連携をして武器戦闘にて攻略や討伐を行う。
つまり、弓使いの私は騎士団ではお荷物なのだ。
お荷物の私は父より、選択を迫られた。
一つは、騎士団を辞めてヴィダール伯爵令嬢として適当な貴族家の子息に嫁げというもの。
もう一つは、騎士として世界の果ての果てでの無期限の警備任務を行えとのこと。
どちらにおいても、厄介払いの為ということだ。
騎士団に私は不要ということ……、でも仕方がない。
私は弱くはないつもりだが、使いずらいとは自分自身でも思う。
自身の境遇については、過不足なく受け入れて私は与えられた選択肢から迷わず選んで答えた。
つまり私は世界の果ての果ての村で、無期限の警備任務につく運びとなった。
王都から離れ、ヴィダール家とも事実上の決別をして。
それでも。
それでも私は騎士として生きて、死にたいだけなのだ。
村に到着するまでも一ヶ月もの時間を要した。
村は辺境ここに極まれりというほどに、一言でいえば田舎だった。
大きな山の麓に位置するこの村は、水は豊富で沢では魚もとれる。
村の人々が食べていける程度の畑。
何名かの狩人が山に入り鹿や猪や山菜や果物を狩る。
月に一度程度、一番近くの町から商人が山で取れた果物や動物の皮、魔物の部位などで取り引きをして村に足りていないものなどを仕入れている。
田舎の村としては、ありふれた営みである。
だがこの村、というか地域には明確に他とは違う特筆するべきことがある。
それが、山。
この村の人間は山を特別視というか、神聖視している。
正確にはこの山には神の果実と呼ばれる果物が存在するという。
果実は部位欠損ですら治す回復効果や、根本的な魔力増幅、さらに不老長寿をもたらすらしい。
しかし果実は山の奥深くにしか実らず、山には高レベルで危険度が超級以上の魔物が闊歩しているので、まず手に入れることは出来ない。
そんな果実を食べに数十年に一度、竜が山に降り立ち果実と共に魔物たちを貪り尽くすのだという。
その直後であれば山に入り、普段取れない素材などを集めることも出来、さらに竜の鱗や爪や牙なども得られることがある。
竜から落ちた素材は村では重宝され、魔物避けとして祀られるだけでなく、防具や武器の素材として高値で取り引きが行われる。
この村はそんな山と竜の恩恵を受けて成り立っている為、山を神聖視しているのだ。
そして攻略不可能難易度のこの山から神罰級の魔物である竜の素材を採集出来るこの村を、国家は保護下に置きたいが数十年に一度という周期と、僻地過ぎるので大規模に人を動かすことも出来ない。
故に国家は、保護をしているという事実だけを作るために騎士団から一名、山の村へと騎士を送り込むことになった。
思うところがないわけじゃあない。
でも私はこの村で、騎士として生きるんだ。
村での生活は直ぐに慣れた。
というか竜の鱗などを祀っている為に魔力の残り香で魔物の類いは基本的に寄ってこない。
果ての果ての僻地過ぎるので、野盗の類いも現れない。稀に山を目指して諦めた冒険者崩れが野盗になって村を襲いに来ることもあるらしいが、稀だしここに住み続ける村の方々は平均的にそんじょそこらの冒険者程度には劣らない。
思った以上に平和な日々で、私は畑仕事を手伝ったり、狩りに参加をしたりしていた。
騎士の家系であるヴィダール伯爵家に生まれ、父や兄たちと同じように騎士となる為に日々鍛練していた。
だがそれは子供の頃の話だ。
十二を過ぎた頃、私は父に言われた。
「……ミラ、おまえにはヴィダールの剣を継ぐ才はない。他の道を見つけなさい」
その日から、私の予定帳から剣の稽古の文字が消えた。
その代わりになるものを、私は必死で探した。
魔法は光と火と風の三属性との適性があったものの、魔力量が伸びずに魔法使いの道もなく。
槍や斧も試しましたが、これは剣よりも才がなく。
唯一、才があったのは弓だった。
父が仲介してくれたエルフのリギール師匠の元で徹底的に弓を学んだ。
一つ教えられたら、十でも百でも繰り返した。
連射や速射、複数本の同時に的を射る、など様々な技術を修練した。
スキルも獲得し、私は【弓に生きる者】の称号を獲て。
私は騎士団へ入団し、国を守る騎士となった。
だが、私は現実を知った。
現代の魔物戦、対人戦においても中遠距離での主流は魔法である。
長距離からの攻撃が可能であり、高火力で、かつ魔力を用いて放つ為、物理的に荷物がかさばらず移動も煩わしくない。魔力は食事などによって回復が行えるので矢のように消耗品でコストがかさむこともない。
弓矢にも利点はある。
魔法に耐性などのスキルを持つ敵を相手にする場合は遠距離からの物理攻撃が可能である。
でも、大型の魔物には弓矢で致命傷を与えられるのは難しく、魔法に耐性のある魔物なんてのはかなり珍しい。居たとしても剣術や槍術系のスキルを持った者が大勢で連携をして武器戦闘にて攻略や討伐を行う。
つまり、弓使いの私は騎士団ではお荷物なのだ。
お荷物の私は父より、選択を迫られた。
一つは、騎士団を辞めてヴィダール伯爵令嬢として適当な貴族家の子息に嫁げというもの。
もう一つは、騎士として世界の果ての果てでの無期限の警備任務を行えとのこと。
どちらにおいても、厄介払いの為ということだ。
騎士団に私は不要ということ……、でも仕方がない。
私は弱くはないつもりだが、使いずらいとは自分自身でも思う。
自身の境遇については、過不足なく受け入れて私は与えられた選択肢から迷わず選んで答えた。
つまり私は世界の果ての果ての村で、無期限の警備任務につく運びとなった。
王都から離れ、ヴィダール家とも事実上の決別をして。
それでも。
それでも私は騎士として生きて、死にたいだけなのだ。
村に到着するまでも一ヶ月もの時間を要した。
村は辺境ここに極まれりというほどに、一言でいえば田舎だった。
大きな山の麓に位置するこの村は、水は豊富で沢では魚もとれる。
村の人々が食べていける程度の畑。
何名かの狩人が山に入り鹿や猪や山菜や果物を狩る。
月に一度程度、一番近くの町から商人が山で取れた果物や動物の皮、魔物の部位などで取り引きをして村に足りていないものなどを仕入れている。
田舎の村としては、ありふれた営みである。
だがこの村、というか地域には明確に他とは違う特筆するべきことがある。
それが、山。
この村の人間は山を特別視というか、神聖視している。
正確にはこの山には神の果実と呼ばれる果物が存在するという。
果実は部位欠損ですら治す回復効果や、根本的な魔力増幅、さらに不老長寿をもたらすらしい。
しかし果実は山の奥深くにしか実らず、山には高レベルで危険度が超級以上の魔物が闊歩しているので、まず手に入れることは出来ない。
そんな果実を食べに数十年に一度、竜が山に降り立ち果実と共に魔物たちを貪り尽くすのだという。
その直後であれば山に入り、普段取れない素材などを集めることも出来、さらに竜の鱗や爪や牙なども得られることがある。
竜から落ちた素材は村では重宝され、魔物避けとして祀られるだけでなく、防具や武器の素材として高値で取り引きが行われる。
この村はそんな山と竜の恩恵を受けて成り立っている為、山を神聖視しているのだ。
そして攻略不可能難易度のこの山から神罰級の魔物である竜の素材を採集出来るこの村を、国家は保護下に置きたいが数十年に一度という周期と、僻地過ぎるので大規模に人を動かすことも出来ない。
故に国家は、保護をしているという事実だけを作るために騎士団から一名、山の村へと騎士を送り込むことになった。
思うところがないわけじゃあない。
でも私はこの村で、騎士として生きるんだ。
村での生活は直ぐに慣れた。
というか竜の鱗などを祀っている為に魔力の残り香で魔物の類いは基本的に寄ってこない。
果ての果ての僻地過ぎるので、野盗の類いも現れない。稀に山を目指して諦めた冒険者崩れが野盗になって村を襲いに来ることもあるらしいが、稀だしここに住み続ける村の方々は平均的にそんじょそこらの冒険者程度には劣らない。
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