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第4章・立ち上がったのは史上最凶の悪役令嬢。
09騎士が脅威を見逃すことはない。
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それを一人で、気になったから見つけてみましたってか。ふざけんな。
それにこの騎士……、多分めちゃくちゃ強いぞ。さっきから手に持った槍の先がぴくりとも動かない。
体幹、軸にぶれがないし精神的にも平坦というか、心が凪いでいる。
どれだけ鍛えたらああなるんだ? こんなの村の師範たちの中でも一握りの到達点だ。
お嬢様が喫煙を続けようが、部屋の中を歩こうが気にも留めていない。
この間合いであれば、何が起ころうが制圧出来ると確信している。
油断とか慢心ではなく、鍛錬と経験に裏打ちされた確信なんだ。
こんな若者がどうやったら……、いやもしかしたら若いように見えてめちゃくちゃ歳食ってんのかもしれない。
まあどちらにしても化物だ。
つまり僕は今から、そんな化物を相手にお嬢様を護りつつ逃げ切らなくてはならない。
「……なるほどね、騎士様のお眼鏡にかなうに至った仮説とやらが何かは気になるところだけど。まあ何であろうと騎士様は私たちを捕らえるのですよね?」
お嬢様はトランクケースの持ち手に指をかけながら、不敵に、不適な笑みを浮かべて問う。
「無論、騎士が脅威を見逃すことはないさ」
「でしょうね」
騎士の答えに間髪入れず、お嬢様はそう言いながら吸っていた火のついた煙草を親指と中指で弾いて騎士の顔目掛け飛ばす。
意表を突くというか、虚をつく行動。
思った以上に飛ぶしなかなかのコントロール。
だが、騎士は微塵も驚かずに軸ごと最小限の動きで煙草を躱して、躱した動きがそのまま踏み込みに直結し、迷いも躊躇いもなく短槍を鋭く突き、お嬢様を狙う。
同時に僕は半身で間合いを潰し、やや捨て身気味で短槍を掴む。
掴んだ瞬間に力の流れの通りに、円の動きで崩そうとしたところで、騎士は短槍を手放す。
流石過ぎる、普通ここで武器を手放す選択するなんてことはしないし出来ない。
だが騎士は、武器に居着くことを嫌い、執着せずに手放した。反応と対応が速すぎる。
でも僕は驚かない、そのくらいのことはしてくると想定していた。
僕の合気道は杖術の稽古も行う、つまりこの短槍を持て余すことはない。
そのまま奪った短槍の石突き部分で、突き返す。
騎士は突きを躱しながら、躱した足裁きから一挙動で三日月蹴りで半身の僕の水月を狙って来たのでそのまま突っ込むように距離をさらに詰めて打点をずらす。
しかし想像以上の威力に体勢が崩れるので蹴りの力の終着点に受け身を取って転がり、蹴り足に腕をかけて返し技を狙ったが荒く短槍を掴んで引っ張られた。
腕力勝負での勝ち目は無いことを悟り、こちらも居着かないよう短槍を離しながら相手の引く力に合わせて蹴り足を押し込んで軸ごと崩そうと試みるも、反応し騎士は自ら後ろに飛ぼうとするのでさらに押し込んで投げ捨てた。
騎士は自らの勢いで壁に叩きつけられた。
攻防としては五分、いや三日月蹴りを貰った分ダメージ的にはやや僕の劣勢か。
しかし、この攻防でお嬢様が退室する時間は稼げた。
「…………なるほど」
騎士は僕を見ながら呟く。
とりあえず僕が合気道を使うというのは完全に把握されたようだ。
僕が生まれ半生を過ごした村は、老若男女もれなく合気道を稽古する。
大昔にいた異世界転生者が村に伝え、盗賊などの脅威から自身を護れるようになったことから今でも村では住人が自身や家族を護れるように合気道を学ぶ。
練度の違いはあれど、合気道は僕らにとって子供の頃から当たり前に覚える身体操作だ。
練度の高い者は国軍や騎士団に所属することもある。
故にこの騎士は多少なりとも合気道を知っているのだろう。
だが僕はまだこの騎士が何を使うのか、短槍使いってこと以外に見当をつけられていない。
異常な体幹と粘り腰、良すぎる反応と対応力、速すぎる踏み込みと突き、的確な技のキレ。
いや何を使うとか関係ないか。
何使いだろうと卓越した技量がある化物だ。基本的に劣勢だし、僕の合気道は受けに対して先んじることをしない。
力の流れを受け入れて、終着点で安全に着地をして返す。
どこまでやれるかわからないが、この騎士はここに釘付けにしてお嬢様の逃走時間を稼いで良きところで僕も騎士を撒いてお嬢様と合流する。
さあ来い、転がしてやるよ。
それにこの騎士……、多分めちゃくちゃ強いぞ。さっきから手に持った槍の先がぴくりとも動かない。
体幹、軸にぶれがないし精神的にも平坦というか、心が凪いでいる。
どれだけ鍛えたらああなるんだ? こんなの村の師範たちの中でも一握りの到達点だ。
お嬢様が喫煙を続けようが、部屋の中を歩こうが気にも留めていない。
この間合いであれば、何が起ころうが制圧出来ると確信している。
油断とか慢心ではなく、鍛錬と経験に裏打ちされた確信なんだ。
こんな若者がどうやったら……、いやもしかしたら若いように見えてめちゃくちゃ歳食ってんのかもしれない。
まあどちらにしても化物だ。
つまり僕は今から、そんな化物を相手にお嬢様を護りつつ逃げ切らなくてはならない。
「……なるほどね、騎士様のお眼鏡にかなうに至った仮説とやらが何かは気になるところだけど。まあ何であろうと騎士様は私たちを捕らえるのですよね?」
お嬢様はトランクケースの持ち手に指をかけながら、不敵に、不適な笑みを浮かべて問う。
「無論、騎士が脅威を見逃すことはないさ」
「でしょうね」
騎士の答えに間髪入れず、お嬢様はそう言いながら吸っていた火のついた煙草を親指と中指で弾いて騎士の顔目掛け飛ばす。
意表を突くというか、虚をつく行動。
思った以上に飛ぶしなかなかのコントロール。
だが、騎士は微塵も驚かずに軸ごと最小限の動きで煙草を躱して、躱した動きがそのまま踏み込みに直結し、迷いも躊躇いもなく短槍を鋭く突き、お嬢様を狙う。
同時に僕は半身で間合いを潰し、やや捨て身気味で短槍を掴む。
掴んだ瞬間に力の流れの通りに、円の動きで崩そうとしたところで、騎士は短槍を手放す。
流石過ぎる、普通ここで武器を手放す選択するなんてことはしないし出来ない。
だが騎士は、武器に居着くことを嫌い、執着せずに手放した。反応と対応が速すぎる。
でも僕は驚かない、そのくらいのことはしてくると想定していた。
僕の合気道は杖術の稽古も行う、つまりこの短槍を持て余すことはない。
そのまま奪った短槍の石突き部分で、突き返す。
騎士は突きを躱しながら、躱した足裁きから一挙動で三日月蹴りで半身の僕の水月を狙って来たのでそのまま突っ込むように距離をさらに詰めて打点をずらす。
しかし想像以上の威力に体勢が崩れるので蹴りの力の終着点に受け身を取って転がり、蹴り足に腕をかけて返し技を狙ったが荒く短槍を掴んで引っ張られた。
腕力勝負での勝ち目は無いことを悟り、こちらも居着かないよう短槍を離しながら相手の引く力に合わせて蹴り足を押し込んで軸ごと崩そうと試みるも、反応し騎士は自ら後ろに飛ぼうとするのでさらに押し込んで投げ捨てた。
騎士は自らの勢いで壁に叩きつけられた。
攻防としては五分、いや三日月蹴りを貰った分ダメージ的にはやや僕の劣勢か。
しかし、この攻防でお嬢様が退室する時間は稼げた。
「…………なるほど」
騎士は僕を見ながら呟く。
とりあえず僕が合気道を使うというのは完全に把握されたようだ。
僕が生まれ半生を過ごした村は、老若男女もれなく合気道を稽古する。
大昔にいた異世界転生者が村に伝え、盗賊などの脅威から自身を護れるようになったことから今でも村では住人が自身や家族を護れるように合気道を学ぶ。
練度の違いはあれど、合気道は僕らにとって子供の頃から当たり前に覚える身体操作だ。
練度の高い者は国軍や騎士団に所属することもある。
故にこの騎士は多少なりとも合気道を知っているのだろう。
だが僕はまだこの騎士が何を使うのか、短槍使いってこと以外に見当をつけられていない。
異常な体幹と粘り腰、良すぎる反応と対応力、速すぎる踏み込みと突き、的確な技のキレ。
いや何を使うとか関係ないか。
何使いだろうと卓越した技量がある化物だ。基本的に劣勢だし、僕の合気道は受けに対して先んじることをしない。
力の流れを受け入れて、終着点で安全に着地をして返す。
どこまでやれるかわからないが、この騎士はここに釘付けにしてお嬢様の逃走時間を稼いで良きところで僕も騎士を撒いてお嬢様と合流する。
さあ来い、転がしてやるよ。
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