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第1章・辺境へ追放されたのはメインヒロイン。
21安楽椅子探偵でもあるまいし。
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この好意は私がメリィベルだから生まれているものなら、それが彼の王家……次期国王としての判断能力を損なわせている可能性もある。
恋は人を救う、恋は人を成長させる。
ノンプリ的にはそうだけど現実としては、恋は人を駄目にすることの方が多い。
ここはメリィベルだろうがなんだろうが、惚れた腫れたで正常な判断や危機感が出来なくなるのは良くない。しかもこれは単なるティーンエイジャーの話じゃなくてこの国の未来に直結するような話だ。
私のような謎の追放令嬢は、ちゃんと怪しまなきゃ駄目なのよ。
「…………いや、ないだろう。親友の話をしていたのは私が身分を明かす前だ。ある程度私の身分を推測出来ていたとしても、わざわざ人形まで作るようなことをする必要ない。それに現状の私にそんな発言権はない、私のような病んだ若造の言葉より法曹界を統べるローグ候爵の裁量の方がこの国において真っ当で重い。そのくらいのことは賢い君なら十二分に理解をしているはずだ」
彼は私の言葉を冷静に考え直して、理路整然と否定する。
ぐ……、いや確かに。
やや自分を卑下しすぎなところはあるけど、フルカラ王国の法を遵守して常に公平を目指すローグ候爵の決定を王家が感情的に否定するのは王国の法自体を否定するのと同じだ。
例え彼を懐柔したとして、主張してもらったとして第一王子だろうと国王だろうと覆すには至らない。
ここまで貴族社会に詳しくて、国政を理解している私がそんな浅はかな策略を巡らせることはないし。
確かに親友想いアピをするにしても、石粉粘土でフィギュアをフルスクラッチしてみせるのはコスパが悪すぎるし気持ちも悪い。
ちゃんと冷静で賢い……、流石第一王子それはそれこれはこれとして考えている。
なんて私が感心していると。
「いや……すまない。何者でもない僕が、君の無実を証明することも保証することも出来ない者に信じられたところで何の力にもならないな……」
彼は落ち着いた様子というか、意気消沈した様子で私に言う。
一人称も僕に戻している、冷静にはなれたようだ。
でもまだ自信はないみたいね……。
発作を抑えられるくらいの感情抑制は出来るようにはなったみたいだけど、根本的なところはもう少し時間がかかるか。
「ううん、ありがとね。私こそごめんね、確かに私はやってないよ。でも悲観的にもなってないし怒ってもない、イザベラは無事だったしここでの暮らしも気に入ってるしね」
私は素直な感謝を伝える。
これは真実を隠しているという点に目を瞑ればおおよそ本音である。
ご飯も美味しいし、風邪薬作ったり鎮痛剤を作ったり骨折を固めたり、芝生の上で煙草を吸ったり、源泉かけ流しの温泉入り放題だったり。
何より望んだ結果、私はここに居るんだから。
「だが犯人の目的はなんだ……? ローゼンバーグ公爵家に嫁ぐ可能性のある令嬢の排除…………、その為にイザベラ嬢に毒を盛った……空席になった次期公爵夫人の座を狙った……? なら犯人はその座を狙える位置の貴族家というのであれば伯爵位以上の貴族が関わっている……、だが何故ローゼンバーグなんだ? 狙うなら工業発展推進派のアランドル公爵家に嫁いだ方がこれからの国政には影響力も大きいはず…………いや工業発展推進派がローゼンバーグの動きを握るために行った……? いやしかしそんな危ない橋を渡るようなことをする必要性も……まさか――――」
「まあ考えても仕方ないわよ。安楽椅子探偵でもあるまいし優秀な捜査機関が王都で血眼になっても見つからなかったんだから、辺境の地でティーンエイジャーが考えたってわからないものはわからないよ」
彼が下を向いてがっつり推理を始めたので、私は彼を止める。
このまま推理が伸びて、現状誰が一番得をしたかって角度で思考されてしまうとイザベラの犯行に辿り着いてしまうかもしれない。
恋は人を救う、恋は人を成長させる。
ノンプリ的にはそうだけど現実としては、恋は人を駄目にすることの方が多い。
ここはメリィベルだろうがなんだろうが、惚れた腫れたで正常な判断や危機感が出来なくなるのは良くない。しかもこれは単なるティーンエイジャーの話じゃなくてこの国の未来に直結するような話だ。
私のような謎の追放令嬢は、ちゃんと怪しまなきゃ駄目なのよ。
「…………いや、ないだろう。親友の話をしていたのは私が身分を明かす前だ。ある程度私の身分を推測出来ていたとしても、わざわざ人形まで作るようなことをする必要ない。それに現状の私にそんな発言権はない、私のような病んだ若造の言葉より法曹界を統べるローグ候爵の裁量の方がこの国において真っ当で重い。そのくらいのことは賢い君なら十二分に理解をしているはずだ」
彼は私の言葉を冷静に考え直して、理路整然と否定する。
ぐ……、いや確かに。
やや自分を卑下しすぎなところはあるけど、フルカラ王国の法を遵守して常に公平を目指すローグ候爵の決定を王家が感情的に否定するのは王国の法自体を否定するのと同じだ。
例え彼を懐柔したとして、主張してもらったとして第一王子だろうと国王だろうと覆すには至らない。
ここまで貴族社会に詳しくて、国政を理解している私がそんな浅はかな策略を巡らせることはないし。
確かに親友想いアピをするにしても、石粉粘土でフィギュアをフルスクラッチしてみせるのはコスパが悪すぎるし気持ちも悪い。
ちゃんと冷静で賢い……、流石第一王子それはそれこれはこれとして考えている。
なんて私が感心していると。
「いや……すまない。何者でもない僕が、君の無実を証明することも保証することも出来ない者に信じられたところで何の力にもならないな……」
彼は落ち着いた様子というか、意気消沈した様子で私に言う。
一人称も僕に戻している、冷静にはなれたようだ。
でもまだ自信はないみたいね……。
発作を抑えられるくらいの感情抑制は出来るようにはなったみたいだけど、根本的なところはもう少し時間がかかるか。
「ううん、ありがとね。私こそごめんね、確かに私はやってないよ。でも悲観的にもなってないし怒ってもない、イザベラは無事だったしここでの暮らしも気に入ってるしね」
私は素直な感謝を伝える。
これは真実を隠しているという点に目を瞑ればおおよそ本音である。
ご飯も美味しいし、風邪薬作ったり鎮痛剤を作ったり骨折を固めたり、芝生の上で煙草を吸ったり、源泉かけ流しの温泉入り放題だったり。
何より望んだ結果、私はここに居るんだから。
「だが犯人の目的はなんだ……? ローゼンバーグ公爵家に嫁ぐ可能性のある令嬢の排除…………、その為にイザベラ嬢に毒を盛った……空席になった次期公爵夫人の座を狙った……? なら犯人はその座を狙える位置の貴族家というのであれば伯爵位以上の貴族が関わっている……、だが何故ローゼンバーグなんだ? 狙うなら工業発展推進派のアランドル公爵家に嫁いだ方がこれからの国政には影響力も大きいはず…………いや工業発展推進派がローゼンバーグの動きを握るために行った……? いやしかしそんな危ない橋を渡るようなことをする必要性も……まさか――――」
「まあ考えても仕方ないわよ。安楽椅子探偵でもあるまいし優秀な捜査機関が王都で血眼になっても見つからなかったんだから、辺境の地でティーンエイジャーが考えたってわからないものはわからないよ」
彼が下を向いてがっつり推理を始めたので、私は彼を止める。
このまま推理が伸びて、現状誰が一番得をしたかって角度で思考されてしまうとイザベラの犯行に辿り着いてしまうかもしれない。
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