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第一部3・魔法の詠唱はない方が強いとかじゃなくて有るのが弱すぎる。【全8節】
06同じ色の血だ。
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「前を潰せ、後ろは焼く」
「はいはい、了解!」
角ありのお二人も、俺たちの戦力分析を終えたようで一気に動き出す。
角あり女はクロウが俺をカバー出来ないように、近接格闘で引き付け。
その隙に角あり男が俺へ例の魔法を厳しく避けられないように連射をする。
想定内。
さっきの思考中に偽無詠唱で発生させずに溜めていた魔力導線を複数同時に展開して捌いて、水撃弾を撃ち返す。
俺は『狙撃』のスキルを持つ。
視力が良くて遠距離攻撃の命中率が高い、まあ他にも色々とあるがざっくりそんな感じのスキルだ。
まあ後衛向けで、弓使いになる奴もいるし投擲武器だとか銃だとかの使い手になる奴も多い。
でも俺はステータス的に筋力より魔力のがやや多めだったのと一応三系統の魔法は使える資質があったし、銃は高くて買えなかったから魔法使いになった。
つまり威力はともかく、この距離で俺が魔法を外すことはない。
当然のように、狙い通りに水撃弾は角あり男の右手に着弾する。
「ぐ……っ!」
角あり男は右手を弾かれ、苦い顔をしながら左手をこちらに向ける。
速射でさらに水撃弾を左手に当てる。
「ッ‼ カバーだ! 二秒稼げ!」
角あり男は受け身をとって、転がりつつ動きながら角あり女にカバーを要請する。
だが。
「そこまで筋力があるなら少し重めの武器を持っていいと思う。槍とかを使うといい、せっかくそれだけ速く動けるんならリーチと攻撃範囲を伸ばして相手の動きを制限させるような立ち回りを――」
角あり女は瞬きに満たないほどの時間の中で、完全に拘束され何が起きたのか理解出来ず呆気に取られながら、クロウにアドバイスをされていた。
流石すぎる。
あの角あり女も運が悪すぎる、リコーみたいな硬い盾役ならともかく自分より遥かに速い奴が相手になるなんて想定してなかったろうに……。
「おおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおぉおおおお――――――――ッ‼」
角あり男はがしがしと水撃弾で濡れた腕をズボンで拭いて水気をとって両の手のひらから交互に例の火系統の魔法をクロウに向けて乱射する。
やはり手のひらからしか魔法を出せないらしい、そして物理的な干渉を起こすところから手が濡れていたら思うようには使えない。
クロウに対して速さ比べで挑んだこと。
手を拭かなくちゃならなかったこと。
絶対にクロウには攻撃が当たらないこと。
足を止めて乱射していること。
ここが狙いが付けやすい運動場だったこと。
俺に魔法を溜める隙を与えたこと。
以上、これが彼らの敗因だ。
俺は角あり男の腕を目掛けて、斬撃風を放つ。
風の系統は空気を圧縮して放つ為に基本的に不可視、速度もまあまあ。ただ空気という形のないものを無理やり固めて打ち出している為に有効範囲がそれほど遠くないのと、貫通性能に乏しい。
しかしこの距離なら、角あり男の腕を斬り落とすくらいの威力は出せる。
「――――ッ⁉ がぁ……っ!」
角あり男の左腕が皮一枚を残して、切断されてだらんと垂れ下がり血が吹き出す。
同じ色の血だ。
魔族も俺らもそれほど変わらないのかもしれない。
こうなれば、精神性に依存する無詠唱での魔法は使えない。
そもそも出力するための手も向けられない。
捕らえて軍にでも突き出す。なんで『賢者の石』を狙ってんのか吐かせねえとならねえしミーシア先生の研究拠点も動かしたり護衛をつけて貰わねえと――――――。
「……ぐ、ぁぁ……、ふっ! 俺のぉ……、スキルはぁ…………っ『超再生』ッ‼」
角あり男は脂汗を滲ませながら、ちぎれかけた腕を無理やり繋げて走り出す。
「はいはい、了解!」
角ありのお二人も、俺たちの戦力分析を終えたようで一気に動き出す。
角あり女はクロウが俺をカバー出来ないように、近接格闘で引き付け。
その隙に角あり男が俺へ例の魔法を厳しく避けられないように連射をする。
想定内。
さっきの思考中に偽無詠唱で発生させずに溜めていた魔力導線を複数同時に展開して捌いて、水撃弾を撃ち返す。
俺は『狙撃』のスキルを持つ。
視力が良くて遠距離攻撃の命中率が高い、まあ他にも色々とあるがざっくりそんな感じのスキルだ。
まあ後衛向けで、弓使いになる奴もいるし投擲武器だとか銃だとかの使い手になる奴も多い。
でも俺はステータス的に筋力より魔力のがやや多めだったのと一応三系統の魔法は使える資質があったし、銃は高くて買えなかったから魔法使いになった。
つまり威力はともかく、この距離で俺が魔法を外すことはない。
当然のように、狙い通りに水撃弾は角あり男の右手に着弾する。
「ぐ……っ!」
角あり男は右手を弾かれ、苦い顔をしながら左手をこちらに向ける。
速射でさらに水撃弾を左手に当てる。
「ッ‼ カバーだ! 二秒稼げ!」
角あり男は受け身をとって、転がりつつ動きながら角あり女にカバーを要請する。
だが。
「そこまで筋力があるなら少し重めの武器を持っていいと思う。槍とかを使うといい、せっかくそれだけ速く動けるんならリーチと攻撃範囲を伸ばして相手の動きを制限させるような立ち回りを――」
角あり女は瞬きに満たないほどの時間の中で、完全に拘束され何が起きたのか理解出来ず呆気に取られながら、クロウにアドバイスをされていた。
流石すぎる。
あの角あり女も運が悪すぎる、リコーみたいな硬い盾役ならともかく自分より遥かに速い奴が相手になるなんて想定してなかったろうに……。
「おおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおぉおおおお――――――――ッ‼」
角あり男はがしがしと水撃弾で濡れた腕をズボンで拭いて水気をとって両の手のひらから交互に例の火系統の魔法をクロウに向けて乱射する。
やはり手のひらからしか魔法を出せないらしい、そして物理的な干渉を起こすところから手が濡れていたら思うようには使えない。
クロウに対して速さ比べで挑んだこと。
手を拭かなくちゃならなかったこと。
絶対にクロウには攻撃が当たらないこと。
足を止めて乱射していること。
ここが狙いが付けやすい運動場だったこと。
俺に魔法を溜める隙を与えたこと。
以上、これが彼らの敗因だ。
俺は角あり男の腕を目掛けて、斬撃風を放つ。
風の系統は空気を圧縮して放つ為に基本的に不可視、速度もまあまあ。ただ空気という形のないものを無理やり固めて打ち出している為に有効範囲がそれほど遠くないのと、貫通性能に乏しい。
しかしこの距離なら、角あり男の腕を斬り落とすくらいの威力は出せる。
「――――ッ⁉ がぁ……っ!」
角あり男の左腕が皮一枚を残して、切断されてだらんと垂れ下がり血が吹き出す。
同じ色の血だ。
魔族も俺らもそれほど変わらないのかもしれない。
こうなれば、精神性に依存する無詠唱での魔法は使えない。
そもそも出力するための手も向けられない。
捕らえて軍にでも突き出す。なんで『賢者の石』を狙ってんのか吐かせねえとならねえしミーシア先生の研究拠点も動かしたり護衛をつけて貰わねえと――――――。
「……ぐ、ぁぁ……、ふっ! 俺のぉ……、スキルはぁ…………っ『超再生』ッ‼」
角あり男は脂汗を滲ませながら、ちぎれかけた腕を無理やり繋げて走り出す。
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