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第一部10・筋肉は嘘をつかないが勘違いはさせてしまう。【全14節】
14今この時に出会えて良かった。
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まあ、つまりこのブラキス・ポートマンはクロウ・クロスやメリッサ、ブライさんが居た東の果ての町で冒険者をやっていたのだ。
後半はメリッサともパーティを組んでいたこともあるらしい。
サウシスにいる元パーティメンバーの夫妻に会いに行く道すがら、顔を見せたかったのはブライパーティの面々だったとのこと。
まあブライさんは現在勇者パーティへギルド本部から極秘任務扱いで武術指南をしているし。
勇者になったメリッサは国の要人として中々謁見の機会を得るのが難しい。
もう一人のセツナという魔道具技師は数ヶ月前に公都を出ている。
とりあえず彼とメリッサとブライさんの三人で、温め直した差し入れのスープを先割れスプーンで飲みづらそうにすすりながら募る話で盛り上がる。
聞いている感じ、彼は先輩方からかなり可愛がられていた後輩というか弟分だったようだ。
わかる、可愛い。
「というか俺の方が驚いたよ……、ポピーさんが賢者なんて、確かに卓越し過ぎているとは思ったんだ。すごいなぁ」
スープをすすりながらしみじみと語る。
もーマジで耳が熱い。
「つーかメリッサ、ブラキスをこっちに寄越せ。そろそろテメーらの相手すんの俺一人じゃ手に余るようになってきた」
ブライさんが流れの中でぶっきらぼうにそういう。
「いや俺、バリィの兄貴たちに会い公都を通っただけだからぼちぼちもう出るよ」
「テメー俺はついでだったのか⁉ コノヤローおいおい!」
彼の淡白な答えにブライさんケラケラ笑いながら脇腹を突く。
そっか。
彼はそろそろ公都を出ちゃうのか。
着いてくわけにもいかないし、彼にも彼の用事があるので仕方ない……。
『通信結晶』を渡しておくし、まあどうしようもなくなったら筋肉召喚を使おう。
でも公都を出る前にもうちょっと距離を……、うーん。
「つーかバリィも連れてこいよ。賢者のねーちゃんならサウシスくらい転移魔法で一瞬だろ。北からサウシス往復旅ってことはそれなりに日程とってんだろ? 移動時間が消滅すりゃ滞在日数増えんじゃねえか」
というブライさんの素敵な提案に。
「今すぐ跳ぶわよ!」
私は彼の手を掴んでサウシスの街へと跳んだ。
この後、超高待遇でバルーン一家を公都に招集し。
前衛盾役に暴力狂人双剣士ブライ・スワロウ。
前衛火力にハイパー筋肉斧使いブラキス・ポートマン。
後衛魔法使いに分析の悪魔バリィ・バルーン。
その三名によるパーティを仮想クロウ・クロスとして私たちは訓練を行った。
信じられないほどの連携で、手も足も出ないほどにボッコボコにされつつも。
訓練終わりには彼とデートを重ねた。
十七歳という若さに驚いたけれど、私もまあ若い。
六年程度なら諦めたりするほどの絶望的な差ではいだろう。
今、この時に会えたので良い。
十歳差だったら彼は私を綺麗だと思わなかったかもしれない。
三十歳差だったら私は恋に落ちてなかったかもしれない。
百年だったら出会えてもなかった。
たった六歳差で、今この時に出会えて良かった。
何だかんだで手を繋ぐことにも慣れ、仮想クロウ・クロスパーティにも慣れてきたところで。
帝国と魔族の連合軍の襲来により。
順調な日々は、粉々に砕かれてしまうのだけれど。
それまで私は彼の胸筋に抱かれて、夢を見るのだった。
後半はメリッサともパーティを組んでいたこともあるらしい。
サウシスにいる元パーティメンバーの夫妻に会いに行く道すがら、顔を見せたかったのはブライパーティの面々だったとのこと。
まあブライさんは現在勇者パーティへギルド本部から極秘任務扱いで武術指南をしているし。
勇者になったメリッサは国の要人として中々謁見の機会を得るのが難しい。
もう一人のセツナという魔道具技師は数ヶ月前に公都を出ている。
とりあえず彼とメリッサとブライさんの三人で、温め直した差し入れのスープを先割れスプーンで飲みづらそうにすすりながら募る話で盛り上がる。
聞いている感じ、彼は先輩方からかなり可愛がられていた後輩というか弟分だったようだ。
わかる、可愛い。
「というか俺の方が驚いたよ……、ポピーさんが賢者なんて、確かに卓越し過ぎているとは思ったんだ。すごいなぁ」
スープをすすりながらしみじみと語る。
もーマジで耳が熱い。
「つーかメリッサ、ブラキスをこっちに寄越せ。そろそろテメーらの相手すんの俺一人じゃ手に余るようになってきた」
ブライさんが流れの中でぶっきらぼうにそういう。
「いや俺、バリィの兄貴たちに会い公都を通っただけだからぼちぼちもう出るよ」
「テメー俺はついでだったのか⁉ コノヤローおいおい!」
彼の淡白な答えにブライさんケラケラ笑いながら脇腹を突く。
そっか。
彼はそろそろ公都を出ちゃうのか。
着いてくわけにもいかないし、彼にも彼の用事があるので仕方ない……。
『通信結晶』を渡しておくし、まあどうしようもなくなったら筋肉召喚を使おう。
でも公都を出る前にもうちょっと距離を……、うーん。
「つーかバリィも連れてこいよ。賢者のねーちゃんならサウシスくらい転移魔法で一瞬だろ。北からサウシス往復旅ってことはそれなりに日程とってんだろ? 移動時間が消滅すりゃ滞在日数増えんじゃねえか」
というブライさんの素敵な提案に。
「今すぐ跳ぶわよ!」
私は彼の手を掴んでサウシスの街へと跳んだ。
この後、超高待遇でバルーン一家を公都に招集し。
前衛盾役に暴力狂人双剣士ブライ・スワロウ。
前衛火力にハイパー筋肉斧使いブラキス・ポートマン。
後衛魔法使いに分析の悪魔バリィ・バルーン。
その三名によるパーティを仮想クロウ・クロスとして私たちは訓練を行った。
信じられないほどの連携で、手も足も出ないほどにボッコボコにされつつも。
訓練終わりには彼とデートを重ねた。
十七歳という若さに驚いたけれど、私もまあ若い。
六年程度なら諦めたりするほどの絶望的な差ではいだろう。
今、この時に会えたので良い。
十歳差だったら彼は私を綺麗だと思わなかったかもしれない。
三十歳差だったら私は恋に落ちてなかったかもしれない。
百年だったら出会えてもなかった。
たった六歳差で、今この時に出会えて良かった。
何だかんだで手を繋ぐことにも慣れ、仮想クロウ・クロスパーティにも慣れてきたところで。
帝国と魔族の連合軍の襲来により。
順調な日々は、粉々に砕かれてしまうのだけれど。
それまで私は彼の胸筋に抱かれて、夢を見るのだった。
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