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第一部11・人の生命を救うのは結局のところ最後は根性。【全10節】

08任せろ。

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「一旦、前回と同じくバリィ狙いで行く。でも前回と違って、本気で殺す気でやるし。役割に固執しないで圧力をかけ続ける。最優先でバリィは狙うけど、行けそうならブライやブラキスでもいい。火力を集中させて一枚落とす。そしてクライス」

 メリッサは真剣な眼差しで作戦を語り、そのまま私に向き直す。

「私への回復優先度は最後でいい。最優先はクライス自身、次点がポピーでその次にダイル。あとバリィは必ずクライスを狙ってくる。これはまあバリィ自身が言ってたようなもんだけど、これに対してカウンターを取るのも視野に入れる。悪いけど囮にするよ」

 メリッサは私に語る。

「私たちトーンの冒険者は回復役の強さを知っているの。別のパーティにキャミィって回復役が居て、正直私たちはキャミィが回復役の基準になってしまっている。この基準からすると、回復魔法の効果はクライスの方が少し強力だけど立ち回りや格闘戦能力においては雲泥の差があった。

 私の客観的な評価を教えてくれる。

「でもクライスの杖術はこの短期間でバリィを転がすくらいにまで育った。私は正直、もうクライスはキャミィを超えていると思うし、囮に足る実力があると思っている」

 今度はメリッサの主観的な評価を教えてくれる。

「でも多分、奴らはまだそう思っていない。キャミィはトーンのギルドにおいてトップアイドルだった。一番綺麗だったし、貴重な回復役だったし、喧嘩も強かった。奴らは野郎集団、思い出補正がかかりまくっていると思う。多分バリィの奥さんのリコーとか後衛魔法使いのセツナとかの女性陣が一人でもいたなら私と同じように考えたはずなんだけど、冒険者の男は根っこが馬鹿だから」

 呆れた口調でそう続ける。

 まあ、ティーンエイジャーの小娘が男を語るのに十年は早いことに目を瞑って聞く。

「キャミィは確かに優秀だった。でも、二十年以上教会の中で人を救い続けて生きてきたクライスが、二十歳そこそこの小娘に回復役としての根性が負けているわけがない。毎日手から血が吹き出して足の爪が剥がれようとも回復してひたすら杖術に打ち込むような根性のある人間を、私は他に知らない。今のあんたは勇者パーティの回復役に相応しい実力者だ」

 言葉に力を込めて、私の目を見て私への期待を語る。

 よく見ているし、調べてもいる。
 小娘なりに勇者としての役割を果たそうとしているようだ。



 にやりと口角を上げつつも力の入った口調で、メリッサは真摯に私へ告げる。

 私はその言葉で私の心に火が点る。

 心の熱がじりじりと心臓を焦がして血液を沸かし。

「……ああ、任せろ……‼」

 珍しく声量を強めて、私は答えた。

「もーいーい……みたいね」

 バリィ氏は構えるこちらを見て、構えて返す。

 仮想クロウ・クロスパーティへのリベンジマッチが始まった。

 前回とは違い初手はポピーの魔法光線を弾幕にして撃ち出すところからはじまった。

 魔法光線はバリィ氏が全員に掛けていた魔法防御で弾かれるが、これで魔法防御の有無を確認が出来た。

 光線で視界が奪われた一瞬を狙ってダイルがブライ氏に突っ込む。

 食い止めるというより、完全にブライ氏を殺す動きで食らいつく。

 ダイルが横から落とされぬようにポピーがブラキス氏に魔法光線を撃ち込むが、初手の弾幕で魔法防御が貼られていることが分かっているので、より貫通性能を高めるために螺旋状の魔法光線を高速回転をさせながら撃ち出す。

 これは魔力導線という魔法防御を対策する為に生み出したものらしい。

 それを一瞬で察した分析の悪魔であるバリィ氏はブラキス氏を守る為に別のかたちの魔法防御を展開する。

 その瞬間にメリッサがバリィ氏へと跳ぶ。

 今回メリッサが使う武器はナイフ。薙刀じゃあ強度が怪しいので構造上強度が取れるナイフにした。

 そして今回は酸素中毒対策に風魔法を身体に纏って高濃度の酸素を掻き消す。

 そのまま一直線にバリィ氏の喉元にナイフを振るが、
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