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第一部11・人の生命を救うのは結局のところ最後は根性。【全10節】

10ぎゃふん。

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「はーい、反省会やるわよー」

 メリッサは手を叩きながら上機嫌に全員を集める。

 回復を終えた面々がメリッサの前に集まる。

「まあ色々講釈垂れたいけど、とりあえず一個」

 したり顔でメリッサは仮想クロウ・クロスパーティに向け。

「勇者パーティ舐めすぎ、馬鹿でしょあんたたち」

 堂々と煽る。

「ダイルは迫撃戦最強、田舎でゴロツキ叩いてたブライがいつまでも余裕で抑えられるわけがない。伸び代で言うんなら誰よりも天井が高いのよ? ブライの強さは別に到達する場所じゃなくて通過点でしかないのよ」

 ダイルについて捲し立てるようにブライ氏に語る。

「ポピーは魔法戦最強、賢者の称号を持つのよ? 実戦から離れて子供にお勉強教えてる教員ごときが出し抜こうとするのは流石に恥ずかしいわ……、え? なんか子供相手に教えてる内に勘違いしちゃったわけ?」

 ポピーについてにやにやしながらバリィ氏に語る。

「クライスは回復役最強、年間何千人の命を救って来たと思ってんの? その為に自分の腹かっ捌いて内蔵の位置見るなんてことキャミィはやってた? 回復において世界で一番だからここにいんのよ。たかが田舎者の筋肉ヘボダルマの一撃を回復し切るくらい余裕に決まってんでしょ」

 私についてやや熱くなりながらブラキス氏に語る。

 いやはや高評価は有難い限りではあるのだが、それより思うのは。

 溜まってたんだなあ……鬱憤。

 そうだよな。
 煮え湯を飲まされ続けてきたもんな。
 この勝利は正直、私も嬉しい。

「私は我慢が出来なくて、わがままで、乱暴で、生意気で可愛いだけのクソガキだけど」

「あとペチャパイな――ぶごッ」

 メリッサの語りに口を挟んだブライ氏の鼻っ柱が撃ち抜かれる。

 私は黙ってそっと回復をしておく。

「可愛いだけの美少女だけど」

 しれっとランクを上げて言い直し。

鹿ぉっ‼」

 最高のドヤ顔で、堂々と宣った。

「…………はあ、ぐうの音も出ないね。確かにクライス君を舐めていたことが最大の敗因だしな。模擬戦出力とは言えブラキスの一撃を食らってすぐに復帰させたり復帰してくることを想定してなかった。勇者パーティ舐めていた、ぎゃふんだよ」

 眉をひそめて困り顔で俯きながらバリィ氏はメリッサにそう返し。



 ゆっくりと顔を上げながら、凄まじい圧力を発しながらそう続けた。

 それに対し。

「だから舐めんなって。死ねないけど泣き言垂れんなよ馬鹿野郎共」

 メリッサは歪んだ笑みで返す。

 ああ、楽しい。
 私は今、憧れた外の世界で仲間が出来た。

 この血の気の多い会話を心から楽しめる。

 手前勝手な好奇心で教会から出たが、彼らに出会えて本当に良かった。

 こういう時はとりあえず神に感謝しておけば間違いはない。

 あの本に一文を残したビリーバーとやらが神であれ人であれ、私は今幸せなのだから。

 なんて神に出会いを感謝しているが。

 この後巻き起こる、魔族と帝国の連合軍率いて公都に現れたクロウ・クロスを相手にした時には。

 流石の私も、神を恨んだ。
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