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第一部・エピローグ。【全4節】

01もう一度この世界について。

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 もう一度この世界についてに聞いてほしい。

 一旦ね。
 まあこれは少しだけ珍しい話だ。

 この世界には異世界の一企業によってスキルという超常的な力を与えられ、全ての人類が何かしらのスキルを

 ざっくり言えば、あらゆる速度やそれに関連する事象に干渉が出来る『超加速』やら。

 そんな力を発動させないようにする『無効化』やら。

 他にも『勇者』やら『狙撃』やら『重戦士』やら『双剣士』やら『魔力操作』やら、まあどんなもんかは字面から想像してくれ。多分大体当たっている。

 さらに人間の色々な力を浅はかに数値化して測ろうとするステータスウインドウというものも使

 これは万有引力のような光速度不変の原理みたいな世界の理のように、がっちりと世界に

 
 使
 

 つまり過去形の話だ。
 今はもうそんなものはない。

 どうしてこんなものがあったのかと言えば。

 一重に魔物の存在が理由とされる。

 まあこれも異世界から干渉で造られたシステムで、動物とは違って異形でとにかく人を襲う害獣だ。

 魔物は人を喰った。

 日々魔物被害を抑えるのに躍起になっていった結果、異世界と比べてこの世界の発展は長らく停滞した。

 仕方ないっちゃ仕方ない。
 余裕がなかったのだから。

 なかった。そう、これも過去形。

 そんなわけのわからん魔物なんておっかないものも、もういない。

 でも魔法は今もある。

 これは普通に、魔力って情報を与えると変化を起こすエネルギーが万物に宿っていて身体の中の魔力に詠唱したりしなかったりして明確なイメージを与えて現象へと昇華させるみたいな。

 しかしこれも……まあ、少し変わった。
 ちょっと前まで魔物を相手にする為に攻撃魔法とかが重要視されていたし、高威力なものが評価されていた。

 でも魔物はいない。
 それと魔物やスキルだのを世界の理のように動かす為に使われていた魔力が世界に戻って、人類の魔力との親和率もじわじわ上がっている。

 なので少し魔法も色々と個人で出来ることが増えたり、考える必要のないものが出来たりして少し変わった。

 それに合わせた技術革新も始まっていて、魔力自動四輪なども試作段階にあるとかないとか。

 閑話休題。

 この世界は少し前まで、異世界では流行りきって飽和状態のティーンエイジャー向け娯楽創作物のようにデザインされた世界だった。

 まあ実際異世界の娯楽創作物の為に干渉を受けて改変されていたわけだから、そうなる。 

 そりゃ派手な魔法があって、何を根拠に定義した数値なのかわからんけどわかりやすく数値化されたステータスやら、超人的な力を使えるスキルや、明確な悪としての魔物がいたり。

 傍から見ている分には面白がれるような世界だった。

 悪いことは全部魔物のせいに出来た。
 人の優劣をステータスやスキルで測っていた。

 でも、それらはもう過去の話だ。

 だからこれからは、資源や物流や信仰や種族差別やらの問題に人が人として向き合わなくてはならない。

 もう楽は出来ない。

 そんな今の世界の話。 
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