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第一部22・愛する者がいる方が強いとかじゃなくていないのが弱すぎる。【全10節】
04民間人には悟らせないほどに鮮やかな同時多発的強襲制圧。
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ここからお出かけセットを準備。
替えのオムツに離乳食、水筒にタオル、ブランケット、一応着替えと、帽子も被せて、お気に入りのおもちゃを一つ、その他もろもろかばんに詰め込んで。
リコー宛にメモを残す。
クロウを畳みに……、いやそれは無理だな。
殴りに……、ぶっ飛ばしに……いや。
つーか俺はクロウを殴りたいのか……? 正直勝ちたいとは思っているが、別に……。
じゃあ、まあこれか。
クロウと話してくる。
一言だけそう書いておいた。
謙遜抜きで俺がクロウに出来るのはそれだけだしな。
抱っこ紐でライラを前抱っこして、俺たちは家を出た。
「おー……、おーっ、ぱーぱ! ぱーぱ!」
「お、なんだ? あー野菜だな、あの赤いのがトマトで、橙なのがニンジンだ。ニンジンは今日食べた離乳食にも入ってるんだぞー」
きょろきょろして街並みに興味津々なライラに、ひとつずつ説明していく。
街は不自然なほどにいつも通りの光景だった。
だがなんとなーく街の人々も。
なんか起こってるっぽいけど軍とかから特になんの警報やら指示とかないし、とりあえずいっか。
みたいな空気感で日常生活を送っている。
試しに少し軍施設に近づいて『狙撃』の強視力で遠くから覗いてみたが、思いっきり制圧されていた。
争った形跡が極端に少ない……、これまさか転移魔法で一気に強襲して交戦準備が整う前に制圧したのか……?
それを公都中の軍拠点や……、主要貴族の屋敷に行う。
『通信結晶』を抑えて連絡手段断ち、何もさせないまはま公都を落とす。
民間人には悟らせないほどに鮮やかな同時多発的強襲制圧……、クロウの好きそうなやり口だ。
「よーし、……ほいっ」
「わーっ! きゃっきゃ!」
俺は再び拡張した『狙撃』で紙ヒコーキをクロウに向けて撃つと、ライラは嬉々として笑う。
クロウに向かってふわふわとゆっくり飛ぶ紙ヒコーキを歩いて追いかける。
俺はそんな広範囲の魔力感知も出来ないし、足も速かねえし、勿論転移魔法も使えない。
だから紙ヒコーキを飛ばして歩くしかない。
紙ヒコーキは旧王城、公都の中心を向いていた。
まあまあな距離なのでライラをあやしながら真っ直ぐと向かっていると。
「……!」
ばったりと、どこかしらの制圧を終えたのであろう帝国軍の部隊と出会う。
まあ民間人を狙うような真似はしていないので、このまま素通りしてしまえばいいのだが。
目の良い奴……『鑑定』やら『観察』持ちで鑑定魔法とかが得意なやつがいると厄介だ。
俺の『狙撃』で何をやっているかを勘づかれたくないのと、ライラのスキルを知られたくない。
なるべく気にしない様子でやり過ご――――。
「――そこの御仁、待つのである」
帝国軍の隊長らしき男に声をかけられる。
替えのオムツに離乳食、水筒にタオル、ブランケット、一応着替えと、帽子も被せて、お気に入りのおもちゃを一つ、その他もろもろかばんに詰め込んで。
リコー宛にメモを残す。
クロウを畳みに……、いやそれは無理だな。
殴りに……、ぶっ飛ばしに……いや。
つーか俺はクロウを殴りたいのか……? 正直勝ちたいとは思っているが、別に……。
じゃあ、まあこれか。
クロウと話してくる。
一言だけそう書いておいた。
謙遜抜きで俺がクロウに出来るのはそれだけだしな。
抱っこ紐でライラを前抱っこして、俺たちは家を出た。
「おー……、おーっ、ぱーぱ! ぱーぱ!」
「お、なんだ? あー野菜だな、あの赤いのがトマトで、橙なのがニンジンだ。ニンジンは今日食べた離乳食にも入ってるんだぞー」
きょろきょろして街並みに興味津々なライラに、ひとつずつ説明していく。
街は不自然なほどにいつも通りの光景だった。
だがなんとなーく街の人々も。
なんか起こってるっぽいけど軍とかから特になんの警報やら指示とかないし、とりあえずいっか。
みたいな空気感で日常生活を送っている。
試しに少し軍施設に近づいて『狙撃』の強視力で遠くから覗いてみたが、思いっきり制圧されていた。
争った形跡が極端に少ない……、これまさか転移魔法で一気に強襲して交戦準備が整う前に制圧したのか……?
それを公都中の軍拠点や……、主要貴族の屋敷に行う。
『通信結晶』を抑えて連絡手段断ち、何もさせないまはま公都を落とす。
民間人には悟らせないほどに鮮やかな同時多発的強襲制圧……、クロウの好きそうなやり口だ。
「よーし、……ほいっ」
「わーっ! きゃっきゃ!」
俺は再び拡張した『狙撃』で紙ヒコーキをクロウに向けて撃つと、ライラは嬉々として笑う。
クロウに向かってふわふわとゆっくり飛ぶ紙ヒコーキを歩いて追いかける。
俺はそんな広範囲の魔力感知も出来ないし、足も速かねえし、勿論転移魔法も使えない。
だから紙ヒコーキを飛ばして歩くしかない。
紙ヒコーキは旧王城、公都の中心を向いていた。
まあまあな距離なのでライラをあやしながら真っ直ぐと向かっていると。
「……!」
ばったりと、どこかしらの制圧を終えたのであろう帝国軍の部隊と出会う。
まあ民間人を狙うような真似はしていないので、このまま素通りしてしまえばいいのだが。
目の良い奴……『鑑定』やら『観察』持ちで鑑定魔法とかが得意なやつがいると厄介だ。
俺の『狙撃』で何をやっているかを勘づかれたくないのと、ライラのスキルを知られたくない。
なるべく気にしない様子でやり過ご――――。
「――そこの御仁、待つのである」
帝国軍の隊長らしき男に声をかけられる。
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