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第一部番外・だから東に昇って西に沈んだ。【全45節】
18茶番劇。
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ここからリコーとブラキスが合流し、お決まりの訓練場へと足を運ぶ。
「はぁ……回りくどいわねバリィも、まあでも確かに流れは大切か」
キャミィは呆れつつ、深く伸脚をしながら言う。
「あの……アカカゲさん、バリィさんたちと何が――」
「さん、なんかいらねえよ。俺たちゃあそんな立派じゃねえ。気ぃ使うのはブライんとこのパーティだけでいい、あいつらはちょっと頭がイカれているからな」
不安げなブラキスの言葉を遮るように俺はそう言ってから。
「ただ俺はそんな、この町で対人戦最強のブライに何回か勝っている程度には喧嘩が強い。そこのキャミィは素手で魔物を殴り殺す程度には使い手だ。今からおまえの仲間が戦うのは、そんなやべえやつらだってことを肝に銘じておけ」
俺は加えていた火のついた煙草を素手で握り潰しながら、無表情で語った。
「――――火傷治癒。……熱いっていうか痛いでしょ、何やってんの? それたまにジスタもやってたけどジスタは革手袋してたでしょ。馬鹿でしょあんた」
こっそりと俺の手のひらを回復させながらキャミィは呆れるように言う。
「……ごめんなさい。ありがとうございます…………まあ、でもとりあえずこれで俺たちのハードルは上がった。後は派手に負けるだけだ」
俺はブラキスに聞こえないようにキャミィへと感謝を伝えつつ状況を伝える。
これは、茶番だ。
ブラキスが自分を取り巻く仲間に不足がないことを知らしめるための茶番劇だ。
ブライだとやり過ぎる、メリッサやセツナだと役不足、クロウだと不自然過ぎる。
だから元暗殺者でブライを何度か畳んだことのある俺が選ばれた。
しかもそれでも一対一なら俺に分があるし、二対一なら人数有利な為に目的が霞む。
キャミィを含めての二対二でやり合って俺たちが惜しくも負ける姿をブラキスに見せる。
この惜しくもってとこが難しい……、ブラキスの馬鹿筋肉ダルマが畜生……、バリィとリコー相手に接戦を演じるなんて本気でやんなきゃ無理だろ……。
「はあ……、こんな面倒なことに巻き込まれるんならバリィ無視してデート行けばよかったね……」
うんざりした顔でキャミィはため息混じりに呟く。
「デートはまた今度だ。バリィのパーティには上手く機能してもらわないと俺らの休みも作れないし、まあ仕方ないさ」
武器類の準備をしつつキャミィに返す。
まあ俺もデートはしたかったけど……、休みを作りやすくする為には必要なことではある。
「そうね。んで、作戦は?」
眉を上げてキャミィは俺に問う。
「そんな立派なもんはねえが……、恐らくバリィはキャミィを狙う。こっちは魔法防御が皆無に等しいし『狙撃』がある以上、立ち回りだけでの回避は不可能だ。だから初手から俺が全力全開で攻めて、バリィが攻撃よりもリコーをサポートしなくちゃならない状況を押し付け続ける。リコーを固めてバリィの注意を引いたらキャミィはバリィに格闘戦を挑んでくれ」
俺は淡々と武器類の準備を完了させながらキャミィへと作戦というか流れを伝える。
「んー、わかったけど。あんた大丈夫なの?」
「……何がだ?」
何かを心配するキャミィに俺は問い返す。
「おっぱい。あんた巨乳に弱いでしょ」
キャミィは自分の胸を寄せながら半分は真面目に答える。
そのポーズを止めろ、別におまえも大きい方だということを自覚しろ。俺に効く。
「……一応対策済みだ、安心しとけ」
俺は情けない声で、そう返す。
「おーい! イチャイチャしてんなよー! もういいか――――」
「多重空間魔法」
バリィが言い終わる前に、早速こちらから仕掛ける。
「はぁ……回りくどいわねバリィも、まあでも確かに流れは大切か」
キャミィは呆れつつ、深く伸脚をしながら言う。
「あの……アカカゲさん、バリィさんたちと何が――」
「さん、なんかいらねえよ。俺たちゃあそんな立派じゃねえ。気ぃ使うのはブライんとこのパーティだけでいい、あいつらはちょっと頭がイカれているからな」
不安げなブラキスの言葉を遮るように俺はそう言ってから。
「ただ俺はそんな、この町で対人戦最強のブライに何回か勝っている程度には喧嘩が強い。そこのキャミィは素手で魔物を殴り殺す程度には使い手だ。今からおまえの仲間が戦うのは、そんなやべえやつらだってことを肝に銘じておけ」
俺は加えていた火のついた煙草を素手で握り潰しながら、無表情で語った。
「――――火傷治癒。……熱いっていうか痛いでしょ、何やってんの? それたまにジスタもやってたけどジスタは革手袋してたでしょ。馬鹿でしょあんた」
こっそりと俺の手のひらを回復させながらキャミィは呆れるように言う。
「……ごめんなさい。ありがとうございます…………まあ、でもとりあえずこれで俺たちのハードルは上がった。後は派手に負けるだけだ」
俺はブラキスに聞こえないようにキャミィへと感謝を伝えつつ状況を伝える。
これは、茶番だ。
ブラキスが自分を取り巻く仲間に不足がないことを知らしめるための茶番劇だ。
ブライだとやり過ぎる、メリッサやセツナだと役不足、クロウだと不自然過ぎる。
だから元暗殺者でブライを何度か畳んだことのある俺が選ばれた。
しかもそれでも一対一なら俺に分があるし、二対一なら人数有利な為に目的が霞む。
キャミィを含めての二対二でやり合って俺たちが惜しくも負ける姿をブラキスに見せる。
この惜しくもってとこが難しい……、ブラキスの馬鹿筋肉ダルマが畜生……、バリィとリコー相手に接戦を演じるなんて本気でやんなきゃ無理だろ……。
「はあ……、こんな面倒なことに巻き込まれるんならバリィ無視してデート行けばよかったね……」
うんざりした顔でキャミィはため息混じりに呟く。
「デートはまた今度だ。バリィのパーティには上手く機能してもらわないと俺らの休みも作れないし、まあ仕方ないさ」
武器類の準備をしつつキャミィに返す。
まあ俺もデートはしたかったけど……、休みを作りやすくする為には必要なことではある。
「そうね。んで、作戦は?」
眉を上げてキャミィは俺に問う。
「そんな立派なもんはねえが……、恐らくバリィはキャミィを狙う。こっちは魔法防御が皆無に等しいし『狙撃』がある以上、立ち回りだけでの回避は不可能だ。だから初手から俺が全力全開で攻めて、バリィが攻撃よりもリコーをサポートしなくちゃならない状況を押し付け続ける。リコーを固めてバリィの注意を引いたらキャミィはバリィに格闘戦を挑んでくれ」
俺は淡々と武器類の準備を完了させながらキャミィへと作戦というか流れを伝える。
「んー、わかったけど。あんた大丈夫なの?」
「……何がだ?」
何かを心配するキャミィに俺は問い返す。
「おっぱい。あんた巨乳に弱いでしょ」
キャミィは自分の胸を寄せながら半分は真面目に答える。
そのポーズを止めろ、別におまえも大きい方だということを自覚しろ。俺に効く。
「……一応対策済みだ、安心しとけ」
俺は情けない声で、そう返す。
「おーい! イチャイチャしてんなよー! もういいか――――」
「多重空間魔法」
バリィが言い終わる前に、早速こちらから仕掛ける。
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