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第二部4・大人の道理を子供に語る時子供は大人にさせられる。【全6節】
02責任を感じちまう。
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ショッテ氏は悪くなかった。
煙幕で視界を奪っての『土竜叩き』はアカカゲの必殺コンボ、あれをやられたら大抵の奴は死ぬ。
でも多分ショッテ氏はチャコが魔力視や魔力感知が出来るとは思ってなかったんだろう。その手の魔法に明るいやつに視認性を悪くする戦法は通りづらい。
さらに『土竜叩き』も不完全だった。
あれはアカカゲの『忍者』による機動性やら、躰道や暗殺術による運動性や気配を殺す術があってこそのものだ。
発動から暗殺までを一挙動にできなくては、割り込まれる……でも発想は悪くない。実際アカカゲだったらチャコの首を取れていただろうから。
耐久性に優れた鍛え方は十分に出来ているので、後は身のこなしや機動性を上げられればかなりの使い手になりそうだ。
七十点。
かなり熱い戦いぶりだった。個人的にかなり好印象な選手だ。
チャコは……二点だな。
思った通り、やっぱりチャコは戦えてねえ。
責任を感じちまうが……まあまだ見るか。
他の試合をぼちぼち観戦しつつ、ライラが大きくなったことを機に解禁した煙草を吸いに喫煙所でとぐろを巻いたりして次のチャコの試合まで時間を潰す。
いやー結構みんな色々やるんだなーって思った。
俺がやるならどうすんだろ、そもそもタイマン模擬戦得意じゃねえというかトーンでも最弱だからな。試合前に毒を盛るとか親子供を人質にして脅すとか……いやルール違反か。やっぱ俺に競技は向いてないな。
そんなこんなで予選二回戦第二試合。
今度のチャコの相手は、大人気プロ戦闘競技選手セブンスバーナーのリーシャ・ハッピーデイ嬢。
ライラと同世代くらいの子で、ライラと同じ大会でよく見た事がある。最近はライラが勝ち越しているけど、なかなか使う子だ。
華があるし、魔法拳は面白い技だ。
手に魔法を宿らせて、接触時に発動。
威力もあるし、何より身体強化を用いた身体の使い方が上手いというのに噛み合っている。
実戦では捨て身になり過ぎる感が否めないが『纒着結界装置』を使って怪我をしないことを前提とした戦法だ。競技にフォーカスするなら、かなり良い。
実際ライラほどじゃあないが可愛らしい見た目をしているし、なかなかの成績を収めている人気選手だが。
「試合終了……っ! 勝者! チャコール・ポートマン‼」
試合は三秒で決着を迎える。
開始一秒以内に、チャコが重力埋葬でリーシャ嬢を埋めた。
咄嗟に右手だけを出し、地面を砕いて脱出を試みたが抜かりなく地面に物理障壁を貼ってそのまま潰して勝ち。
リーシャ嬢は八十点、初見の重力埋葬を咄嗟で攻略する判断力もなかなかだった。
チャコはゼロ点。
トーナメント制の競技で、初見殺しを選択するのは馬鹿だ。やはりまともに戦えていない。
次は準決勝まで昼飯でも食おうと食堂に行くと、丁度ライラとチャコが出てくるところだったので咄嗟に隠れる。
まあ別に隠れる必要もないのだが、俺が行くとなんか変にギクシャクしてしまうし面倒くさい。声をかけるなら終わってからだ。
ライラとチャコをやり過ごして食堂に入り、適当な席に着くと。
「うおおっ⁉」
テーブルの下からリーシャ嬢が出てきて驚きの声を上げてしまう。
「ごめんあそばせ、それでは失礼致します。おほほほ」
リーシャ嬢は俺にそう言って去っていった。
愉快な子だな。ライラと仲良くしてほしい限りだ。
さくっと食って一本吸って観客席に戻ったところで。
予選準決勝第一試合、相手は傭兵トラジ・トライ。
俺と同年代のおっさ…………お兄さんだ。
俺ほどじゃあないが、まあまあ引き締まっている。鍛え込んできている感がある。
試合開始と同時に、詠唱有りで身体強化、最低限の防御魔法、武具召喚で長剣一本を呼び出して動き回る。
対魔法使い相手のセオリー通りな動き。
動き回られると狙いは付けづらいし、近接格闘に持ち込む為には走るしかない。
チャコは初戦と同じようにホーミング螺旋光線連射で迎撃を狙うが。
トラジは無詠唱魔法剣でがむしゃらに弾いて進む。
おいおいこんなすげえやついんのかよ。
煙幕で視界を奪っての『土竜叩き』はアカカゲの必殺コンボ、あれをやられたら大抵の奴は死ぬ。
でも多分ショッテ氏はチャコが魔力視や魔力感知が出来るとは思ってなかったんだろう。その手の魔法に明るいやつに視認性を悪くする戦法は通りづらい。
さらに『土竜叩き』も不完全だった。
あれはアカカゲの『忍者』による機動性やら、躰道や暗殺術による運動性や気配を殺す術があってこそのものだ。
発動から暗殺までを一挙動にできなくては、割り込まれる……でも発想は悪くない。実際アカカゲだったらチャコの首を取れていただろうから。
耐久性に優れた鍛え方は十分に出来ているので、後は身のこなしや機動性を上げられればかなりの使い手になりそうだ。
七十点。
かなり熱い戦いぶりだった。個人的にかなり好印象な選手だ。
チャコは……二点だな。
思った通り、やっぱりチャコは戦えてねえ。
責任を感じちまうが……まあまだ見るか。
他の試合をぼちぼち観戦しつつ、ライラが大きくなったことを機に解禁した煙草を吸いに喫煙所でとぐろを巻いたりして次のチャコの試合まで時間を潰す。
いやー結構みんな色々やるんだなーって思った。
俺がやるならどうすんだろ、そもそもタイマン模擬戦得意じゃねえというかトーンでも最弱だからな。試合前に毒を盛るとか親子供を人質にして脅すとか……いやルール違反か。やっぱ俺に競技は向いてないな。
そんなこんなで予選二回戦第二試合。
今度のチャコの相手は、大人気プロ戦闘競技選手セブンスバーナーのリーシャ・ハッピーデイ嬢。
ライラと同世代くらいの子で、ライラと同じ大会でよく見た事がある。最近はライラが勝ち越しているけど、なかなか使う子だ。
華があるし、魔法拳は面白い技だ。
手に魔法を宿らせて、接触時に発動。
威力もあるし、何より身体強化を用いた身体の使い方が上手いというのに噛み合っている。
実戦では捨て身になり過ぎる感が否めないが『纒着結界装置』を使って怪我をしないことを前提とした戦法だ。競技にフォーカスするなら、かなり良い。
実際ライラほどじゃあないが可愛らしい見た目をしているし、なかなかの成績を収めている人気選手だが。
「試合終了……っ! 勝者! チャコール・ポートマン‼」
試合は三秒で決着を迎える。
開始一秒以内に、チャコが重力埋葬でリーシャ嬢を埋めた。
咄嗟に右手だけを出し、地面を砕いて脱出を試みたが抜かりなく地面に物理障壁を貼ってそのまま潰して勝ち。
リーシャ嬢は八十点、初見の重力埋葬を咄嗟で攻略する判断力もなかなかだった。
チャコはゼロ点。
トーナメント制の競技で、初見殺しを選択するのは馬鹿だ。やはりまともに戦えていない。
次は準決勝まで昼飯でも食おうと食堂に行くと、丁度ライラとチャコが出てくるところだったので咄嗟に隠れる。
まあ別に隠れる必要もないのだが、俺が行くとなんか変にギクシャクしてしまうし面倒くさい。声をかけるなら終わってからだ。
ライラとチャコをやり過ごして食堂に入り、適当な席に着くと。
「うおおっ⁉」
テーブルの下からリーシャ嬢が出てきて驚きの声を上げてしまう。
「ごめんあそばせ、それでは失礼致します。おほほほ」
リーシャ嬢は俺にそう言って去っていった。
愉快な子だな。ライラと仲良くしてほしい限りだ。
さくっと食って一本吸って観客席に戻ったところで。
予選準決勝第一試合、相手は傭兵トラジ・トライ。
俺と同年代のおっさ…………お兄さんだ。
俺ほどじゃあないが、まあまあ引き締まっている。鍛え込んできている感がある。
試合開始と同時に、詠唱有りで身体強化、最低限の防御魔法、武具召喚で長剣一本を呼び出して動き回る。
対魔法使い相手のセオリー通りな動き。
動き回られると狙いは付けづらいし、近接格闘に持ち込む為には走るしかない。
チャコは初戦と同じようにホーミング螺旋光線連射で迎撃を狙うが。
トラジは無詠唱魔法剣でがむしゃらに弾いて進む。
おいおいこんなすげえやついんのかよ。
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