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第二部15・味方は多い方が良いとは思っていいのは足並みを揃えらる者だけ。【全6節】
02人間味が欠落している。
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タヌーじいさんはライラとも関係がある。
二十年前のあの日にライラとも会っていて、それ以来何だかんだとライラと遊んでくれたり誕生日にプレゼントを送ってくれたり。ライラを孫のように可愛がってくれたやつだ。
何かあった時に最初に頼るならクロウだが、間髪入れずに次点はじいさんになる。
「……おおよその話は聞いている、放送も見ていた。軍の秘密部隊と親衛隊を既に動かしているが、バリィからの話も聞きたい」
じいさんは珍しくかっちりとした服装で、堂々とした口調で俺を出迎えた。
俺は、じいさんにとりあえず俺視点の出来事を語る。
全帝準々決勝を家族で見に来たら【ワンスモア】の連中が、試合中に突如現れてめちゃくちゃし始めた。
まあ俺には何も関係ないので静観していたが……、ライラがブチ切れてしまった。
総合競技選手であるライラは大会に乱入して、試合を台無しにした【ワンスモア】にブチ切れた。
このままだとライラが飛び出しかねない。
ライラは冷静だし頭が良くて可愛いが……、俺に似てというかトーンの冒険者の特徴であるところの。
気に入らねえやつは即畳むという、悪癖を引き継いでしまっているからだ。
ライラはそんじょそこらの奴らなら素手でも畳めるくらいには鍛えてある。
だが流石に親として、娘を実戦に飛び出させるわけにもいかない。
ライラは浮遊大盾をクロウのガキに四枚も壊されて、今はリコーのお下がりの大盾しか装備を持たないし『纒着結界装置』を携行していないし。
故に、動かざる得なかった。
まず『携帯通信結晶』で選手控え室のチャコに連絡をしようとしたが繋がらず。さらに格技場に乱入者を取り押さえる奴が入らないところを見るにマジで会場は包囲制圧されていると思われ、軍や警察が転移したり転移で逃げようとする奴もいないところから『転移阻害転移結晶』の効果が働いていると思われる。
チャコはどう動くか考えた。
あいつは有事の際に動けるだけの訓練は積んでいる。
セオリー通りなら、あいつは軍の人間を呼ぶために会場から抜け出してなるべく戦闘を避けて阻害系の魔道具の無力化へ走るだろう。
そうこうしていると【ワンスモア】は格技場に仲間を呼び出す。
転移じゃあなかった…あれは『召喚士』とか『手品師』のスキル効果か……?
それと。
あの白いのは、『加速』を使う。
Tバック娘とお嬢様を畳んだ時の動きは間違いなく『加速』を使った動きだった。
どういうからくりでスキル再現なんてことをしてるのかしらねえが……、まさか『加速』を再現するのか。
さらにいえば、多分あの白いのだけは任意にスキルを切り替えられる。
あの時【ワンスモア】が使っていたスキルは。
前衛に『武闘家』と『防御向上』と『侍』。
後衛に『魔力操作』と『弓兵』だった。
バランスの取れた編成、しかも対人向けに考えられている。もし俺なら『武闘家』の枠を武器補正のつく『忍者』か『盗賊』にするかもくらいだ。
こいつらは終始同じスキルを使っていたし、スキルに応じた訓練をした形跡が見て取れた。
だがあの白いのは……、Tバック娘とお嬢様にタコ殴りにされていた時の頑強さは奴の自称していた通りに『鉄壁』だと思われる。
それに、あの仲間を呼び出したりライラを攫った時のあれは『召喚士』や『手品師』の効果だと思われるが……あの場には『召喚士』も『手品師』も居なかった。
まあ会場中に仲間が潜んでいたんだろうし、他の誰かが担当していたと言われればそうなんだろうが……あんな綺麗に任意のタイミングで使えるとも思えないし。
少なくとも間違いなく『加速』は使っていた。
さらに白いのはビリーバーを自称していた。
俺にはその真偽はつかないが……。
確かにあの白いのからは、異質さは感じ取れた。
人間味が欠落しているというか……、クロウのように人間を辞めて怪物になったのではなく。
そもそもが怪物のような……、いやこの辺りは俺よりパンドラちゃんの視る力をあてにした方がいいが。
そして『無効化』を攫うと宣言後にライラを連れ去り。
チャコがぶっ倒れるくらいの超広域魔力感知でも、特定が出来なかった。
「――――……なるほどな。最悪の想定通りだ」
俺の話を聞いていたじいさんが、眉をひそめて言った。
二十年前のあの日にライラとも会っていて、それ以来何だかんだとライラと遊んでくれたり誕生日にプレゼントを送ってくれたり。ライラを孫のように可愛がってくれたやつだ。
何かあった時に最初に頼るならクロウだが、間髪入れずに次点はじいさんになる。
「……おおよその話は聞いている、放送も見ていた。軍の秘密部隊と親衛隊を既に動かしているが、バリィからの話も聞きたい」
じいさんは珍しくかっちりとした服装で、堂々とした口調で俺を出迎えた。
俺は、じいさんにとりあえず俺視点の出来事を語る。
全帝準々決勝を家族で見に来たら【ワンスモア】の連中が、試合中に突如現れてめちゃくちゃし始めた。
まあ俺には何も関係ないので静観していたが……、ライラがブチ切れてしまった。
総合競技選手であるライラは大会に乱入して、試合を台無しにした【ワンスモア】にブチ切れた。
このままだとライラが飛び出しかねない。
ライラは冷静だし頭が良くて可愛いが……、俺に似てというかトーンの冒険者の特徴であるところの。
気に入らねえやつは即畳むという、悪癖を引き継いでしまっているからだ。
ライラはそんじょそこらの奴らなら素手でも畳めるくらいには鍛えてある。
だが流石に親として、娘を実戦に飛び出させるわけにもいかない。
ライラは浮遊大盾をクロウのガキに四枚も壊されて、今はリコーのお下がりの大盾しか装備を持たないし『纒着結界装置』を携行していないし。
故に、動かざる得なかった。
まず『携帯通信結晶』で選手控え室のチャコに連絡をしようとしたが繋がらず。さらに格技場に乱入者を取り押さえる奴が入らないところを見るにマジで会場は包囲制圧されていると思われ、軍や警察が転移したり転移で逃げようとする奴もいないところから『転移阻害転移結晶』の効果が働いていると思われる。
チャコはどう動くか考えた。
あいつは有事の際に動けるだけの訓練は積んでいる。
セオリー通りなら、あいつは軍の人間を呼ぶために会場から抜け出してなるべく戦闘を避けて阻害系の魔道具の無力化へ走るだろう。
そうこうしていると【ワンスモア】は格技場に仲間を呼び出す。
転移じゃあなかった…あれは『召喚士』とか『手品師』のスキル効果か……?
それと。
あの白いのは、『加速』を使う。
Tバック娘とお嬢様を畳んだ時の動きは間違いなく『加速』を使った動きだった。
どういうからくりでスキル再現なんてことをしてるのかしらねえが……、まさか『加速』を再現するのか。
さらにいえば、多分あの白いのだけは任意にスキルを切り替えられる。
あの時【ワンスモア】が使っていたスキルは。
前衛に『武闘家』と『防御向上』と『侍』。
後衛に『魔力操作』と『弓兵』だった。
バランスの取れた編成、しかも対人向けに考えられている。もし俺なら『武闘家』の枠を武器補正のつく『忍者』か『盗賊』にするかもくらいだ。
こいつらは終始同じスキルを使っていたし、スキルに応じた訓練をした形跡が見て取れた。
だがあの白いのは……、Tバック娘とお嬢様にタコ殴りにされていた時の頑強さは奴の自称していた通りに『鉄壁』だと思われる。
それに、あの仲間を呼び出したりライラを攫った時のあれは『召喚士』や『手品師』の効果だと思われるが……あの場には『召喚士』も『手品師』も居なかった。
まあ会場中に仲間が潜んでいたんだろうし、他の誰かが担当していたと言われればそうなんだろうが……あんな綺麗に任意のタイミングで使えるとも思えないし。
少なくとも間違いなく『加速』は使っていた。
さらに白いのはビリーバーを自称していた。
俺にはその真偽はつかないが……。
確かにあの白いのからは、異質さは感じ取れた。
人間味が欠落しているというか……、クロウのように人間を辞めて怪物になったのではなく。
そもそもが怪物のような……、いやこの辺りは俺よりパンドラちゃんの視る力をあてにした方がいいが。
そして『無効化』を攫うと宣言後にライラを連れ去り。
チャコがぶっ倒れるくらいの超広域魔力感知でも、特定が出来なかった。
「――――……なるほどな。最悪の想定通りだ」
俺の話を聞いていたじいさんが、眉をひそめて言った。
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