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第二部16・世界では同時多発的に人生が動き続けているらしい。【全17節】
16黒いコートに黒いスーツを纏った黒い髪に黒い瞳の男。
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「やったあ! 当たったぁ――――っ‼ 俺のスキルは『魔神』! 『魔王』の上位互換だ!」
「当たり前だ、俺の『隠匿』で完全に気配を殺しての不意打ちだからな」
「私の『必中』の補正も乗ってるんだから、当然でしょ!」
浮遊魔法でふわふわと浮かびながら、がちゃがちゃと【ワンスモア】の第二陣がそんな話をする。
早くねーか……、くっそ油断した。
しかも浮遊魔法か……、この戦いは完全に俺を離れたな。
「……メリッサあぁぁぁぁああ‼ 助けてくれええええぇぇぇえ――――――――ッ‼」
俺は情けなくそう叫ぶと。
「よくやったわダイル、バトンタッチよ」
転移魔法で、腕を組みながらメリッサが現れた。
「……! 頼んだ!」
メリッサに回復魔法をかけられて動けるようになったので、そう言ってアカカゲさんを回収してソフィア嬢と合流する。
「こっからは俺が――――」
と、ソフィア嬢に話をしようとしたところで。
駐在所の屋根が吹き飛ぶ。
「ふざけんな……! 町を壊すな馬鹿野郎共が……っ! くっそ……」
屋根が飛んだことで、メリッサが宙に浮きながら凄まじい怒気を放ちながらブチ切れて防御魔法を全開で展開しているのが見えた。
あいつら町を狙って……っ。
最悪だ……、あんなやつらメリッサなら疑似加速を使って瞬殺だが。
今のメリッサに防御魔法を展開したまま疑似加速を使えるほどの魔法適正はない。
魔力との親和率が上がって、メリッサは『勇者』を持っていた頃の魔法をかなり使えるようになったが。
それでも全盛期の三割程度の強さだ。
メリッサは鍛えていて、歳のわりにはかなり若いというか幼く見えるが三十七歳。流石にピークは過ぎている。
せめてポピーがいりゃあ……。
「じいさんたち魔法使いはいねーのか⁉ 援護を頼みてえ‼」
「無茶を言うな、我々は騎兵だぞ浮遊魔法での空中戦なぞ出来ん!」
老兵たちに援護を頼むが、納得の理由で断られる。
せめてあと一人、凄腕の魔法使いがいりゃあ――――。
「奥の手を使います! どうなるかわかりません! 注意してください‼」
俺の思考を切り裂くように、ソフィア嬢が猛り。
真っ黒なでかい箱を喚び出す。
「起動シーケンス開始…………」
何やらぶつぶつと呟きながら、ソフィア嬢は準備を始める。
アカカゲさんみたいなのを使うのか?
山脈に登ってから部屋に篭っていたがなんか造ってたのか……? 天才の考えることはわからねえ。
「起動シーケンス完了、残留思念魔力変換機構搭載型半自律行動戦闘用『自動人形』――――」
ソフィア嬢の目から炎が揺れたところで黒い箱が開いて。
「――――通称『黒』です」
そう言ったところで黒い箱から、黒いコートに黒いスーツを纏った黒い髪に黒い瞳の男が。
「……なんだ? どうなってんだこりゃあ……?」
ゆっくりと、気だるそうに現れた。
一瞬、鳥肌が立った。
似ていた。
あの世界最速槍投げ悪魔に、あまりにも似ていた。
ビビった……、ちょっと緊張した。
二度と会いたくねえ……。
「貴方はトーンの近くの山脈で死んだ。その残留思念を用いて私の『自動人形』を動かす情報として使わせてもらっています。とりあえず今ピンチなのでなんとかしてください!」
ソフィア嬢は黒い人形に、捲し立てるように説明する。
「残留思念……っ、お嬢さんイカれてんな、めちゃくちゃマッドだ。そういう研究は嫌いじゃあねえが……、折角それなりに死ねたのにまさかこんな……蛇足が過ぎんだろ…………はあ……まあ説教は後だ」
黒い男はうなだれるように言って。
「とりあえず、畳むか」
実にトーンの人間らしいことを、口にした。
手を空に向けると【ワンスモア】の二陣が、ぎゅっと団子のように集められ。
そのまま地面に叩きつけられる。
え……っ? 何をしたんだ? 重力魔法……、いや重力魔法はポピーが使ってんのを見た事あるが地面に向かって垂直に働くものだろ?
何もんなんだこいつ……、年齢は俺なんかと変わらない? いやもう少し上くらいか?
昔はこんな魔法使いが居たのか……?
「当たり前だ、俺の『隠匿』で完全に気配を殺しての不意打ちだからな」
「私の『必中』の補正も乗ってるんだから、当然でしょ!」
浮遊魔法でふわふわと浮かびながら、がちゃがちゃと【ワンスモア】の第二陣がそんな話をする。
早くねーか……、くっそ油断した。
しかも浮遊魔法か……、この戦いは完全に俺を離れたな。
「……メリッサあぁぁぁぁああ‼ 助けてくれええええぇぇぇえ――――――――ッ‼」
俺は情けなくそう叫ぶと。
「よくやったわダイル、バトンタッチよ」
転移魔法で、腕を組みながらメリッサが現れた。
「……! 頼んだ!」
メリッサに回復魔法をかけられて動けるようになったので、そう言ってアカカゲさんを回収してソフィア嬢と合流する。
「こっからは俺が――――」
と、ソフィア嬢に話をしようとしたところで。
駐在所の屋根が吹き飛ぶ。
「ふざけんな……! 町を壊すな馬鹿野郎共が……っ! くっそ……」
屋根が飛んだことで、メリッサが宙に浮きながら凄まじい怒気を放ちながらブチ切れて防御魔法を全開で展開しているのが見えた。
あいつら町を狙って……っ。
最悪だ……、あんなやつらメリッサなら疑似加速を使って瞬殺だが。
今のメリッサに防御魔法を展開したまま疑似加速を使えるほどの魔法適正はない。
魔力との親和率が上がって、メリッサは『勇者』を持っていた頃の魔法をかなり使えるようになったが。
それでも全盛期の三割程度の強さだ。
メリッサは鍛えていて、歳のわりにはかなり若いというか幼く見えるが三十七歳。流石にピークは過ぎている。
せめてポピーがいりゃあ……。
「じいさんたち魔法使いはいねーのか⁉ 援護を頼みてえ‼」
「無茶を言うな、我々は騎兵だぞ浮遊魔法での空中戦なぞ出来ん!」
老兵たちに援護を頼むが、納得の理由で断られる。
せめてあと一人、凄腕の魔法使いがいりゃあ――――。
「奥の手を使います! どうなるかわかりません! 注意してください‼」
俺の思考を切り裂くように、ソフィア嬢が猛り。
真っ黒なでかい箱を喚び出す。
「起動シーケンス開始…………」
何やらぶつぶつと呟きながら、ソフィア嬢は準備を始める。
アカカゲさんみたいなのを使うのか?
山脈に登ってから部屋に篭っていたがなんか造ってたのか……? 天才の考えることはわからねえ。
「起動シーケンス完了、残留思念魔力変換機構搭載型半自律行動戦闘用『自動人形』――――」
ソフィア嬢の目から炎が揺れたところで黒い箱が開いて。
「――――通称『黒』です」
そう言ったところで黒い箱から、黒いコートに黒いスーツを纏った黒い髪に黒い瞳の男が。
「……なんだ? どうなってんだこりゃあ……?」
ゆっくりと、気だるそうに現れた。
一瞬、鳥肌が立った。
似ていた。
あの世界最速槍投げ悪魔に、あまりにも似ていた。
ビビった……、ちょっと緊張した。
二度と会いたくねえ……。
「貴方はトーンの近くの山脈で死んだ。その残留思念を用いて私の『自動人形』を動かす情報として使わせてもらっています。とりあえず今ピンチなのでなんとかしてください!」
ソフィア嬢は黒い人形に、捲し立てるように説明する。
「残留思念……っ、お嬢さんイカれてんな、めちゃくちゃマッドだ。そういう研究は嫌いじゃあねえが……、折角それなりに死ねたのにまさかこんな……蛇足が過ぎんだろ…………はあ……まあ説教は後だ」
黒い男はうなだれるように言って。
「とりあえず、畳むか」
実にトーンの人間らしいことを、口にした。
手を空に向けると【ワンスモア】の二陣が、ぎゅっと団子のように集められ。
そのまま地面に叩きつけられる。
え……っ? 何をしたんだ? 重力魔法……、いや重力魔法はポピーが使ってんのを見た事あるが地面に向かって垂直に働くものだろ?
何もんなんだこいつ……、年齢は俺なんかと変わらない? いやもう少し上くらいか?
昔はこんな魔法使いが居たのか……?
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