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8・冤罪裁判で婚約破棄され学園追放され辺境に追いやられても、乗り越えます、根性で。【全4話】
01初めての出会い。
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私、リンダ・ヘンドリックスは……、ってもう私はヘンドリックス子爵家の人間ではなかった。
少し前に学園にて、私に対する裁判と称した糾弾が行われた。
内容としては私の学業成績が急激に伸びたことに対して不正が行われたとか、上級生の貴族令嬢を引っぱたいたとか、そんなものだった。
前者に関して、私は断じて不正などは行っておらず。成績が悪かったのを根性で勉強して成績を伸ばしただけなのだ。
後者に関しては、まあ、概ねその通りだ。
腹が立ったので引っぱたいた、弁解の余地はない。
ともかく不正に関する捏造された証拠や誇張された暴力被害などにより、元々素行の悪さが目立っていた私は学園を追い出された。
こんなことになるならもっと殴っておくんだった、あの女。
学園を追われたことにより、私は婚約をしていたリングストン公爵家嫡男のシャイアより婚約の破棄を言い渡された。
由緒正しきリングストン公爵家に学園を追い出されたような素行の悪い娘は嫁がせては貰えないようだ。
さらにヘンドリックス家では学園を追放され、婚約も破棄されたような素行の悪い娘は置いておけないと辺境に住む知人の地主であるウィリアム・クーロフォードの元へ嫁がされることになった。
事実上の勘当である。
つまり今の私の名は、リンダ・クーロフォードというわけだ。貴族令嬢ですらなく、もはや夫人だ。
劇的に、まあ悲劇的に、ここ数週間で私の環境は一変した。
しかし、私はそれほど落ち込んではいない。
過ぎてしまったことはどうにもならないし付け込まれた私も悪いし半端に引っぱたいたのも悪いし、田舎の空気も悪くない。
ただ一つ不安があるとすれば、私はまだ夫であるウィリアム・クーロフォードに会ったことがないのだ。
会ったこともない男の元に嫁ぐと言うのは流石に不安だし、単純に怖い。
よし、気に入らない相手なら引っぱたいてしまおう。
そう決めて、クーロフォードの屋敷の前で馬車から降りて荷物を下ろす。
屋敷を見た感想としては、これもまた悪くない。
古いが手入れの行き届いた建物で、二人で住むには十分過ぎる広さだ。
町にも近く、なんだかんだ生活には不便はしなさそうだ。
そんなことを考えながら玄関の扉をノックしようとしたその時。
「あのー、うちに何かご用でしょうか?」
と、後ろから声をかけられる。
声の主を確認する為に振り返ると、そこには。
見上げるほど背が高く。
私が影にすっぽり収まってしまうような広い肩幅で。
筋肉質で厚く立派な胸板に、たくましくて太ましい両腕で。
優しい顔をした屈強な大男がそこには立っていた。
「……もしかして、リンダ・ヘンドリックス……さん?」
「そういう貴方は、ウィリアム・クーロフォードさんかしら」
これが私の夫との初めての出会いであった。
少し前に学園にて、私に対する裁判と称した糾弾が行われた。
内容としては私の学業成績が急激に伸びたことに対して不正が行われたとか、上級生の貴族令嬢を引っぱたいたとか、そんなものだった。
前者に関して、私は断じて不正などは行っておらず。成績が悪かったのを根性で勉強して成績を伸ばしただけなのだ。
後者に関しては、まあ、概ねその通りだ。
腹が立ったので引っぱたいた、弁解の余地はない。
ともかく不正に関する捏造された証拠や誇張された暴力被害などにより、元々素行の悪さが目立っていた私は学園を追い出された。
こんなことになるならもっと殴っておくんだった、あの女。
学園を追われたことにより、私は婚約をしていたリングストン公爵家嫡男のシャイアより婚約の破棄を言い渡された。
由緒正しきリングストン公爵家に学園を追い出されたような素行の悪い娘は嫁がせては貰えないようだ。
さらにヘンドリックス家では学園を追放され、婚約も破棄されたような素行の悪い娘は置いておけないと辺境に住む知人の地主であるウィリアム・クーロフォードの元へ嫁がされることになった。
事実上の勘当である。
つまり今の私の名は、リンダ・クーロフォードというわけだ。貴族令嬢ですらなく、もはや夫人だ。
劇的に、まあ悲劇的に、ここ数週間で私の環境は一変した。
しかし、私はそれほど落ち込んではいない。
過ぎてしまったことはどうにもならないし付け込まれた私も悪いし半端に引っぱたいたのも悪いし、田舎の空気も悪くない。
ただ一つ不安があるとすれば、私はまだ夫であるウィリアム・クーロフォードに会ったことがないのだ。
会ったこともない男の元に嫁ぐと言うのは流石に不安だし、単純に怖い。
よし、気に入らない相手なら引っぱたいてしまおう。
そう決めて、クーロフォードの屋敷の前で馬車から降りて荷物を下ろす。
屋敷を見た感想としては、これもまた悪くない。
古いが手入れの行き届いた建物で、二人で住むには十分過ぎる広さだ。
町にも近く、なんだかんだ生活には不便はしなさそうだ。
そんなことを考えながら玄関の扉をノックしようとしたその時。
「あのー、うちに何かご用でしょうか?」
と、後ろから声をかけられる。
声の主を確認する為に振り返ると、そこには。
見上げるほど背が高く。
私が影にすっぽり収まってしまうような広い肩幅で。
筋肉質で厚く立派な胸板に、たくましくて太ましい両腕で。
優しい顔をした屈強な大男がそこには立っていた。
「……もしかして、リンダ・ヘンドリックス……さん?」
「そういう貴方は、ウィリアム・クーロフォードさんかしら」
これが私の夫との初めての出会いであった。
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