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29・大嫌いな婚約者がなかなか婚約破棄をしないので、困らせてやることにしました。【全4話】
02無茶な要求。
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「そうですね今日は私、空を飛んでみたいですわ」
「…………そ、空ですか?」
私は笑いを堪える。
我ながらなんて無茶な要求でしょう。
彼は眉間にしわを寄せて考えている。
ふふ、困っている困っている。
嫌気がさすでしょう。
侯爵家の令嬢にうんざりしてもらいましょう。
彼は少し考えて、私にこう返した。
「……いやーなんて良いタイミングなんだ。いいですね、飛びましょうか空」
そうでしょう無理でしょ…………。
「……え? 今なんと仰って」
「空でしょう? 飛べますよ、天気もいいし今日は飛行日和だ」
彼の答えに理解が追いつかないうちに、あれよあれよと準備を進めて。
私は小高い丘の上で謎の乗り物に座らされておりました。
「よーし、風も悪くない。本当にベストタイミングだ、行けますよ」
「あ、あのジョー様? 本気で飛ぶのですか? これが?」
私は運転席? に座る彼に訪ねます。戯れでしょう、いや戯れだと言ってください。
「まあ正確には動力は付いていないので、滑空に近いですがそれでも数分程度は飛んで居られますよ。ここから下りで助走をつけて速度も揚力もかなり稼げます。僕の体重が六十キロくらいで、タンディ嬢と二人合わせても百二十キロくらいまでなら大丈夫ですけど、その……不安ですか?」
「わ! 私そんなに重くありませんわ!」
彼は少し笑って「なーら大丈夫ですよ」と言ってから。
「…………多分」
「ちょ、今多分って、きゃあああああああああああぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」
私の言葉を途中で遮るように、謎の乗り物でとてつもない速さで、勢いよく丘を下る。
ああこの人は、貴族云々以前に人としておかしい。
本当に嫌い。
いやもう嫌いとかじゃなくてこれ、駄目でしょう。
早い速い疾い、これちょっと、え? この先って崖になって、ちょっとちょっと止まれないでしょうこれ、待って待って待って。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ああ、父上母上、それと兄上、先立つ不孝をお許しください。
犯人はワタナベ男爵です。
と、目を閉じて全てを諦めた時に、全身に不思議な浮遊感を感じる。
「ほら、タンディ嬢! 目を開けて! いい景色ですよ!」
その言葉を聞き、私はゆっくりと目を開ける。
すると、地平線の上にいくつかの町や農園、川や森の自然が並ぶ。
いや高いし早い、風で髪が乱れる、でも。
「……すごい」
悔しいが、壮観だった。
今まで見たことがない光景に、感動してしまう。
慣れれば風も気持ちいい。
なんて思ったのはほんの数分である。
がこん、と何かが壊れる音が聞こえると。
「……ごめん! タンディ嬢! ちょっと揺れるかも!」
と、彼が言うと、ちょっと所ではなく凄まじい揺れと共に急降下を始める。
「…………そ、空ですか?」
私は笑いを堪える。
我ながらなんて無茶な要求でしょう。
彼は眉間にしわを寄せて考えている。
ふふ、困っている困っている。
嫌気がさすでしょう。
侯爵家の令嬢にうんざりしてもらいましょう。
彼は少し考えて、私にこう返した。
「……いやーなんて良いタイミングなんだ。いいですね、飛びましょうか空」
そうでしょう無理でしょ…………。
「……え? 今なんと仰って」
「空でしょう? 飛べますよ、天気もいいし今日は飛行日和だ」
彼の答えに理解が追いつかないうちに、あれよあれよと準備を進めて。
私は小高い丘の上で謎の乗り物に座らされておりました。
「よーし、風も悪くない。本当にベストタイミングだ、行けますよ」
「あ、あのジョー様? 本気で飛ぶのですか? これが?」
私は運転席? に座る彼に訪ねます。戯れでしょう、いや戯れだと言ってください。
「まあ正確には動力は付いていないので、滑空に近いですがそれでも数分程度は飛んで居られますよ。ここから下りで助走をつけて速度も揚力もかなり稼げます。僕の体重が六十キロくらいで、タンディ嬢と二人合わせても百二十キロくらいまでなら大丈夫ですけど、その……不安ですか?」
「わ! 私そんなに重くありませんわ!」
彼は少し笑って「なーら大丈夫ですよ」と言ってから。
「…………多分」
「ちょ、今多分って、きゃあああああああああああぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」
私の言葉を途中で遮るように、謎の乗り物でとてつもない速さで、勢いよく丘を下る。
ああこの人は、貴族云々以前に人としておかしい。
本当に嫌い。
いやもう嫌いとかじゃなくてこれ、駄目でしょう。
早い速い疾い、これちょっと、え? この先って崖になって、ちょっとちょっと止まれないでしょうこれ、待って待って待って。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ああ、父上母上、それと兄上、先立つ不孝をお許しください。
犯人はワタナベ男爵です。
と、目を閉じて全てを諦めた時に、全身に不思議な浮遊感を感じる。
「ほら、タンディ嬢! 目を開けて! いい景色ですよ!」
その言葉を聞き、私はゆっくりと目を開ける。
すると、地平線の上にいくつかの町や農園、川や森の自然が並ぶ。
いや高いし早い、風で髪が乱れる、でも。
「……すごい」
悔しいが、壮観だった。
今まで見たことがない光景に、感動してしまう。
慣れれば風も気持ちいい。
なんて思ったのはほんの数分である。
がこん、と何かが壊れる音が聞こえると。
「……ごめん! タンディ嬢! ちょっと揺れるかも!」
と、彼が言うと、ちょっと所ではなく凄まじい揺れと共に急降下を始める。
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