エンジェル・ワールド

ナオ

文字の大きさ
6 / 13
第1章 教会編

崩れ堕ちた日常

しおりを挟む
おじさんと別れ僕は歩いて家に帰ることにした。魔法を使えば家まではすぐだ。でも今は歩きたい気分だった。

『ギン…生きててくれよ…』

ギンの事を考えながら家への道を戻っていると家が見えてくる。いつもの家だ。
でも何だろう嫌な感じがして僕は走った。

『ただいま!』

返事がないどこかに行ってるんだろうか。

『やっと帰ってきたんだね…リュート。』

リビングの方から聞き覚えのない声が聞こえる。神々しく思わず跪きたくなる様な声だ。

『誰?』

『酷いな~リュート君はいつも祈りに来てくれただろ?』

声は続けて言う。

『僕だよ。僕だ。第八天使アリエルだ。』

『何行ってるんだ。それに天使様を語るなんてなんて奴だ!』

『心外だな。分かったじゃあ証拠を見せてあげるよ。』

そう言うと声の主は僕の前に姿を現した。そして次の瞬間背中の大きな羽を広げ家を壊しながら飛び立つ。

『家が!』

『どうかな?これで信じてもらえたかな。』

『と、飛んでる。それにあの羽…あの姿。本当に…てんし…さ…ま…』

『どうやら信じてもらえた様だね。』

天使様は信じてもらえた事を嬉しそうに笑う。そして、ふっと思い出した様に言う。

『ああそうそう。リュート。君が帰って来るまで少し時間があったからね。そこの人間で少し遊ばせて貰ったよ。』

天使様が指差した先を見る。

『母さん!天使様!母さんが、母さんが!』

そこにいたのは、今にも生き絶えそうな母さんだった。

『あははっ!面白いんだよその人間。この子達だけは!そう言って懇願するだ。その様子と言ったら惨めったらしくて…。フフフッハハハハハ!!』

天使はそう言って高笑う。

『そんな!母さん!』

僕は母さんの元に駆け寄る。

『母さん!死なないで!お願いだよ!』

『リュー…ト天使は…信じちゃ…ダメ…逃げなさい…早くここから』

母さんの声に力がない。

『そんな!嫌だよ!母さんを置いて逃げるなんて』

僕の瞳から涙がこぼれる。

『ほら泣かないの…ゴホッゴホッおとこのこでしょ?それより早く逃げるのリンとシルバはもう…だから…リュートだけでも早く…母さんの最後のお願いよ…』

『嫌だよ!母さん!最後なんて言わないで!』

泣き叫ぶ僕に母さんは困った様にそして、最後を悟ったかのように言う。

『リュートごめんね…先に逝く母さんを許してね。生きてリュート。母さんは…いつでもあの空から見守って….る…』

そこまで言うと母さんの身体に力がなくなる。

『かあ…さん?ねえ起きて!ねえってば!そんな!やだよ!』

まただ。また僕のせいで大切な人が死んだ。もう嫌だ。

『良いよ!良いねリュート!その目その表情!実に僕好みだよ!!』

誰のせい?俺のせいか?いや違う…その瞬間、アリエルへのいや、天使への怒りが湧き上がる。

『アリエル!許しさない…絶対に!』

そして決意する。刺し違えてでも…この天使を殺す!殺す!殺す!殺す!必ず殺す!

『許さない…か。許さないからどうするの?君はここで僕に殺されてしまうのに。』

『殺す!今ここで!』

『殺す?この僕を?いいね!やっぱり君はいい。やってみるといい。非力な君にどこまで出来るか楽しみだよ。』

俺は天使に攻撃すべく一歩を踏み出す。
僕の全力攻撃が天使を襲う。しかし天使はそれをまるで赤子と戯れるかの様にかわしていく。

『クッソォぉぉ!!』

なおも僕の攻撃が続く。

『良いね!最高だ!うん。よし決めた。殺そうと思ってたけど君を生かしてあげる。せいぜい生きて次に会う時また僕を楽しませておくれ。』

そう言うと天使は再び翼をはためかせ大空へと飛び上がる。アリエルの姿は次第に小さくなりついに見えなくなった。

『クソ!テメェ!逃げんのか!チックショー!!』

僕の叫びは誰にも届かない。ただ時間だけが…過ぎていく。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...