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プロローグ
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ある日僕は死んだ。
理由は簡単、車に轢かれたのだ。
いつも通り学校に行く準備をして、友達と話をし、授業を受けて、さあ今から遊ぶぞ~って時だった。
ボールを追って少年が道路に飛び出したのだ、反射的に動いてしまった。
そして、少年を跳ね除け死んだのだ。
消えゆく意識の中で少年が助かったことはわかった。
少年が助かったならそれでいい。
現世に思い残す事は何もない……なんてことがある訳がない男は生まれてこのかた彼女の一人も出来たことがない。
こんな所で彼女も出来ないまま死ぬなんてあんまりだ。
ああ、神様もしも叶うなら来世では可愛い彼女を…
『…………』
そんなことを思いながら男の意識は途絶えた。
----------------
~目覚めよ~
頭の中に威厳高い低音が響く。
『うう、ここは…俺は死んだの…か?』
男の問いに目の前に立っていた大柄な老人が突然話し出す。
『そうだ佐藤大輔、御主は死んだ、だが誇るが良い。御主は神に選ばれたのだ』
『うわっ!なんだ、あんた誰だよ!』
突如現れた得体の知れない老人に尻もちをつくほど驚いてしまう。
『フォッホッホ…そんなにおどろかんでもええ、わしは御主達、人間の言う所の神という存在じゃ』
『か、神様だって?そんなの信じられるわけないだろ!』
『ふむ、それもそうじゃな。では証拠を見せるとしようかのぉ』
そう言うと自称神の老人は背中に大きな翼を広げ宙に浮くと眩い光を放つ。
その姿は、幾多もの神話に登場する神の姿そのものであった。
『本物の…神様なのか?』
『だからそう言っとるじゃろ。さて、わしが神だと信じてもらえたところで話を進めよう。御主は死んだ。だが、御主のしたことは大変素晴らしいことじゃ』
『え?あ、うん』
『そこでじゃ。本来死んで消えゆくしかなかった御主を生き返らせてやろうと思うのじゃ』
『え!?マジか!やった!ありがとう神様!最高だよ!』
神の思いがけない一言にガッツポーズで喜ぶ。
『話を最後まで聞かんか!しかしじゃな、同じ世界にもう一度同じ魂を送るわけにはいかん。よって御主の魂を別の世界"アウルム"に送ろうと思うのじゃ』
『え、元の世界じゃないの?』
『そうじゃ』
『絶対?』
『絶対じゃ』
『絶対の絶対?』
『絶対の絶対じゃ』
『絶対の絶対の…』
『えーい!しつこいわい!』
『そんなぁ~、俺コミュ障なのに…他の世界とか絶対ぼっち決定だよぉ~』
元の世界に戻れない現実に大輔は肩を落として落ち込む。
『元の世界じゃないならもうこのままきえてもいいよぉ~』
大輔は情けない声でうなだれる。
『そうか?残念じゃのぉ、これから行く世界は御主の好きなラノベ?とかに出てくる様な剣と魔法の世界なんじゃがのぉ』
『えっうそ!本当に!じゃあ行く行く!絶対行くよ!』
手のひらを返し、大輔は行きたいと神に詰め寄る。
『ほう、元の世界以外は行きたくないんじゃないのかのぉ?』
『そんなわけないじゃないですかぁ~神様~お願いしますよぉ~』
『御主、手のひら返しがすごいのぉ。まあええわい。異世界に送ってやろう』
『うん!ありがとう、神!』
『よしでは送るぞ。あ、そうじゃ言うのを忘れ取ったわい。今から行く世界は御主の住んでいた日本と同じ言語じゃから安心じゃよ』
それだけ言うと神は杖を振る。
すると大輔の身体を魔法陣が包み込む。
『あっそっか。良かったぁ~これで人と話せない心配はないね!って待ったー!』
『なんじゃ、もうすぐにでも送れるんじゃが?』
『いやいやいや!なんかの特典は?異世界に行く人に与えられるスキルとか無いの?』
『そんなもんあるわけないじゃろ。もうええ、さっさと行ってくるのじゃ。ほいっと』
『え!?ちょまっ…』
神が杖を振った次の瞬間足の踏ん張りが利かなくなり大輔は真っ逆さまに落ちてゆく。
『いやぁぁぁぁ』
こうして佐藤 大輔はなんのスキルも持たぬまま剣と魔法の世界へと送られたのである。
理由は簡単、車に轢かれたのだ。
いつも通り学校に行く準備をして、友達と話をし、授業を受けて、さあ今から遊ぶぞ~って時だった。
ボールを追って少年が道路に飛び出したのだ、反射的に動いてしまった。
そして、少年を跳ね除け死んだのだ。
消えゆく意識の中で少年が助かったことはわかった。
少年が助かったならそれでいい。
現世に思い残す事は何もない……なんてことがある訳がない男は生まれてこのかた彼女の一人も出来たことがない。
こんな所で彼女も出来ないまま死ぬなんてあんまりだ。
ああ、神様もしも叶うなら来世では可愛い彼女を…
『…………』
そんなことを思いながら男の意識は途絶えた。
----------------
~目覚めよ~
頭の中に威厳高い低音が響く。
『うう、ここは…俺は死んだの…か?』
男の問いに目の前に立っていた大柄な老人が突然話し出す。
『そうだ佐藤大輔、御主は死んだ、だが誇るが良い。御主は神に選ばれたのだ』
『うわっ!なんだ、あんた誰だよ!』
突如現れた得体の知れない老人に尻もちをつくほど驚いてしまう。
『フォッホッホ…そんなにおどろかんでもええ、わしは御主達、人間の言う所の神という存在じゃ』
『か、神様だって?そんなの信じられるわけないだろ!』
『ふむ、それもそうじゃな。では証拠を見せるとしようかのぉ』
そう言うと自称神の老人は背中に大きな翼を広げ宙に浮くと眩い光を放つ。
その姿は、幾多もの神話に登場する神の姿そのものであった。
『本物の…神様なのか?』
『だからそう言っとるじゃろ。さて、わしが神だと信じてもらえたところで話を進めよう。御主は死んだ。だが、御主のしたことは大変素晴らしいことじゃ』
『え?あ、うん』
『そこでじゃ。本来死んで消えゆくしかなかった御主を生き返らせてやろうと思うのじゃ』
『え!?マジか!やった!ありがとう神様!最高だよ!』
神の思いがけない一言にガッツポーズで喜ぶ。
『話を最後まで聞かんか!しかしじゃな、同じ世界にもう一度同じ魂を送るわけにはいかん。よって御主の魂を別の世界"アウルム"に送ろうと思うのじゃ』
『え、元の世界じゃないの?』
『そうじゃ』
『絶対?』
『絶対じゃ』
『絶対の絶対?』
『絶対の絶対じゃ』
『絶対の絶対の…』
『えーい!しつこいわい!』
『そんなぁ~、俺コミュ障なのに…他の世界とか絶対ぼっち決定だよぉ~』
元の世界に戻れない現実に大輔は肩を落として落ち込む。
『元の世界じゃないならもうこのままきえてもいいよぉ~』
大輔は情けない声でうなだれる。
『そうか?残念じゃのぉ、これから行く世界は御主の好きなラノベ?とかに出てくる様な剣と魔法の世界なんじゃがのぉ』
『えっうそ!本当に!じゃあ行く行く!絶対行くよ!』
手のひらを返し、大輔は行きたいと神に詰め寄る。
『ほう、元の世界以外は行きたくないんじゃないのかのぉ?』
『そんなわけないじゃないですかぁ~神様~お願いしますよぉ~』
『御主、手のひら返しがすごいのぉ。まあええわい。異世界に送ってやろう』
『うん!ありがとう、神!』
『よしでは送るぞ。あ、そうじゃ言うのを忘れ取ったわい。今から行く世界は御主の住んでいた日本と同じ言語じゃから安心じゃよ』
それだけ言うと神は杖を振る。
すると大輔の身体を魔法陣が包み込む。
『あっそっか。良かったぁ~これで人と話せない心配はないね!って待ったー!』
『なんじゃ、もうすぐにでも送れるんじゃが?』
『いやいやいや!なんかの特典は?異世界に行く人に与えられるスキルとか無いの?』
『そんなもんあるわけないじゃろ。もうええ、さっさと行ってくるのじゃ。ほいっと』
『え!?ちょまっ…』
神が杖を振った次の瞬間足の踏ん張りが利かなくなり大輔は真っ逆さまに落ちてゆく。
『いやぁぁぁぁ』
こうして佐藤 大輔はなんのスキルも持たぬまま剣と魔法の世界へと送られたのである。
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