僕は異世界でハーレムを築けない

ナオ

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『いやぁぁぁ』

浮遊感が消え、目を開けると辺り一面草原だった。
北のほうには大きな湖、東には森、西には砂漠が広がっている。

『ここが剣と魔法の世界?確かアウルムって名前だったよな』

ドドドドッ

西の砂漠から何かの足音が近づいてくる。竜だ。竜が荷馬車を引いている差し詰め竜車といった所だろうか

『すみませーん』

大声で語りかけるが竜車からの返答はない。

『すーみーまーせーん!!』

『あーもう!うるさいな!聞こえてるよ!』

『あ、ごめんなさい』

『で?あんちゃんなんか用かい?』

丸っこくて人の良さそうなおじさんは竜車を止め話しかけてくれる。

『もし良ければ、この近くの町か村まで連れていってくれませんか?』

『この竜車が向かうのは北の方だかそっちの方の街で良いのか?』

『はい!』

『良いぜ乗っけてってやるよ』

『ありがとうございます!』

『オイラはバン。バン・シュタインだ。商人をやってる。そして、こいつは相棒のシュベルトだ』

『ガルルッ』

『少しの間かもしれねぇがよろしくな!』

『俺はダイスケ・サトウです。よろしく!』

二人で握手を交わすと大輔は竜車に乗り込む。

『で?大輔は何であんな何もないとこにいたんだ?』

『いや、えーと…』

『なんだ訳ありか。なら無理に話せとは言わねぇよ』

バンは何も聞かず竜車を出発させる。

『はいよ!』

バシッ

ガルル!

鞭を入れるとシュベルトが走り出す。
それにしても見事な手綱捌きだ。
シュベルトをまるで自分の手足のように操っている。

『なんだ大輔、お前竜車の操縦に興味があるのか?』

『え、あっはい!竜操るなんてかっこいいじゃないですか』

『そうか?嬉しいこと言ってくれるね~よし、何なら町に着いたら竜車の操縦教えてやろうか?』

剣と魔法の世界に憧れを持つ大輔にとってそれは魅力的な提案だ。

『良いんですか!ぜひ!お願いします!』

竜車に乗ってから大輔のテンションは上がりっぱなしである。

『良いってことよ。ところで大輔は町に何しに行くんだ?』

『ハーレムを築きに行くんだ!ハーレム王に俺はなる!』

『お、おう…頑張れよ』

目を輝かせながらゲスい事を言い出す大輔に多少引きながらも相手をしてくれるバンこういうところ商人である。

『可愛い子とくんずほぐれつ…うへへい!』

『程々に…しとけよ』

『そんな事わかってるよ』

そんなくだらない話に花を咲かせているといよいよ町が見えてくる。

『よし、見えたぞ。あれが始まりの街"オベイロン"だ!』

『うわっすっげぇ~なんだあのでっけぇ城は!』

街の外観の凄さに圧倒される。
道路には竜車が行き交い街の中央には大きな城が建っている。
また、まちは四方を壁で覆い防衛も完璧だ。

『じゃあちょっと待ってな。今から入国
届けを貰ってくるからよ』

『入国届け?そんなのがいるのか?』

『何行ってんだ。どこの街でもやってるだろ?』

『そうなのか?』

『そうなのかって、お前今までどうやって生きて来たんだよ』

『ま、まあ適当に』

『適当ってお前…まあいい、じゃあちょっと待ってろ大輔の分も一緒にもらって来てやるから』

『おう、ありがとう』

『良いってことよ。旅は道連れ何とやらってな』

そう言うと大輔は行列の方へと駆けて行くのだった。








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