異世界に行くのも悪くない

ナオ

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誰かが言った。
この世に生きる限り幸せである事などあり得ないと。
それは一時の偶像に過ぎないのだと。
でもそんな事、俺は信じない。
あがいて、あがいてきっと今よりも・・・



******




キーンコーンカーンコーン
学内にチャイムが鳴り響き今日も退屈な授業居眠りタイムが始まる。
チャイムが鳴ると寝て、また鳴ると起きる。
そんないつもの日常。
そんなありふれた日常が壊れることのないと思っていた日常が、ある日突然終わりを告げた。
あれは遡ること2時間前

『民人!また寝てたでしょ!』

『うるさいな朱莉は、寝ようと何しようと俺の勝手だろ?』

『勝手じゃないわよ。私はあんたん家のおばさんからよろしく頼まれてんだからね』

『まーたそれかよ』

『それかよって何よ!それかよって!』

先程からこの俺橘 民人タチバ タミト'に口うるさく声をかけてくるこの女滝 朱莉タキ アカリは俺の幼馴染だ。
昔は俺の後ろをちょこちょこと着いてくる可愛いやつだったのに今ではこの学校で1.2を争う美少女その美貌に惚れた男多数。さらには、品行方正で生徒会長までこなし現代の大和撫子と噂される程なのだ。
そのせいか時々俺を叱るうるさい女になってしまった。

『お!おーいみんな!たおしどり夫婦が夫婦喧嘩してるぞぉ~』

『誰が夫婦だ!(よ!)』

『ほら、息ぴったし』

このチャラい金髪眼鏡は鏡 流星カガミ リュウセイ朱莉と同じく俺の幼馴染だ。


『流星お前そろそろその冗談やめろよな』

『おう!すまねぇな考えとくぜ!』

『あんたのその言葉何回聞いたことか…』

『まっ気分次第ってこったな。カッカッカ』

流星が高笑ったその時だった。
光と闇が教室を二つに分けた。

『『朱莉!』』

俺と流星は咄嗟に朱莉に手を伸ばす。
教室の中心にいたのがいけなかった。
俺は光に流星は闇に飲み込まれようとしている。
空間が飲み込まれる。
そんな刹那の時間。
朱莉がとった手は俺のものだった。
俺は朱莉を抱き寄せ流星に手を伸ばす、、が間に合わなかったらしい。
気がつくとそこは見知らぬ場所だった。
白で覆われた何処までも続いている場所、そんな印象だ。

『民人…』

惚ける俺を聞き覚えのある声が呼ぶ、朱莉だ。

『ここどこなの…』

『分からな』

ババババーン!

俺の声を遮り俺たち生徒以外音も風も景色さえもなかったその場所に謎の音楽が流れ始める。

『何!?何なの!』

『何なんだよ~!』

『ここはどこなんだよぉ~』

『お家返してぇー』

あちこちから戸惑いの声が聞こえてくる。

『お集まりの皆様!こんにちは!我は神なり!なんつって』

戸惑う俺たちの眼前に髭面の中年が何処からか姿を現した。

『あれ?なんか少ないな…ん~まっいっか。君たちに集まってもらったのは他でもない。世界を救ってくれないかい?』

『世界を…救うだと?』

謎の男の世界救ってくれ発言に俺はつい声を出してしまう。

『そうさ。でも正確に言えば、僕の納める世界"ルース"を救って欲しいんだ。しかし、いくらアウストロ人の末裔といっても所詮はただの人。それに、元の世界に戻りたい者もいるだろう。戻りたいものは今すぐ申し出てくれ。そうでないものはここに残ってくれ。断っておくが一度あっちの世界に行けば簡単には戻っては来れない。死ぬことがあるということを十分理解しておいて欲しい』

そう言うと、神と名のったその男は静かに瞳を閉じる。

『20分だ、20分だけ待つ。各々その時間を使ってしっかり話し合って決めてくれ。』

『なんだよそれ!』

『俺は帰るぜ』

『私もよ!』

『ぼきゅは残るのです、はい。ぐふっぐふふ』

『どうする?』

生徒の声が二つに分かれる中、俺は朱莉に尋ねた。




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