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六部 最終決戦編
帰還4
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魔法槍士補佐官として働く双子。魔法槍士と同等の権限を持ち、ほとんどが二人で旅する生活。
家庭を持ちながらも、最後まで飛狛のために傍に居続けた。
「あっ、チビどもが!」
「父ちゃんが遊んでくれないから、いけないんだ!」
「そうだそうだ!」
元気に走り回る子供を相手に、同じレベルで走り回るのは魔法槍士補佐官であった秋星。
彼は引退と同時に自宅へ戻り、以降は外へ出てはいない。
「お前らなー!」
「わーい!」
「鬼ごっこー!」
「ったく、しょうがねぇな。付き合ってやるか」
いたずらっ子の息子に、ため息をつきながら追いかける。
周りから見れば、とてもじゃないが補佐官には見えない。魔法槍士と同等だったなど、嘘のようだ。それほど、子供に振り回される姿は別人だった。
「ほらっ、捕まえた!」
「うわわ!」
「捕まったー!」
両腕で抱え込めば、息子達は嬉しそうに笑う。今まで遊べなかった父親とたくさん遊べて嬉しいのだ。
「まったく、誰に似たんだかな」
たくさん走って疲れた息子達は、父親の足を枕にして寝てしまった。
「そりゃ、あなたに似たんでしょうね」
「えー? ……否定できねぇ」
確かにそうかもしれない、と納得するしかない。昔の自分に似ていると、思ってしまったのだ。
「ほとんど一緒にいなかったのに、なんで似たんだろなぁ」
「親子、だからじゃないですか?」
「そうかもな」
過去へ戻ってから、秋星が引退するまでは数年程度であった。夜秋はさらに数年続けていた。
未来へ行ったことでなにかが変わってしまったのかは、正直二人にはわからないこと。けれど、きっと大丈夫だろうと思う。
「あいつらも元気にしてっかなぁ」
「元気ですよ」
空を見れば、いつも思いだす。二度と会うことのない、未来へいる仲間達。
そう、あれは決して夢ではない。未来での冒険の日々は、間違いなく現実なのだ。
誰にも言えない三人だけの秘密。
魔法槍士として名を残すだけではなく、火竜族の大会にも名を残した飛狛。
聖なる王に仕えた魔法槍士の中でも、一、二を争うほどの功績を残した人物。
「んー、塩が足りないかなぁ」
そんな彼はというと、引退後は妻とコルセアに住んでいた。
「えっ、そうですか?」
「うん。これぐらい入れてみれば」
少し摘まんで入れ、味見を差し出す。
「ちょっと変わるでしょ」
「ほんとだ。飛狛さん、やっぱ料理上手ですね」
「そんなことないよ」
幼い頃、滅多に会えない母親と会うとき、いつも二人で料理をしていた。
この時間だけは親子として過ごせる時間だったこともあり、少しでも一緒にいたくて、とにかくお手伝いしていたのだ。
そのため、飛狛は料理も掃除も洗濯も得意だった。
「お菓子も作れましたよね」
「ずっと作ってないけどね」
そんな暇がなかったから、料理をするのも久しぶりのこと。さすがに魔法槍士としての仕事をこなしながら、料理を作る余裕などはない。
仕事に追われることもなく、ようやく妻と過ごせる日々。魔法槍士とフェンデの巫女。普通ではなかった夫婦は、ようやく普通の日々を手に入れた。
「けど、普通の生活ってなにすればいいんだろうね」
「なんでもいいんじゃないですか?」
わからないって言えば、氷那も笑うしかない。彼女も巫女殿での生活しかわからないから。
「うーん。じっとしてられるかなぁ」
「そのときは、二人で旅しましょう」
二人で旅も楽しいですよ、と氷那は微笑む。
「しない。仕事癖がでそうだから」
拗ねたような表情を見せれば、クスリと笑う。染み付いた習慣はなかなかとれない。
しばらくはその名残が残るだろうが、それもやがて抜けていくのだろう。
「キリッとした飛狛さん、見られなくなるんですね」
ちょっと寂しいなぁ、と氷那は呟いた。あれはあれで好きだったのだ。
「え? いつもあの表情でいたら、怖がられちゃうよ」
「私は怖くないから、いいんです」
ぎゅっと腕にしがみつけば、飛狛は優しく抱き締める。
未来に狂いが出てはいけない。飛狛が最後に行ったのは、狂いが出ないようにすること。これだけはやらなくてはいけないと、たとえ悪い出来事を起こす結果になっても行ったのだ。
そのために、彼はこっそり歴史を調べていた。
未来での旅は、仕事がないことから時間はいくらでもあった。
「軌道修正できたんですか?」
やはり、多少なりとも狂いは出てしまった。それらをすべて正すことに力を入れていたことは、氷那だから知っている。
「うん、大丈夫だよ。引退の時期も変わらない。歴史上、俺がやったことも狂いなく終わってる」
だからなんの問題もない。あとは未来を知っている者達が、なにも言わなければいいのだ。
狂いそうになったときは、黒欧に修正するよう告げていた。
「ただね、自分やみんながいつ死ぬかわかっちゃったのは、ちょっとショックかなぁ」
「いいこと知ったじゃないですか。これで、その日まで悔いなくやりたいことができます」
前向きに言う妻に、飛狛は笑った。さすが魔法槍士の妻だと。ここまで自分を支えてくれた妻は、とても強かった。
「氷那ちゃんとやれること、たくさん考えなきゃなぁ」
時間はあるようでない。魔法槍士として育てられた飛狛は、先が長くはないから。悔いなく残された時間を過ごすのだ。
こうして、未来を旅した青年達の物語は静かに幕を閉じた――――。
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家庭を持ちながらも、最後まで飛狛のために傍に居続けた。
「あっ、チビどもが!」
「父ちゃんが遊んでくれないから、いけないんだ!」
「そうだそうだ!」
元気に走り回る子供を相手に、同じレベルで走り回るのは魔法槍士補佐官であった秋星。
彼は引退と同時に自宅へ戻り、以降は外へ出てはいない。
「お前らなー!」
「わーい!」
「鬼ごっこー!」
「ったく、しょうがねぇな。付き合ってやるか」
いたずらっ子の息子に、ため息をつきながら追いかける。
周りから見れば、とてもじゃないが補佐官には見えない。魔法槍士と同等だったなど、嘘のようだ。それほど、子供に振り回される姿は別人だった。
「ほらっ、捕まえた!」
「うわわ!」
「捕まったー!」
両腕で抱え込めば、息子達は嬉しそうに笑う。今まで遊べなかった父親とたくさん遊べて嬉しいのだ。
「まったく、誰に似たんだかな」
たくさん走って疲れた息子達は、父親の足を枕にして寝てしまった。
「そりゃ、あなたに似たんでしょうね」
「えー? ……否定できねぇ」
確かにそうかもしれない、と納得するしかない。昔の自分に似ていると、思ってしまったのだ。
「ほとんど一緒にいなかったのに、なんで似たんだろなぁ」
「親子、だからじゃないですか?」
「そうかもな」
過去へ戻ってから、秋星が引退するまでは数年程度であった。夜秋はさらに数年続けていた。
未来へ行ったことでなにかが変わってしまったのかは、正直二人にはわからないこと。けれど、きっと大丈夫だろうと思う。
「あいつらも元気にしてっかなぁ」
「元気ですよ」
空を見れば、いつも思いだす。二度と会うことのない、未来へいる仲間達。
そう、あれは決して夢ではない。未来での冒険の日々は、間違いなく現実なのだ。
誰にも言えない三人だけの秘密。
魔法槍士として名を残すだけではなく、火竜族の大会にも名を残した飛狛。
聖なる王に仕えた魔法槍士の中でも、一、二を争うほどの功績を残した人物。
「んー、塩が足りないかなぁ」
そんな彼はというと、引退後は妻とコルセアに住んでいた。
「えっ、そうですか?」
「うん。これぐらい入れてみれば」
少し摘まんで入れ、味見を差し出す。
「ちょっと変わるでしょ」
「ほんとだ。飛狛さん、やっぱ料理上手ですね」
「そんなことないよ」
幼い頃、滅多に会えない母親と会うとき、いつも二人で料理をしていた。
この時間だけは親子として過ごせる時間だったこともあり、少しでも一緒にいたくて、とにかくお手伝いしていたのだ。
そのため、飛狛は料理も掃除も洗濯も得意だった。
「お菓子も作れましたよね」
「ずっと作ってないけどね」
そんな暇がなかったから、料理をするのも久しぶりのこと。さすがに魔法槍士としての仕事をこなしながら、料理を作る余裕などはない。
仕事に追われることもなく、ようやく妻と過ごせる日々。魔法槍士とフェンデの巫女。普通ではなかった夫婦は、ようやく普通の日々を手に入れた。
「けど、普通の生活ってなにすればいいんだろうね」
「なんでもいいんじゃないですか?」
わからないって言えば、氷那も笑うしかない。彼女も巫女殿での生活しかわからないから。
「うーん。じっとしてられるかなぁ」
「そのときは、二人で旅しましょう」
二人で旅も楽しいですよ、と氷那は微笑む。
「しない。仕事癖がでそうだから」
拗ねたような表情を見せれば、クスリと笑う。染み付いた習慣はなかなかとれない。
しばらくはその名残が残るだろうが、それもやがて抜けていくのだろう。
「キリッとした飛狛さん、見られなくなるんですね」
ちょっと寂しいなぁ、と氷那は呟いた。あれはあれで好きだったのだ。
「え? いつもあの表情でいたら、怖がられちゃうよ」
「私は怖くないから、いいんです」
ぎゅっと腕にしがみつけば、飛狛は優しく抱き締める。
未来に狂いが出てはいけない。飛狛が最後に行ったのは、狂いが出ないようにすること。これだけはやらなくてはいけないと、たとえ悪い出来事を起こす結果になっても行ったのだ。
そのために、彼はこっそり歴史を調べていた。
未来での旅は、仕事がないことから時間はいくらでもあった。
「軌道修正できたんですか?」
やはり、多少なりとも狂いは出てしまった。それらをすべて正すことに力を入れていたことは、氷那だから知っている。
「うん、大丈夫だよ。引退の時期も変わらない。歴史上、俺がやったことも狂いなく終わってる」
だからなんの問題もない。あとは未来を知っている者達が、なにも言わなければいいのだ。
狂いそうになったときは、黒欧に修正するよう告げていた。
「ただね、自分やみんながいつ死ぬかわかっちゃったのは、ちょっとショックかなぁ」
「いいこと知ったじゃないですか。これで、その日まで悔いなくやりたいことができます」
前向きに言う妻に、飛狛は笑った。さすが魔法槍士の妻だと。ここまで自分を支えてくれた妻は、とても強かった。
「氷那ちゃんとやれること、たくさん考えなきゃなぁ」
時間はあるようでない。魔法槍士として育てられた飛狛は、先が長くはないから。悔いなく残された時間を過ごすのだ。
こうして、未来を旅した青年達の物語は静かに幕を閉じた――――。
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