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24話 ただ、そこに照らされる愛
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私はアダムと付き合い始めてから彼と多くの時間を過ごした。そして気付けばあっという間に、アダムと付き合い始めてから1年の月日が経っていた。
そんなある日のことだった。アダムにいつもの場所で待っててと言われた。今日は私の仕事が休みで、アダムは出勤だから夕方に会おうということだろう。
だから私は言われた通り、素直にいつもの丘に行き本を読みながら彼が来るのを待っていた。すると、本を読み始めて数ページのところで、突然肩を触れられる感覚がした。
――アダム意外と早く来られたのね。
そう思いながら本を閉じてベンチに置き、振り返りながら声をかけた。
「アダム早かったわ……ね」
完全に振り向き今来たアダムを見ると、アダムはいつもとは違いかしこまった格好で髪もばっちりセットしていた。
――かっ、かっこいい……!
どうしたの!?
いつもとは違う雰囲気を纏わせ、あまりにもかっこいい姿をしたアダムに私は内心狂喜乱舞していた。興奮のあまり思わず立ち上がってしまった。しかし、なぜこんな格好をしているのかが謎だった。
「アダム……?」
そう呟くと、アダムはベンチの前側に回り込むように足を進めた。そして、ベンチも何も隔てるものが無い状態の私のすぐそばに来て歩みを止めた。
アダムは 真っ直ぐと射貫くような視線を私に向けている。いつもと雰囲気が違う彼に、心臓が高鳴り出す。
「シェリー、今日は大事な話があってここに呼んだんだ」
そう言うと、アダムは突然私の目の前で跪いた。すると、彼はいつの間にか手に持っていた箱を差し出すようにして、その蓋を開いた。
「シェリー、僕にとって君は最初嵐のような存在だった。だけど今の君は僕にとって、安らぎを与えてくれる凪のような存在だ。君といると、僕はいつも幸せな気持ちでいられる……」
アダムの言葉に、思わず涙が出そうになる。いつも幸せだと思わせてくれているアダムも、幸せだと思っていてくれたんだと嬉しくなる。そして、彼は続けた。
「僕の生涯にわたって、これほどまでに愛せる人は後にも先にも君しかいない。そんな人は、シェリー、君だけだ。僕の隣は、この先ずっと君であってほしい。必ずシェリーのことを幸せにすると誓うよ。シェリー……僕と結婚してくれませんか?」
もう答えは決まっている。
「もちろんよっ……!」
そう言って、跪いているアダムに思いきり抱き着いた。よろける様子もなく、アダムはしっかりと抱き留めてくれた。
アダムは嬉しそうに笑いながら私を立ち上がらせ、自身も立ち上がり口を動かした。
「左手を出してくれる?」
言われた通り左手を差し出すと、薬指にそっと指輪を嵌めてくれた。
「ありがとう、シェリー……一生大切にするからね」
「こちらこそありがとう……アダム、愛してる」
「僕も愛してるよ、シェリー」
私たちは愛の言葉を交わし、そのまま互いを抱き締め合った。そして、流れるように私たちの唇は重なった。
時間はもう夕方だった。一番夕日が綺麗に見せる時間帯だ。
ちょうど2人が結ばれたその瞬間、夕日は祝福するかのように2人のことを照らし始めた。その神々しいほどに美しく輝く夕日は、ただそこには愛し合う2人が存在しているということのみを照らし出していた。
そんなある日のことだった。アダムにいつもの場所で待っててと言われた。今日は私の仕事が休みで、アダムは出勤だから夕方に会おうということだろう。
だから私は言われた通り、素直にいつもの丘に行き本を読みながら彼が来るのを待っていた。すると、本を読み始めて数ページのところで、突然肩を触れられる感覚がした。
――アダム意外と早く来られたのね。
そう思いながら本を閉じてベンチに置き、振り返りながら声をかけた。
「アダム早かったわ……ね」
完全に振り向き今来たアダムを見ると、アダムはいつもとは違いかしこまった格好で髪もばっちりセットしていた。
――かっ、かっこいい……!
どうしたの!?
いつもとは違う雰囲気を纏わせ、あまりにもかっこいい姿をしたアダムに私は内心狂喜乱舞していた。興奮のあまり思わず立ち上がってしまった。しかし、なぜこんな格好をしているのかが謎だった。
「アダム……?」
そう呟くと、アダムはベンチの前側に回り込むように足を進めた。そして、ベンチも何も隔てるものが無い状態の私のすぐそばに来て歩みを止めた。
アダムは 真っ直ぐと射貫くような視線を私に向けている。いつもと雰囲気が違う彼に、心臓が高鳴り出す。
「シェリー、今日は大事な話があってここに呼んだんだ」
そう言うと、アダムは突然私の目の前で跪いた。すると、彼はいつの間にか手に持っていた箱を差し出すようにして、その蓋を開いた。
「シェリー、僕にとって君は最初嵐のような存在だった。だけど今の君は僕にとって、安らぎを与えてくれる凪のような存在だ。君といると、僕はいつも幸せな気持ちでいられる……」
アダムの言葉に、思わず涙が出そうになる。いつも幸せだと思わせてくれているアダムも、幸せだと思っていてくれたんだと嬉しくなる。そして、彼は続けた。
「僕の生涯にわたって、これほどまでに愛せる人は後にも先にも君しかいない。そんな人は、シェリー、君だけだ。僕の隣は、この先ずっと君であってほしい。必ずシェリーのことを幸せにすると誓うよ。シェリー……僕と結婚してくれませんか?」
もう答えは決まっている。
「もちろんよっ……!」
そう言って、跪いているアダムに思いきり抱き着いた。よろける様子もなく、アダムはしっかりと抱き留めてくれた。
アダムは嬉しそうに笑いながら私を立ち上がらせ、自身も立ち上がり口を動かした。
「左手を出してくれる?」
言われた通り左手を差し出すと、薬指にそっと指輪を嵌めてくれた。
「ありがとう、シェリー……一生大切にするからね」
「こちらこそありがとう……アダム、愛してる」
「僕も愛してるよ、シェリー」
私たちは愛の言葉を交わし、そのまま互いを抱き締め合った。そして、流れるように私たちの唇は重なった。
時間はもう夕方だった。一番夕日が綺麗に見せる時間帯だ。
ちょうど2人が結ばれたその瞬間、夕日は祝福するかのように2人のことを照らし始めた。その神々しいほどに美しく輝く夕日は、ただそこには愛し合う2人が存在しているということのみを照らし出していた。
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