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第二夜 性少年のジレンマ
13.え? これなんのフラグ!?
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静かな部屋にノイズ混じりの動画の音声が響いている。
キスの合間に漏れてる俺の声。
もう何度も見たムービーだから身体が反応してしまいそうになる。
恥ずかしさに真っ赤になりながら、なんとか下半身に熱が集まらないように意識を逸らせる。
「あ、あの」
目の前でムービーを見られるなんて、恥ずかしいどころじゃないから優斗さんになんとか止めてもらおうと思った。
だけど俺が言うより早く、ムービーを見ていた優斗さんは微笑を俺に向けた。
「捺くん、気持ちよさそうだもんね。よっぽど松原さんのキスはうまいのかな?」
「……は……」
なん――だ……?
なんか、優しい微笑なのに、なんか……ちょっと雰囲気が変わったような気がする。
「ほら、実優には聞けないし」
くす、と笑った優斗さんに少しだけホッとした。
実優ちゃん絡みでそんなことを聞いたのかなって思ったから。
もともと実優ちゃんと優斗さんは付き合ってて、だけど松原が結果的には奪った形で。
だから――もしかしたら優斗さんは松原のことをずっと気にしていたのかも。
だから、だから……。
「捺くんをキス一つで落とすくらいだから相当うまいんだろうね」
「……」
「ああ、松原さん本気でしかけてるね。音まで聞こえてきそうだ」
ふ、と笑う優斗さんに俺はなにも言えない。
実優ちゃんを取られたから、だから、って思いながら、なのに優斗さんの雰囲気が妙に……艶っぽい気がして。
そしてその言葉に煽られるように松原とのキスを思い出してしまう。
自己処理のネタに使ってたムービーと、あの日の俺が松原に仕掛けたあの夜の、キスやなにかが一気に頭ん中を支配して下半身がどうしようもなく反応しかけていた。
焦りながら冷めかけたコーヒーに手を伸ばした。
半分くらい入っていたそれを一気に飲み干す。
「告白はしないの?」
平静にって考えてる俺に、追い打ちをかけるように優斗さんが声をかけてくる。
「……や……、えと」
告白すっ飛ばして松原に媚薬盛ってしまった、なんて言えるわけない。
それにあんなことしてしまったから告白できないし、松原は俺の気持ちに気づいてたけど……。
「無理……だし」
「気持ちを伝えるくらいはいいんじゃないのかな? はっきりしたほうが諦めもつきやすい気がするけど」
「……」
確かにそうかもしれない。
でも、もう俺は振られているも同然で、あきらめなきゃいけねーのに……ずるずる引きずってる。
「松原は……俺の気持ち知ってるから……」
気づいたら弱々しく呟いてた。
「知ってる?」
「……はい。……もう、一か月前くらいに……その振られたような感じっつーか」
誰にも言えなかったこと。だから、俺の気持ちを知っても引かずに話しを聞いてくれる優斗さんについ言ってしまったのかもしれない。
「……そうなんだね。会ってちゃんと伝えたんだ?」
「……いや……ただ……マンションに……」
行って――。
……行って?
すとーっぷ!
あ、危ないところだった……。また墓穴掘るところだった!
のこのこマンションに行ったなんて、実優ちゃんの叔父であるこの人に言うべきじゃ……ないよな?
「マンションまで行ったんだね」
「……」
もう、すでに墓穴掘ってる……?
「いや、あの、その! ちょっと、話をしに! ただ、話しをしただけですから! 俺まだそのときはちゃんと松原のことを好きって自覚しているようなしていないような感じで。だから松原と話しをしてみたら、なんかわかるかな……って思って。話しをしに!」
まぁ……媚薬持ってだけど。
「そ、それで、その……」
その、なんだ?
どう続けりゃいーんだよ!?
「それで捺くんは松原さんへの気持ちを確信して、そして松原さんは捺くんにNGを出したわけだ」
止まってしまった俺の言葉を優斗さんが引き継いでくれた。
簡単に言えばそれだけのことだ。
素直に頷いて、俯いた。
凹む気持ちと、それでもあの夜を思い出して疼く気持ち。
純粋に俺は松原のことを好きなのか。
それとも今だに引きずっているのはあの夜の……。
「それでもまだ好きなんだね?」
「……わかりません」
本当に、よくわかんねー。
どうすればいいのかも、わかんねぇ。
「捺くんはキスで松原さんが好きになったんだよね」
うだうだしてる俺にずっと優しい優斗さん。
そっと顔を上げると、もうスマホを手には持ってなくって、ただ俺のことを見ていた。
「……たぶん」
「告白したときは、松原さんとどんなことを話したのかな」
「……雑談です」
嘘ではない。
実際媚薬盛るまではずっと他愛のないこと喋ってただけだし。
うん、嘘じゃない。
……ちょっと後ろめたいけど。
「あのね……立ち入ったことかもしれないけど……そのとき何かあった?」
「……は?」
「ああ、ごめん。なんとなく、ね」
そう笑って言いながら急に優斗さんは立ちあがった。
どこに行くんだろうって思ってると歩きだした優斗さんはすぐに足を止めて、ソファに座った。
――俺の、隣に。
なんで?
ぽかんとする俺に優斗さんは俺をどん底に突き落とすようなことを――言い放った。
「なんとなく……なんかあったんだろうなぁと思って。だって捺くん」
目を細める優斗さんの微笑みは思わず見惚れるくらいにキレイで、そして……妖しくて。
優斗さんは俺の耳元に顔を寄せると、内緒話でもするように囁いた。
「さっきから、下……反応してるよね? 松原さんのことを話しだしてからずっと」
びくん、と身体が思わず震えて、とっさに距離をとるように優斗さんから離れる。
そして無意識に隠すように足をきつく閉じた。
そんな俺の行動を気にする様子もなく優斗さんはソファの背もたれにもたれかかると煙草を取り出して一本咥えた。
やっぱり、松原とは違う。
火をつける仕草や雰囲気が真逆って気がする。
だけど――。
紫煙をそっと吐き出しながら俺へとゆっくり視線を向ける優斗さんは変にっていうか異様な……色気が漂ってて。
視線があって、とたんに俺は逸らすこともできずに固まった。
「変な意味じゃないんだけど……俺ね……」
長い指に煙草を挟んで、優斗さんは首を傾げて俺を見つめた。
「興味あるんだよね、松原さんのセックスって。あの人、上手そうだよね。俺も自信ないわけじゃないけど……どう違うのかなって……。ね?」
固まってた俺は――さらに固まって、頭の中が真っ白になった。
キスの合間に漏れてる俺の声。
もう何度も見たムービーだから身体が反応してしまいそうになる。
恥ずかしさに真っ赤になりながら、なんとか下半身に熱が集まらないように意識を逸らせる。
「あ、あの」
目の前でムービーを見られるなんて、恥ずかしいどころじゃないから優斗さんになんとか止めてもらおうと思った。
だけど俺が言うより早く、ムービーを見ていた優斗さんは微笑を俺に向けた。
「捺くん、気持ちよさそうだもんね。よっぽど松原さんのキスはうまいのかな?」
「……は……」
なん――だ……?
なんか、優しい微笑なのに、なんか……ちょっと雰囲気が変わったような気がする。
「ほら、実優には聞けないし」
くす、と笑った優斗さんに少しだけホッとした。
実優ちゃん絡みでそんなことを聞いたのかなって思ったから。
もともと実優ちゃんと優斗さんは付き合ってて、だけど松原が結果的には奪った形で。
だから――もしかしたら優斗さんは松原のことをずっと気にしていたのかも。
だから、だから……。
「捺くんをキス一つで落とすくらいだから相当うまいんだろうね」
「……」
「ああ、松原さん本気でしかけてるね。音まで聞こえてきそうだ」
ふ、と笑う優斗さんに俺はなにも言えない。
実優ちゃんを取られたから、だから、って思いながら、なのに優斗さんの雰囲気が妙に……艶っぽい気がして。
そしてその言葉に煽られるように松原とのキスを思い出してしまう。
自己処理のネタに使ってたムービーと、あの日の俺が松原に仕掛けたあの夜の、キスやなにかが一気に頭ん中を支配して下半身がどうしようもなく反応しかけていた。
焦りながら冷めかけたコーヒーに手を伸ばした。
半分くらい入っていたそれを一気に飲み干す。
「告白はしないの?」
平静にって考えてる俺に、追い打ちをかけるように優斗さんが声をかけてくる。
「……や……、えと」
告白すっ飛ばして松原に媚薬盛ってしまった、なんて言えるわけない。
それにあんなことしてしまったから告白できないし、松原は俺の気持ちに気づいてたけど……。
「無理……だし」
「気持ちを伝えるくらいはいいんじゃないのかな? はっきりしたほうが諦めもつきやすい気がするけど」
「……」
確かにそうかもしれない。
でも、もう俺は振られているも同然で、あきらめなきゃいけねーのに……ずるずる引きずってる。
「松原は……俺の気持ち知ってるから……」
気づいたら弱々しく呟いてた。
「知ってる?」
「……はい。……もう、一か月前くらいに……その振られたような感じっつーか」
誰にも言えなかったこと。だから、俺の気持ちを知っても引かずに話しを聞いてくれる優斗さんについ言ってしまったのかもしれない。
「……そうなんだね。会ってちゃんと伝えたんだ?」
「……いや……ただ……マンションに……」
行って――。
……行って?
すとーっぷ!
あ、危ないところだった……。また墓穴掘るところだった!
のこのこマンションに行ったなんて、実優ちゃんの叔父であるこの人に言うべきじゃ……ないよな?
「マンションまで行ったんだね」
「……」
もう、すでに墓穴掘ってる……?
「いや、あの、その! ちょっと、話をしに! ただ、話しをしただけですから! 俺まだそのときはちゃんと松原のことを好きって自覚しているようなしていないような感じで。だから松原と話しをしてみたら、なんかわかるかな……って思って。話しをしに!」
まぁ……媚薬持ってだけど。
「そ、それで、その……」
その、なんだ?
どう続けりゃいーんだよ!?
「それで捺くんは松原さんへの気持ちを確信して、そして松原さんは捺くんにNGを出したわけだ」
止まってしまった俺の言葉を優斗さんが引き継いでくれた。
簡単に言えばそれだけのことだ。
素直に頷いて、俯いた。
凹む気持ちと、それでもあの夜を思い出して疼く気持ち。
純粋に俺は松原のことを好きなのか。
それとも今だに引きずっているのはあの夜の……。
「それでもまだ好きなんだね?」
「……わかりません」
本当に、よくわかんねー。
どうすればいいのかも、わかんねぇ。
「捺くんはキスで松原さんが好きになったんだよね」
うだうだしてる俺にずっと優しい優斗さん。
そっと顔を上げると、もうスマホを手には持ってなくって、ただ俺のことを見ていた。
「……たぶん」
「告白したときは、松原さんとどんなことを話したのかな」
「……雑談です」
嘘ではない。
実際媚薬盛るまではずっと他愛のないこと喋ってただけだし。
うん、嘘じゃない。
……ちょっと後ろめたいけど。
「あのね……立ち入ったことかもしれないけど……そのとき何かあった?」
「……は?」
「ああ、ごめん。なんとなく、ね」
そう笑って言いながら急に優斗さんは立ちあがった。
どこに行くんだろうって思ってると歩きだした優斗さんはすぐに足を止めて、ソファに座った。
――俺の、隣に。
なんで?
ぽかんとする俺に優斗さんは俺をどん底に突き落とすようなことを――言い放った。
「なんとなく……なんかあったんだろうなぁと思って。だって捺くん」
目を細める優斗さんの微笑みは思わず見惚れるくらいにキレイで、そして……妖しくて。
優斗さんは俺の耳元に顔を寄せると、内緒話でもするように囁いた。
「さっきから、下……反応してるよね? 松原さんのことを話しだしてからずっと」
びくん、と身体が思わず震えて、とっさに距離をとるように優斗さんから離れる。
そして無意識に隠すように足をきつく閉じた。
そんな俺の行動を気にする様子もなく優斗さんはソファの背もたれにもたれかかると煙草を取り出して一本咥えた。
やっぱり、松原とは違う。
火をつける仕草や雰囲気が真逆って気がする。
だけど――。
紫煙をそっと吐き出しながら俺へとゆっくり視線を向ける優斗さんは変にっていうか異様な……色気が漂ってて。
視線があって、とたんに俺は逸らすこともできずに固まった。
「変な意味じゃないんだけど……俺ね……」
長い指に煙草を挟んで、優斗さんは首を傾げて俺を見つめた。
「興味あるんだよね、松原さんのセックスって。あの人、上手そうだよね。俺も自信ないわけじゃないけど……どう違うのかなって……。ね?」
固まってた俺は――さらに固まって、頭の中が真っ白になった。
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陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
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漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
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