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第三夜 性少年の受難
32.いっちゃった
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たぶん俺はいますっごくアホな顔をしていると思う。
まさしくポカーンと、口を開けて智紀さんを見てた。
「だ、男女関係なく……」
どうにか言葉を発してゴクンと唾を飲み込む。
秘密っていったけど、秘密って言ったけど……かなりすごいカミングアウトじゃないのか!?
でも智紀さんは平然とした顔で俺の隣にいる。
逆に俺のほうが聞いてよかったのかなって焦って酒を一気飲みしてしまった。
「あんまり男とか女にこだわらないんだよね。気にいればいいかなって感じで」
「……」
「好きになって――まぁ、モノが勃ちさえすれば問題ないし」
「……」
やっぱり平然とした笑顔で智紀さんは喋ってる。
俺は、なんかもう頭ん中が真っ白で固まってた。
「軽蔑した?」
「……へ?」
ぼうっとしてたから、不意に届いた言葉に戸惑って智紀さんを見る。
いま"軽蔑"って言ったよな?
……別に、俺は……。
「う、ううん。……びっくりはしたけど」
でもよく考えれば俺も変わらないって気づいた。
女の子大好きだったけど、最近俺がセックスしてんのは男の優斗さん。
そう考えると――智紀さんの言うこともわかる気がする。
勃てばいいってのはそりゃそうなんだけど。
「……軽蔑とかしない……。人を好きになるのに……あんまり性別って関係ないのかもしれねーし……」
気づけばそう言ってた。
「いい子だね、捺くんは」
「……いや、別に……あ、あのさ」
「うん?」
「智紀さんは……」
一つ気になることが浮きあがってきて、どうしようかなって思いながら訊いてみた。
視線は合わせられなかったから俯いて。
「その……初めて……男とヤったときっていつ頃だった? 男でもイイって思ったきっかけとか……」
ドキドキしながら言い終わって。
うーん、って智紀さんは少し考えて――。
「捺くんと同じかな」
「……は?」
「高校二年のとき」
「……」
――……"同じかな"って……、俺と同い年のときにっていう意味だよな。
そうでなかったら……。
「……」
とりあえず落ち着こうと思って酒を――……。
「わっ!!」
ふとグラスどこだろうって視線を走らせて気づいた。
ていうかいままで気づかなかったのかよって感じだけど、俺のグラスは床の上に置かれてそれに俺が手を添えてて、そこにさらに智紀さんの手も添えられてた。
「さっきグラス落としそうになったからね」
「……あ、ごめんなさい」
智紀さんの手が離れてって、小さく謝った。
やばい、俺。
なんか変に緊張してしまってる。
だって男女関係ないってことは――って、考えすぎか。
いくらなんでも智紀さんが俺を相手になんて思うわけないだろうし。自意識過剰か!
酒は残ってなかったから作りなおして、また半分くらい一気に飲んだ。
落ち着こうとしたけど、飲むペースを早くしたせいかちょっとぐらっとする。
「17歳のときに、告白されてね。他校の一個下の男の子に。まぁ男に告白されるのもたまーにありはしたんだけど、タイミングなのかなぁ。その子とちょくちょく会うようになって、なんとなーくセックスしてみたら意外によかったっていう」
「……」
「まぁ10代のときの男の性欲って基本猿だからねぇ」
「……」
あっけらかんと話す智紀さんに俺は相槌も打てずにひたすら酒を飲んだ。
「もともとそこまで男だからとか女だからっていう意識はなかったような気もするけど」
「……」
「人を好きになるって制御できないものだし、いつどうやって堕ちるかなんて自分でもわからないしね」
「……」
「だから、捺くん」
俺の名を呼ぶ柔らかい声に、顔を上げた。
「話してみれば? 楽になるかもしれないよ」
智紀さんは――気づいてんのかもしれない。
何となくそう思った。
見ればわかるって言ってたし、俺が女以外――にも経験あるって気づいてるのかも。
だけど、だからって話すには勇気が足りずに俺は黙って酒を飲んだ。
いままで誰にも言えなかったことが重くしこりみたいに胸に詰まってる。
智紀さんの秘密は、そのしこりをつついてくる。
言っていいのかな。
話していいのかな。
って、ぐるぐる頭ん中をまわって酒を飲み続ける。
智紀さんもそんな俺にもう何も言わずに酒を飲んでいた。
「――……の」
「ん?」
2杯、3杯ってグラスを重ねて――。
「あ、あの……っ」
頭ん中がグラグラする。
それは考え過ぎっていうのもあるけど、第一は飲み過ぎ。
全身が熱くて、たぶん今までで一番酔っぱらってるってことはわかる。
考えがまとまらない。
言っていいのか話していいのか――じゃなくて、言いたくてたまらなくなってきてる。
誰かに話しを聞いてほしくて。
「あの、俺……」
「うん」
酒をごくごくとまた一気飲みして俺は、話し始めた。
飲み続けながら、ろれつが回らなくなりながらも、話し続けた。
優斗さんのことから気づけばことの発端だった松原のことも。
そしてあの――痴漢のことも。
全部、吐きだしてしまってた。
まさしくポカーンと、口を開けて智紀さんを見てた。
「だ、男女関係なく……」
どうにか言葉を発してゴクンと唾を飲み込む。
秘密っていったけど、秘密って言ったけど……かなりすごいカミングアウトじゃないのか!?
でも智紀さんは平然とした顔で俺の隣にいる。
逆に俺のほうが聞いてよかったのかなって焦って酒を一気飲みしてしまった。
「あんまり男とか女にこだわらないんだよね。気にいればいいかなって感じで」
「……」
「好きになって――まぁ、モノが勃ちさえすれば問題ないし」
「……」
やっぱり平然とした笑顔で智紀さんは喋ってる。
俺は、なんかもう頭ん中が真っ白で固まってた。
「軽蔑した?」
「……へ?」
ぼうっとしてたから、不意に届いた言葉に戸惑って智紀さんを見る。
いま"軽蔑"って言ったよな?
……別に、俺は……。
「う、ううん。……びっくりはしたけど」
でもよく考えれば俺も変わらないって気づいた。
女の子大好きだったけど、最近俺がセックスしてんのは男の優斗さん。
そう考えると――智紀さんの言うこともわかる気がする。
勃てばいいってのはそりゃそうなんだけど。
「……軽蔑とかしない……。人を好きになるのに……あんまり性別って関係ないのかもしれねーし……」
気づけばそう言ってた。
「いい子だね、捺くんは」
「……いや、別に……あ、あのさ」
「うん?」
「智紀さんは……」
一つ気になることが浮きあがってきて、どうしようかなって思いながら訊いてみた。
視線は合わせられなかったから俯いて。
「その……初めて……男とヤったときっていつ頃だった? 男でもイイって思ったきっかけとか……」
ドキドキしながら言い終わって。
うーん、って智紀さんは少し考えて――。
「捺くんと同じかな」
「……は?」
「高校二年のとき」
「……」
――……"同じかな"って……、俺と同い年のときにっていう意味だよな。
そうでなかったら……。
「……」
とりあえず落ち着こうと思って酒を――……。
「わっ!!」
ふとグラスどこだろうって視線を走らせて気づいた。
ていうかいままで気づかなかったのかよって感じだけど、俺のグラスは床の上に置かれてそれに俺が手を添えてて、そこにさらに智紀さんの手も添えられてた。
「さっきグラス落としそうになったからね」
「……あ、ごめんなさい」
智紀さんの手が離れてって、小さく謝った。
やばい、俺。
なんか変に緊張してしまってる。
だって男女関係ないってことは――って、考えすぎか。
いくらなんでも智紀さんが俺を相手になんて思うわけないだろうし。自意識過剰か!
酒は残ってなかったから作りなおして、また半分くらい一気に飲んだ。
落ち着こうとしたけど、飲むペースを早くしたせいかちょっとぐらっとする。
「17歳のときに、告白されてね。他校の一個下の男の子に。まぁ男に告白されるのもたまーにありはしたんだけど、タイミングなのかなぁ。その子とちょくちょく会うようになって、なんとなーくセックスしてみたら意外によかったっていう」
「……」
「まぁ10代のときの男の性欲って基本猿だからねぇ」
「……」
あっけらかんと話す智紀さんに俺は相槌も打てずにひたすら酒を飲んだ。
「もともとそこまで男だからとか女だからっていう意識はなかったような気もするけど」
「……」
「人を好きになるって制御できないものだし、いつどうやって堕ちるかなんて自分でもわからないしね」
「……」
「だから、捺くん」
俺の名を呼ぶ柔らかい声に、顔を上げた。
「話してみれば? 楽になるかもしれないよ」
智紀さんは――気づいてんのかもしれない。
何となくそう思った。
見ればわかるって言ってたし、俺が女以外――にも経験あるって気づいてるのかも。
だけど、だからって話すには勇気が足りずに俺は黙って酒を飲んだ。
いままで誰にも言えなかったことが重くしこりみたいに胸に詰まってる。
智紀さんの秘密は、そのしこりをつついてくる。
言っていいのかな。
話していいのかな。
って、ぐるぐる頭ん中をまわって酒を飲み続ける。
智紀さんもそんな俺にもう何も言わずに酒を飲んでいた。
「――……の」
「ん?」
2杯、3杯ってグラスを重ねて――。
「あ、あの……っ」
頭ん中がグラグラする。
それは考え過ぎっていうのもあるけど、第一は飲み過ぎ。
全身が熱くて、たぶん今までで一番酔っぱらってるってことはわかる。
考えがまとまらない。
言っていいのか話していいのか――じゃなくて、言いたくてたまらなくなってきてる。
誰かに話しを聞いてほしくて。
「あの、俺……」
「うん」
酒をごくごくとまた一気飲みして俺は、話し始めた。
飲み続けながら、ろれつが回らなくなりながらも、話し続けた。
優斗さんのことから気づけばことの発端だった松原のことも。
そしてあの――痴漢のことも。
全部、吐きだしてしまってた。
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