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第五夜 性少年の嫉妬
第31話
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「変わると思うけど。すぐには無理かもしれないけど、ちゃんとずっと話し合っていけば」
「いつになったって変わらないから」
「それは先輩がわかってあげられない彼女さんの問題が?」
「そーだよ」
たぶん苛立ちが声にも出てると思う。
ほんと俺ってガキだな。
自分に呆れながらも佐伯さんから顔を背けた。
「でも、いつかは変わると思うけど」
「だから、無理だって」
佐伯さんは知らないから、言える。
あの二人の絆を、知らねーから。
「変わるんじゃないかな」
「無理」
何回同じことやり取りすれば気がすむのか。
案外食いさがってくる佐伯さんに冷たく言い捨てた。
「――変わりますよ、絶対」
「だから」
「先輩が」
「……は?」
「いつかわかってあげられる日がくるのを悩みながら待つんじゃなくって、ちゃんと好きな人に悩みを話して、わかってもらって、一緒に悩んで、そうしていったら少しづつ変わるかもしれないなって」
佐伯さんはにこっと笑うと空を見上げて指差した。
「今日っていい天気ですよねー」
「……うん?」
「今日ね、雨だったらいやだなって思ってたんです。せっかくの先輩との最初で最後のデ……デートでっ、雨なんてヤダなって思ってたんですけどね」
途中デートのところですっげぇ一瞬で佐伯さんの顔が真っ赤になったのがおかしくてつい笑いが出た。
「でも雨だったら雨でもよかったなって今は思います」
「なんで?」
「雨だったら、相合傘してもらえたかも!とか。土砂降りだったらすっごい先輩の記憶に残ってもらえそうかも?とか。そういえばそんなに雨の匂いはきらいじゃないなーとか」
うーんうーんと悩みながら、でも一つづつ笑顔で言ってくる。
「見方を変えると世界って変わるんだなって思うんです!」
「……見方」
「先輩さっき、わかってあげられないことがしんどいって言ったとき、眉間にシワ寄ってました」
人差し指を自分の眉間に押し当てて「こーんなかんじ」でって難しそうな顔をしだす。
「そんな顔してた?」
「してましたよー。なんかもういっぱいいっぱいなんだなって、わかりました」
……んな、いっぱいいっぱいかな?
んー……まぁちょっと?
さりげなく前髪触れるふりして眉間をほぐしてみたりした。
「我慢って身体に悪いですよー!? 絶対彼女さんに話したほうがいいです。だって彼女さんって先輩が大好きで優しい素敵な人なんですよね。だったらきっと先輩の気持ちわかってくれるし、絶対話したら"わかってあげれなくても"少しは楽になるって思うんです!」
楽に、なれる?
俺はやっぱりバカなんだと思う。
きっと優斗さんはちゃんと俺の話を聞いてくれるってわかってる。
でも。
「でも、さ」
やっぱり言ってもやっぱり、消化できないような気がする。
「でも……ガキくさいこと言って……嫌がられたらいやじゃねー?」
優斗さんが大事にしてる実優ちゃんに――イライラするなんて言ったら、優斗さんは俺のことどう思うんだろ。
悲しませるんじゃねーのかな、って……それも不安だった。
ドロドロしたもんなんか見せたくない。
会ってるときは楽しいから、それでいいんじゃねーのか。
余計なこと言って、気まずくなるほうが、嫌だ。
「……私なら、好きな人が自分のことで辛い思いしてるっていうことのほうが嫌だなって思うけど……。先輩の好きな人もそうじゃないかな」
せっかくのいい天気なのに、せっかくの誕生日なのに。
佐伯さんは少し泣きそうな顔をして視線を伏せた。
気まずい空気が流れる。
昨日告白されて、今日まともに喋った相手に俺なにやってんだろ。
イイ子だから、甘えて相談したくせに結局なんも耳貸してねーし。
「……ご」
ごめん、って言いかけた。
だけど――。
「わ……私は……そう……思いますっ!!!!」
ゆっくり佐伯さんが口を開いたかと思うといきなり叫んだ。
「……」
今度はさすがに周りのお客さんも笑いじゃなくて引いてる気配を感じる。
「先輩の好きな人なんだから、先輩のこと大好きで一番に考えてるはずですっ。だから絶対だいじょーぶですっ!!」
鼻息荒くしてテーブルにバンって音たてて両手をついて力強く言ってくる。
興奮しすぎてんのかその手はちょっと震えてて。
「……」
耐えれるはずがない。
我慢しよって思ったけど、無理で吹き出した。
いや、爆笑。
腹抱えて笑いだした俺に佐伯さんはぽかんと呆ける。
「っ、ごめ! いや、この笑いは悪いいみじゃなくてさ……」
突然笑いだしたら印象悪いよな、ってのはわかるからなんとか抑えようとするけどしばらく笑い続けてしまった。
佐伯さんはだんだんと泣きそうになってきて、慌てて手を伸ばした。
ぽん、と優斗さんが俺にしてくれるように佐伯さんの頭を一撫で。
「ありがと、佐伯さん」
そしてあっという間に佐伯さんの顔は真っ赤になって、目をきょろきょろさせる。
「え、あ、あの」
「なんか佐伯さんの言葉聞いてたら、ちょっとなんとかなりそうな気がしてきた」
ほんとちょっとだけ、だけど。
佐伯さんの勢いに俺のモヤモヤしたものが少し吹き飛ばされた気がする。
ありがと、ってもう一回言って笑ったら、ますます顔を真っ赤にさせた佐伯さんはさっきまでの勢いをなくしてもじもじしだした。
「あ……えっと、……よ、よかったです」
照れてるらしい佐伯さんにまだ残ってるケーキを食べなよって促した。
俺も少し貰って食べながら、話は共通の知り合いである脩吾のこととか中学の時のこととかに流れていった。
結構話は盛り上がって、まるで前から知り合いみてーに楽しく喋ってた。
「え、と、いいんですか?」
「いーよ、俺も暇だからさ」
それから二時間近く居座ったケーキ屋を出て佐伯さんの買い物に付き合った。
佐伯さん行きつけの雑貨屋で「誕生日プレゼントになんかあげようか?」って言ったけど全力で首振って却下されて。
ただ、
「先輩に選んでほしいです」
って言ったから、ベアとキラキラしたガラス玉みてーなのがついたストラップが目についてそれを見せたら佐伯さんは嬉しそうに買ってた。
予想外に一緒にいる時間が長くなったのは佐伯さんの人徳ってやつだと思う。
素直に友達になりてーな、って思える子。
他愛のない話しながら、たまに優斗さんのこと――もちろん男だってことは言わずにだけど――も話して、振った相手にのろけてどうするってかんじだけど、佐伯さんは楽しそうに話を聞いてくれてた。
「もう6時かー」
あっという間だったな。
「早いですね」
まだ明るいけど、もう夕方だ。
俺と同じ中学だった佐伯さんは、聞いてみたら家もわりと近いらしい。
でも今日は誕生日だから家族で外食するらしくて駅まで別れることにした。
駅までの道を他愛のない話しながら歩いていく。
「あのっ、今日はほんとありがとうございました! もうすっごくすっごく楽しかったです!!」
「あはは、俺も楽しかった。こっちこそなんかいろいろありがと」
「いえっ!! 私の方がものすごくありがとうございますです!!」
笑う俺に、佐伯さんは立ち止まって何度も頭を下げてくる。
やっぱ面白い子だなー。
もう駅まですぐ。
「佐伯さん」
「は、はい」
俺も立ち止まって、佐伯さんを見下ろした。
「振って、ごめんな」
イイ子だって今日一日でよくわかった。
可愛くて、優しくて、優斗さんと出会ってなかったらもしかしたら、なんて思える子だった。
でも、やっぱ俺には優斗さんだけで。
「……い、いえっ。私は、先輩が幸せならいいですっ」
顔真っ赤にして涙を滲ませて佐伯さんは笑う。
「……佐伯さんって強いよな。俺も佐伯さん見習ってがんばるよ」
「……先輩」
まじで泣くんじゃねーかって思ったけど、笑顔を崩さなかった。
「お、応援してますっ!!」
「ん」
早く――優斗さんに会いたいな。
そんなことを考えたからか?
駅のロータリーに優斗さんの車が、あった。
いや、違うよな。
同じ車なんてよくあるし。
「先輩?」
気を取られてたら、不思議そうに佐伯さんが首を傾げる。
「あ、なんでもない」
すぐに笑って首を振った。けど――もし優斗さんだったら、俺……いまヤバくねーか?
「そうですか? じゃあ……そろそろお別れですね」
「う、うん」
今日は和と遊ぶって言っておいたしな。
いやでもたぶん違う。
……あ、でもここの駅ってわりと松原のマンションに行くときに通るような……。
いやいやいや、んな偶然ないない。
「先輩、ほんとうにありがとうございました。先輩のおかげで16歳の誕生日が一生忘れられないものになりましたっ」
そうだ、いまは佐伯さん。
誕生日なんだった。最後までちゃんと向き合ってやんなきゃだよな。
「俺も佐伯さんと話せてまじでよかったよ。ほんと、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
深く佐伯さんはお辞儀をした。
「……じゃあ、先輩、私行きますね」
「ん。楽しんできて」
「はい!」
笑顔で、だけど佐伯さんが俺をじっと見つめてくる。
「なに?」
「先輩、あのっ! 最後に、ごめんなさいっ!!! これで本当にほんっとーに、諦めますっ!!」
そう言って佐伯さんが、俺の腕を引っ張った。
意外に強く引っ張られてよろめく。
佐伯さんが背伸びして――ちゅ、と頬にほんの一瞬だけ触れた温もり。
「……」
「あ、あ、あ、ありがとうございましたっ!!」
唖然とする俺に、今日一番顔を真っ赤にした佐伯さんはそう叫んで――逃げてった。
脱兎のごとくっていう表現があうくらい、猛ダッシュで走りさっていった。
「……」
突然すぎて呆気にとられるしかできないでいて、そんでしばらくして我に返ってふと駅の方を見て。
―――優斗さんと目があった。
「いつになったって変わらないから」
「それは先輩がわかってあげられない彼女さんの問題が?」
「そーだよ」
たぶん苛立ちが声にも出てると思う。
ほんと俺ってガキだな。
自分に呆れながらも佐伯さんから顔を背けた。
「でも、いつかは変わると思うけど」
「だから、無理だって」
佐伯さんは知らないから、言える。
あの二人の絆を、知らねーから。
「変わるんじゃないかな」
「無理」
何回同じことやり取りすれば気がすむのか。
案外食いさがってくる佐伯さんに冷たく言い捨てた。
「――変わりますよ、絶対」
「だから」
「先輩が」
「……は?」
「いつかわかってあげられる日がくるのを悩みながら待つんじゃなくって、ちゃんと好きな人に悩みを話して、わかってもらって、一緒に悩んで、そうしていったら少しづつ変わるかもしれないなって」
佐伯さんはにこっと笑うと空を見上げて指差した。
「今日っていい天気ですよねー」
「……うん?」
「今日ね、雨だったらいやだなって思ってたんです。せっかくの先輩との最初で最後のデ……デートでっ、雨なんてヤダなって思ってたんですけどね」
途中デートのところですっげぇ一瞬で佐伯さんの顔が真っ赤になったのがおかしくてつい笑いが出た。
「でも雨だったら雨でもよかったなって今は思います」
「なんで?」
「雨だったら、相合傘してもらえたかも!とか。土砂降りだったらすっごい先輩の記憶に残ってもらえそうかも?とか。そういえばそんなに雨の匂いはきらいじゃないなーとか」
うーんうーんと悩みながら、でも一つづつ笑顔で言ってくる。
「見方を変えると世界って変わるんだなって思うんです!」
「……見方」
「先輩さっき、わかってあげられないことがしんどいって言ったとき、眉間にシワ寄ってました」
人差し指を自分の眉間に押し当てて「こーんなかんじ」でって難しそうな顔をしだす。
「そんな顔してた?」
「してましたよー。なんかもういっぱいいっぱいなんだなって、わかりました」
……んな、いっぱいいっぱいかな?
んー……まぁちょっと?
さりげなく前髪触れるふりして眉間をほぐしてみたりした。
「我慢って身体に悪いですよー!? 絶対彼女さんに話したほうがいいです。だって彼女さんって先輩が大好きで優しい素敵な人なんですよね。だったらきっと先輩の気持ちわかってくれるし、絶対話したら"わかってあげれなくても"少しは楽になるって思うんです!」
楽に、なれる?
俺はやっぱりバカなんだと思う。
きっと優斗さんはちゃんと俺の話を聞いてくれるってわかってる。
でも。
「でも、さ」
やっぱり言ってもやっぱり、消化できないような気がする。
「でも……ガキくさいこと言って……嫌がられたらいやじゃねー?」
優斗さんが大事にしてる実優ちゃんに――イライラするなんて言ったら、優斗さんは俺のことどう思うんだろ。
悲しませるんじゃねーのかな、って……それも不安だった。
ドロドロしたもんなんか見せたくない。
会ってるときは楽しいから、それでいいんじゃねーのか。
余計なこと言って、気まずくなるほうが、嫌だ。
「……私なら、好きな人が自分のことで辛い思いしてるっていうことのほうが嫌だなって思うけど……。先輩の好きな人もそうじゃないかな」
せっかくのいい天気なのに、せっかくの誕生日なのに。
佐伯さんは少し泣きそうな顔をして視線を伏せた。
気まずい空気が流れる。
昨日告白されて、今日まともに喋った相手に俺なにやってんだろ。
イイ子だから、甘えて相談したくせに結局なんも耳貸してねーし。
「……ご」
ごめん、って言いかけた。
だけど――。
「わ……私は……そう……思いますっ!!!!」
ゆっくり佐伯さんが口を開いたかと思うといきなり叫んだ。
「……」
今度はさすがに周りのお客さんも笑いじゃなくて引いてる気配を感じる。
「先輩の好きな人なんだから、先輩のこと大好きで一番に考えてるはずですっ。だから絶対だいじょーぶですっ!!」
鼻息荒くしてテーブルにバンって音たてて両手をついて力強く言ってくる。
興奮しすぎてんのかその手はちょっと震えてて。
「……」
耐えれるはずがない。
我慢しよって思ったけど、無理で吹き出した。
いや、爆笑。
腹抱えて笑いだした俺に佐伯さんはぽかんと呆ける。
「っ、ごめ! いや、この笑いは悪いいみじゃなくてさ……」
突然笑いだしたら印象悪いよな、ってのはわかるからなんとか抑えようとするけどしばらく笑い続けてしまった。
佐伯さんはだんだんと泣きそうになってきて、慌てて手を伸ばした。
ぽん、と優斗さんが俺にしてくれるように佐伯さんの頭を一撫で。
「ありがと、佐伯さん」
そしてあっという間に佐伯さんの顔は真っ赤になって、目をきょろきょろさせる。
「え、あ、あの」
「なんか佐伯さんの言葉聞いてたら、ちょっとなんとかなりそうな気がしてきた」
ほんとちょっとだけ、だけど。
佐伯さんの勢いに俺のモヤモヤしたものが少し吹き飛ばされた気がする。
ありがと、ってもう一回言って笑ったら、ますます顔を真っ赤にさせた佐伯さんはさっきまでの勢いをなくしてもじもじしだした。
「あ……えっと、……よ、よかったです」
照れてるらしい佐伯さんにまだ残ってるケーキを食べなよって促した。
俺も少し貰って食べながら、話は共通の知り合いである脩吾のこととか中学の時のこととかに流れていった。
結構話は盛り上がって、まるで前から知り合いみてーに楽しく喋ってた。
「え、と、いいんですか?」
「いーよ、俺も暇だからさ」
それから二時間近く居座ったケーキ屋を出て佐伯さんの買い物に付き合った。
佐伯さん行きつけの雑貨屋で「誕生日プレゼントになんかあげようか?」って言ったけど全力で首振って却下されて。
ただ、
「先輩に選んでほしいです」
って言ったから、ベアとキラキラしたガラス玉みてーなのがついたストラップが目についてそれを見せたら佐伯さんは嬉しそうに買ってた。
予想外に一緒にいる時間が長くなったのは佐伯さんの人徳ってやつだと思う。
素直に友達になりてーな、って思える子。
他愛のない話しながら、たまに優斗さんのこと――もちろん男だってことは言わずにだけど――も話して、振った相手にのろけてどうするってかんじだけど、佐伯さんは楽しそうに話を聞いてくれてた。
「もう6時かー」
あっという間だったな。
「早いですね」
まだ明るいけど、もう夕方だ。
俺と同じ中学だった佐伯さんは、聞いてみたら家もわりと近いらしい。
でも今日は誕生日だから家族で外食するらしくて駅まで別れることにした。
駅までの道を他愛のない話しながら歩いていく。
「あのっ、今日はほんとありがとうございました! もうすっごくすっごく楽しかったです!!」
「あはは、俺も楽しかった。こっちこそなんかいろいろありがと」
「いえっ!! 私の方がものすごくありがとうございますです!!」
笑う俺に、佐伯さんは立ち止まって何度も頭を下げてくる。
やっぱ面白い子だなー。
もう駅まですぐ。
「佐伯さん」
「は、はい」
俺も立ち止まって、佐伯さんを見下ろした。
「振って、ごめんな」
イイ子だって今日一日でよくわかった。
可愛くて、優しくて、優斗さんと出会ってなかったらもしかしたら、なんて思える子だった。
でも、やっぱ俺には優斗さんだけで。
「……い、いえっ。私は、先輩が幸せならいいですっ」
顔真っ赤にして涙を滲ませて佐伯さんは笑う。
「……佐伯さんって強いよな。俺も佐伯さん見習ってがんばるよ」
「……先輩」
まじで泣くんじゃねーかって思ったけど、笑顔を崩さなかった。
「お、応援してますっ!!」
「ん」
早く――優斗さんに会いたいな。
そんなことを考えたからか?
駅のロータリーに優斗さんの車が、あった。
いや、違うよな。
同じ車なんてよくあるし。
「先輩?」
気を取られてたら、不思議そうに佐伯さんが首を傾げる。
「あ、なんでもない」
すぐに笑って首を振った。けど――もし優斗さんだったら、俺……いまヤバくねーか?
「そうですか? じゃあ……そろそろお別れですね」
「う、うん」
今日は和と遊ぶって言っておいたしな。
いやでもたぶん違う。
……あ、でもここの駅ってわりと松原のマンションに行くときに通るような……。
いやいやいや、んな偶然ないない。
「先輩、ほんとうにありがとうございました。先輩のおかげで16歳の誕生日が一生忘れられないものになりましたっ」
そうだ、いまは佐伯さん。
誕生日なんだった。最後までちゃんと向き合ってやんなきゃだよな。
「俺も佐伯さんと話せてまじでよかったよ。ほんと、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
深く佐伯さんはお辞儀をした。
「……じゃあ、先輩、私行きますね」
「ん。楽しんできて」
「はい!」
笑顔で、だけど佐伯さんが俺をじっと見つめてくる。
「なに?」
「先輩、あのっ! 最後に、ごめんなさいっ!!! これで本当にほんっとーに、諦めますっ!!」
そう言って佐伯さんが、俺の腕を引っ張った。
意外に強く引っ張られてよろめく。
佐伯さんが背伸びして――ちゅ、と頬にほんの一瞬だけ触れた温もり。
「……」
「あ、あ、あ、ありがとうございましたっ!!」
唖然とする俺に、今日一番顔を真っ赤にした佐伯さんはそう叫んで――逃げてった。
脱兎のごとくっていう表現があうくらい、猛ダッシュで走りさっていった。
「……」
突然すぎて呆気にとられるしかできないでいて、そんでしばらくして我に返ってふと駅の方を見て。
―――優斗さんと目があった。
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