11 / 45
10話 ピンクの少女と乙女ゲーム②
しおりを挟む
と、長々と瓶底メガネ少女は俺に説明をし終えた。
この話を聞いた時、青ざめそうになる顔を誤魔化すのに苦労した。俺が死ぬなんてことや、ノアディアの最期はどうだったかなんて知りたくなかったし、例えゲームの内容だとしても胸糞悪過ぎる。笑えない冗談だ。
ちなみに何故こんな状況になっているのかといえば、俺は今日、珍しく食堂で朝食を摂ってしまったからだ。本当についてない。
昨日のことのせいで眠りにつくのが遅くなり、早起きできず料理する時間がなかったので、食堂を使うことにしたのだ。
今度また新しい魔法でも編み出そうかと考えながら、一人でゆっくり朝食を食べていたところ、瓶底メガネ少女がいきなり隣の席を陣取り、「唐突だが、私には前世の記憶が残っている。」と言い始め、長々と乙女ゲームについてをレクチャーし始めてきた時は正気を疑った。唐突すぎるぞ、おい。
最初はスルーしようと思っていたが、何やら真剣そうな表情をしていたのでやめた。
一通り話し終えてスッキリした表情の彼女は、ニコニコと気味悪くこちらを伺ってくる。何だよ、感想は?みたいな顔するのやめろよ。
「色々とツッコミたい部分はあるが・・・取り敢えず、お前の目的は何なんだ?」
「私はどうしても、この世界が好きだから。だから、幸せにしたいの。私の守れる範囲の人達くらいは。そしてあわよくば薔薇薔薇して頂いたり攻略対象者同士で美しい恋愛を────」
今度はおかしな方面で話を進めるつもりらしいので、話を区切るように思い出したことを伝えた。
「あ、そういえばストーリに出てくる怪しい魔法陣を操る人にこの前会ったかもな。一人は小さな女の子だったけど。」
「そ、その人達のことだよライ君!大丈夫だったの!?本来のストーリーだとそこで命を落としてこの国もろともバッドエンドだったんだよ!?」
「興味深い人達ではあったけど・・・別に邪悪な意志はなかったような気がするんだけどな・・・。」
「騙されちゃダメだよ、あの二人は・・・なんだっけ・・・大切な事を忘れている気がするけど、なんか、頭のネジが外れている人の手下なんだよ!」
「お、おう。じゃあ気を付けるよ。忠告どうも。」
「ガンガンいこうぜは危険だからね!?命を大事にだよ!?」
本気で俺を懸念してくれているのか、大声で叫んできた。俺と違って朝から元気過ぎないか。どこから湧き出てくるんだよそのパワー・・・。
「声のボリューム下げてくれ。それよりも・・・その、あまり聞きたくはないんだけどさ・・・。」
「どうしたの?」
深くは聞きたくはないが・・・瓶底メガネ少女の妄想であって欲しいのだが・・・。
「俺がノアディアの運命の番ってギャグ、あんま面白くなかったぞ?」
「ギャグじゃないよ!実際ライ君はノアディア様にとっても愛されてるでしょ?」
「目でも腐っているのか?」
いや、ある意味腐ってはいるんだが・・・俺がノアディアの番・・・つまり恋人ってことか?と解釈するのはやめて頂きたい。そんな仲ではないし、俺はむしろ昨日のあの一件から今まで以上に嫌われているんだぞ。
「違うよ!事実だよ。ノアディア様がお婿さんでライ君はお嫁さん。オッケー?」
「は!?番って恋人とかって意味じゃないのかよ!?しかも俺が嫁なのか!?・・・笑わせようとするならもっと他の話題にしてくれ。」
「誰が誰のお嫁さんなのですか?」
俺が驚いて大騒ぎしていると、胡散臭い笑顔をしたノアディアが隣の席に座ってきた。
威圧感が凄まじいせいか、瓶底メガネ少女はプルプルと震え出した。恐怖したからか鼻血まで出してやがる。大丈夫かコイツ。
「い、いえっ!失礼しましたっ。私は食べ終わったので後はごゆっくりぃぃいいい!」
と騒ぎながら食堂から出ていく。って、お、おい待て!見捨てる気だな!
俺も急いで席を立とうとしたが、呆気なくノアディアに捕まってしまった。
「まだ、残っていますよ?」
「うぐ・・・はい。」
食べ物に罪はない・・・確かにこのまま部屋に戻れないな。
観念して席に座り直し、残りの朝食を食べる。どうしてこんな時に限ってご飯大盛りにしちゃったかなぁ、俺。
「それで、誰が誰のお嫁さんになるんですか?」
「あー、いや、その。」
どう説明すればいいのか分からず、はぐらかそうとするが上手いこと言葉が出てこない。
「ライ・・・婚約者でもできたのですか?」
「いや、そんなものはいなくて。」
「では先程の発言は何だったのですか?」
「だ、だから、その。」
「ちゃんと教えて下さいね?」
引き攣る笑顔でこちらを見ている。俺が答えるまで意地でも居座り何度も質問してくる。鬼かよ。
ありのままを離すしかないかと意を決して口を開く。
「だから、あのメガネ女の冗談なんだけどさ、俺がノアディアのお嫁さんだとか言ってきて・・・。」
つい言葉尻が小さくなってしまう。新手の羞恥プレイをされている気分でいたたまれない。
顔に熱が集まり、視線をつい逸らしてしまう。
「?」
ノアディアは不思議そうに見つめてくる。
は?もしかして今の聞こえなかったのか!?
「だ、か、ら!!俺はお前のお嫁さん!!!」
あ、間違えた。
「!!??」
「違う!そうさっきの女が勝手に言ってただけだから!俺もう部屋に戻るからな!」
残った朝食を瞬時に完食し、急いで自室に戻る。
やっぱりノアディアは俺のことを弄ぶくらい嫌っているのだろう。そうに違いない・・・。
この話を聞いた時、青ざめそうになる顔を誤魔化すのに苦労した。俺が死ぬなんてことや、ノアディアの最期はどうだったかなんて知りたくなかったし、例えゲームの内容だとしても胸糞悪過ぎる。笑えない冗談だ。
ちなみに何故こんな状況になっているのかといえば、俺は今日、珍しく食堂で朝食を摂ってしまったからだ。本当についてない。
昨日のことのせいで眠りにつくのが遅くなり、早起きできず料理する時間がなかったので、食堂を使うことにしたのだ。
今度また新しい魔法でも編み出そうかと考えながら、一人でゆっくり朝食を食べていたところ、瓶底メガネ少女がいきなり隣の席を陣取り、「唐突だが、私には前世の記憶が残っている。」と言い始め、長々と乙女ゲームについてをレクチャーし始めてきた時は正気を疑った。唐突すぎるぞ、おい。
最初はスルーしようと思っていたが、何やら真剣そうな表情をしていたのでやめた。
一通り話し終えてスッキリした表情の彼女は、ニコニコと気味悪くこちらを伺ってくる。何だよ、感想は?みたいな顔するのやめろよ。
「色々とツッコミたい部分はあるが・・・取り敢えず、お前の目的は何なんだ?」
「私はどうしても、この世界が好きだから。だから、幸せにしたいの。私の守れる範囲の人達くらいは。そしてあわよくば薔薇薔薇して頂いたり攻略対象者同士で美しい恋愛を────」
今度はおかしな方面で話を進めるつもりらしいので、話を区切るように思い出したことを伝えた。
「あ、そういえばストーリに出てくる怪しい魔法陣を操る人にこの前会ったかもな。一人は小さな女の子だったけど。」
「そ、その人達のことだよライ君!大丈夫だったの!?本来のストーリーだとそこで命を落としてこの国もろともバッドエンドだったんだよ!?」
「興味深い人達ではあったけど・・・別に邪悪な意志はなかったような気がするんだけどな・・・。」
「騙されちゃダメだよ、あの二人は・・・なんだっけ・・・大切な事を忘れている気がするけど、なんか、頭のネジが外れている人の手下なんだよ!」
「お、おう。じゃあ気を付けるよ。忠告どうも。」
「ガンガンいこうぜは危険だからね!?命を大事にだよ!?」
本気で俺を懸念してくれているのか、大声で叫んできた。俺と違って朝から元気過ぎないか。どこから湧き出てくるんだよそのパワー・・・。
「声のボリューム下げてくれ。それよりも・・・その、あまり聞きたくはないんだけどさ・・・。」
「どうしたの?」
深くは聞きたくはないが・・・瓶底メガネ少女の妄想であって欲しいのだが・・・。
「俺がノアディアの運命の番ってギャグ、あんま面白くなかったぞ?」
「ギャグじゃないよ!実際ライ君はノアディア様にとっても愛されてるでしょ?」
「目でも腐っているのか?」
いや、ある意味腐ってはいるんだが・・・俺がノアディアの番・・・つまり恋人ってことか?と解釈するのはやめて頂きたい。そんな仲ではないし、俺はむしろ昨日のあの一件から今まで以上に嫌われているんだぞ。
「違うよ!事実だよ。ノアディア様がお婿さんでライ君はお嫁さん。オッケー?」
「は!?番って恋人とかって意味じゃないのかよ!?しかも俺が嫁なのか!?・・・笑わせようとするならもっと他の話題にしてくれ。」
「誰が誰のお嫁さんなのですか?」
俺が驚いて大騒ぎしていると、胡散臭い笑顔をしたノアディアが隣の席に座ってきた。
威圧感が凄まじいせいか、瓶底メガネ少女はプルプルと震え出した。恐怖したからか鼻血まで出してやがる。大丈夫かコイツ。
「い、いえっ!失礼しましたっ。私は食べ終わったので後はごゆっくりぃぃいいい!」
と騒ぎながら食堂から出ていく。って、お、おい待て!見捨てる気だな!
俺も急いで席を立とうとしたが、呆気なくノアディアに捕まってしまった。
「まだ、残っていますよ?」
「うぐ・・・はい。」
食べ物に罪はない・・・確かにこのまま部屋に戻れないな。
観念して席に座り直し、残りの朝食を食べる。どうしてこんな時に限ってご飯大盛りにしちゃったかなぁ、俺。
「それで、誰が誰のお嫁さんになるんですか?」
「あー、いや、その。」
どう説明すればいいのか分からず、はぐらかそうとするが上手いこと言葉が出てこない。
「ライ・・・婚約者でもできたのですか?」
「いや、そんなものはいなくて。」
「では先程の発言は何だったのですか?」
「だ、だから、その。」
「ちゃんと教えて下さいね?」
引き攣る笑顔でこちらを見ている。俺が答えるまで意地でも居座り何度も質問してくる。鬼かよ。
ありのままを離すしかないかと意を決して口を開く。
「だから、あのメガネ女の冗談なんだけどさ、俺がノアディアのお嫁さんだとか言ってきて・・・。」
つい言葉尻が小さくなってしまう。新手の羞恥プレイをされている気分でいたたまれない。
顔に熱が集まり、視線をつい逸らしてしまう。
「?」
ノアディアは不思議そうに見つめてくる。
は?もしかして今の聞こえなかったのか!?
「だ、か、ら!!俺はお前のお嫁さん!!!」
あ、間違えた。
「!!??」
「違う!そうさっきの女が勝手に言ってただけだから!俺もう部屋に戻るからな!」
残った朝食を瞬時に完食し、急いで自室に戻る。
やっぱりノアディアは俺のことを弄ぶくらい嫌っているのだろう。そうに違いない・・・。
21
あなたにおすすめの小説
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる