27 / 45
26話 淡い夏休み③ 友達
しおりを挟む
食卓には3人分の料理が均等に並んでる。
主食とデザートは今朝買ってきたという白パンと桃のゼリー。主菜は母さんの作ったグリルチキン。副菜は俺の作ったチョレギサラダとキノコ野菜スープという献立だ。ちゃんと栄養バランスも考えられているので、口に合えばいいのだが。
「とても美味しいです。」
と、ノアディアは的確に俺の作った物のみを食べて俺に向かって言う。・・・何で分かるんだよ。
「それはどうも。」
ハズいな。何か。あと、まあ・・・嬉しい。
ただ美味しいと言われただけなのに、浮き足立つ気持ちになる。
それにしても依然として綺麗な食べ方だな。目で動きを追っていると、自然と俺も上品に食事をしてしまう。
「そういえばね、さっきお手紙届いたんだけど、お父さんお仕事大変みたいで夏休み中は帰って来れないそうなのよ。」
「えっ!?・・・そっか、残念。」
会えると思っていたのだが、仕事なら仕方ないか。父さん元気にしてるといいな。
それから俺たちは、学校で起きたことや最近の流行りは何だとかの世間話をぽつぽつと話しながら夕食を食べ終えた。
夕食後、食器類を片付けようとしたが、疲れているだろうから早くお風呂入って寝なさいと母さんに言われたので、俺は風呂に入ることにした。
どうやらノアディアは厚かましいことに、俺が帰って来る前に先に風呂に入ったという。遠慮という物を知らないのだろうか?
まあ、それよりも問題なのは、俺の寝間着だ・・・。
寝間着は母さんが作ってくれた物を着ているのだが・・・肌触りがいいので愛用してはいるのだが・・・。
トップスは動物柄、ズボンは無地とシンプルではあるがどういう訳か短パンなのだ・・・。勿論デザインに抗議したが、泣き落とされてしまったので今では普通に着るようになっていた。
はあ、これしかないよな、着る物。私服は材質的に硬くて寝間着に使えないし・・・。
お風呂に入った後、寝間着に着替えて俺は自室へと戻った。言うまでもなく今回はしっかりとノックして、返事が聞こえてから扉を開ける。
ノアディアは椅子に座って本を読んでいたが、俺が入ってくるなりこちらに目を見やる。
「早かったですね・・・ライ!?」
大声で名前を呼ばれる。そんな驚くことかよ。言っておくがこれも母さんの趣味だぞ、と心の中で言い訳をする。
「何だよ。」
「足を・・・足を隠して下さい・・・。」
手を目に当てて見ないようにしているみたいだが、がっつり指の間からこちらを見詰めている。
「何でだよ。」
そんなみっともないのかよ。あんま見るなよ・・・。
「とにかくこれを。」
そう言ってどこから出したのか、絹でできた長ズボンをくれた。
流石絹、肌触りは極上だ。高そうなので返却しようとしたが、さっきから足を凝視してくるので観念して履くことにした。
ちなみにその場で履こうとしたら穴があくほど見られたので、一旦部屋から出て履いた。
「なあ、今更だけど、さ。」
扉越しにノアディアに向かって言う。
「?」
「お前にとって俺は、友達・・・でいいのか?」
ノアディアにこんなこと聞くなんて、本当、思いもよらなかったな。かなり勇気を出したぞ。
扉越しだからこそ、何とか聞けた。多分、ノアディアは俺のこと友達だって────
「いえ!友達でいい訳ありません!!」
「はっ。」
「ですが今は・・・友達ということに致しましょう。」
「・・・。」
は・・・何だそれ。友達じゃないとか言いながら、結局友達なのかよ。
「ふっ。あはは。」
「ライ・・・。」
「はは、ごめん、なんかよく分からないけど、ノアディアって面白いよな。」
初めて言われたとでも言いたげな表情をノアディアがする。ははは、だろうな。いつも余裕な態度だし、真面目にしてるもんな。面白いとは疎遠だよな。
「ごめん、今まで突っぱねてきて。じゃあこれからは友達な。」
扉を開いてノアディアへと手を差し出す。握手くらいできるだろ?
「ライ・・・。」
近付いてきたので握手してくれると思ったのだが、予想外にも下側から俺の手を掬い上げ、差し伸ばした手に・・・
────チュ。
何故かキスを落とす・・・
は!?お前!?何してくれてるんだよ!?隣国では手の甲にキスすることが友好の証なのかよ!?
「~~~っや、やっぱりお前、今すぐ故郷に帰れ!」
主食とデザートは今朝買ってきたという白パンと桃のゼリー。主菜は母さんの作ったグリルチキン。副菜は俺の作ったチョレギサラダとキノコ野菜スープという献立だ。ちゃんと栄養バランスも考えられているので、口に合えばいいのだが。
「とても美味しいです。」
と、ノアディアは的確に俺の作った物のみを食べて俺に向かって言う。・・・何で分かるんだよ。
「それはどうも。」
ハズいな。何か。あと、まあ・・・嬉しい。
ただ美味しいと言われただけなのに、浮き足立つ気持ちになる。
それにしても依然として綺麗な食べ方だな。目で動きを追っていると、自然と俺も上品に食事をしてしまう。
「そういえばね、さっきお手紙届いたんだけど、お父さんお仕事大変みたいで夏休み中は帰って来れないそうなのよ。」
「えっ!?・・・そっか、残念。」
会えると思っていたのだが、仕事なら仕方ないか。父さん元気にしてるといいな。
それから俺たちは、学校で起きたことや最近の流行りは何だとかの世間話をぽつぽつと話しながら夕食を食べ終えた。
夕食後、食器類を片付けようとしたが、疲れているだろうから早くお風呂入って寝なさいと母さんに言われたので、俺は風呂に入ることにした。
どうやらノアディアは厚かましいことに、俺が帰って来る前に先に風呂に入ったという。遠慮という物を知らないのだろうか?
まあ、それよりも問題なのは、俺の寝間着だ・・・。
寝間着は母さんが作ってくれた物を着ているのだが・・・肌触りがいいので愛用してはいるのだが・・・。
トップスは動物柄、ズボンは無地とシンプルではあるがどういう訳か短パンなのだ・・・。勿論デザインに抗議したが、泣き落とされてしまったので今では普通に着るようになっていた。
はあ、これしかないよな、着る物。私服は材質的に硬くて寝間着に使えないし・・・。
お風呂に入った後、寝間着に着替えて俺は自室へと戻った。言うまでもなく今回はしっかりとノックして、返事が聞こえてから扉を開ける。
ノアディアは椅子に座って本を読んでいたが、俺が入ってくるなりこちらに目を見やる。
「早かったですね・・・ライ!?」
大声で名前を呼ばれる。そんな驚くことかよ。言っておくがこれも母さんの趣味だぞ、と心の中で言い訳をする。
「何だよ。」
「足を・・・足を隠して下さい・・・。」
手を目に当てて見ないようにしているみたいだが、がっつり指の間からこちらを見詰めている。
「何でだよ。」
そんなみっともないのかよ。あんま見るなよ・・・。
「とにかくこれを。」
そう言ってどこから出したのか、絹でできた長ズボンをくれた。
流石絹、肌触りは極上だ。高そうなので返却しようとしたが、さっきから足を凝視してくるので観念して履くことにした。
ちなみにその場で履こうとしたら穴があくほど見られたので、一旦部屋から出て履いた。
「なあ、今更だけど、さ。」
扉越しにノアディアに向かって言う。
「?」
「お前にとって俺は、友達・・・でいいのか?」
ノアディアにこんなこと聞くなんて、本当、思いもよらなかったな。かなり勇気を出したぞ。
扉越しだからこそ、何とか聞けた。多分、ノアディアは俺のこと友達だって────
「いえ!友達でいい訳ありません!!」
「はっ。」
「ですが今は・・・友達ということに致しましょう。」
「・・・。」
は・・・何だそれ。友達じゃないとか言いながら、結局友達なのかよ。
「ふっ。あはは。」
「ライ・・・。」
「はは、ごめん、なんかよく分からないけど、ノアディアって面白いよな。」
初めて言われたとでも言いたげな表情をノアディアがする。ははは、だろうな。いつも余裕な態度だし、真面目にしてるもんな。面白いとは疎遠だよな。
「ごめん、今まで突っぱねてきて。じゃあこれからは友達な。」
扉を開いてノアディアへと手を差し出す。握手くらいできるだろ?
「ライ・・・。」
近付いてきたので握手してくれると思ったのだが、予想外にも下側から俺の手を掬い上げ、差し伸ばした手に・・・
────チュ。
何故かキスを落とす・・・
は!?お前!?何してくれてるんだよ!?隣国では手の甲にキスすることが友好の証なのかよ!?
「~~~っや、やっぱりお前、今すぐ故郷に帰れ!」
11
あなたにおすすめの小説
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる