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34話 婚約発表① 認めた想い
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「ノアディアが婚約・・・?」
────友達として、これからは普通に関わっていこうと決心した翌日の出来事だった。
教室のドアを開けると、いつもは静かなのに対して、今日はどこかから悲鳴が聞こえたり、椅子から滑り落ちる生徒がいたり・・・教室内は喧騒に包まれていた。朝から騒がしい様子にたじろいでしまう。
何かあったんだろうかと、不可解に思い辺りを見回して噂話に耳を傾けていると、リリーアが突然、ノアディアが今朝、婚約を発表したことを伝えてきた。
そして冒頭のセリフに至る。
「そうなの!!おかしいよね、相手は王家の子供だって言われてて、ずっとその話題で持ち切りなのぉぉおおお!!しかも、ノアディア様が隣国の王太子って皆にバレてもう大変!!」
皆・・・ノアディアが王族ってこと知らなかったのか。そういえば俺もリリーアに教えられるまで知らなかったっけ・・・。
「ノアディア様の情報については隣国で完全に秘匿されていたみたいで、あの国に王子がいたんだ~って大騒ぎだよ!!それにしても相手って誰!?誰なの!?私ちゃんと聞いてない!!!」
「そ、うか・・・。」
「顔色悪いけど大丈夫!?」
「お前の方が大丈夫じゃなさそうなんだが・・・。」
さっきから恐ろしい顔をしているぞ。一応ヒロインなんだしそんな顔しない方がいいと思うんだが。
事実確認をして来よう。俺はふらつきそうになる足を・・・ノアディアのいる場所に進める。
────誰もいない音楽室。やっぱりここか。もうすぐ授業が始まるっていうのに・・・。
ノアディアは、放課後になると大体誰もいない教室やカフェテリアにいたり・・・何を企んでるのか、気付けば俺の近くにいたりする。
きっと騒がしい教室から逃げてきたのだろう・・・近寄って話し掛ける。
「ノアディア、よかったな。・・・婚約、おめでとう。」
これっぽっちもおめでとうなんて思っていないが、つい口に出してしまう。
痛む胸にしらを切り、顔を微笑ませる。俺は今、綺麗に笑えているだろうか。
なんで俺はこんなに・・・。
「はい。ありがとうございます。」
嬉しそうな、幸せそうな返事が返ってきた。
そう、か。否定、しないのか。
────最後の授業が終わるまで、俺は茫然自失となっていた。教師の話を聞こうにも、ノートを取ろうにも、手を動かすことさえもままならなかった。・・・どうにもならなかった。
いつの間にか、俺は一人、物音のしない倉庫で座り込んでいた。音がしないのは魔法を使ったからだったか、誰もいないのはそういった魔法を使ったからか、錯乱した思考回路では思い出すことは難しかった。
ノアディア、婚約、したんだな。
好きな相手がいたんだろう。分かっていたじゃないか。それでも俺は、友人として近くにいれればいいかって、そう思ったじゃないか。踏ん切りがついていたじゃないか・・・。
釣り合わないと、この感情に違和感を持ち始めた時から、そう知っていたじゃないか。
何で涙が出ているんだよ。
どうして俺は、ノアディアの幸せを嬉しく思えないんだよ。
歪んだままの視界を闇に落とす。
顔を覆うと、激しく動く心臓の痛みに耐えきれなくなる。それでもどうにかしていつもの感情を取り戻そうともがき続ける。
今朝からずっと考えていることは一つだった。
胸が痛みで満たされても、それが変わることはなかった。
ああ、もう、言い訳出来ないな。
些細な一挙一動で心がときめいてしまうのは・・・恥ずかしくて意地を張ってしまうのは・・・こんなにも苦しくて切なくて、それでも考えることはお前の、今朝の幸せそうな顔の理由は・・・ノアディアが、好きだからなんだよな。
家族とかじゃない。友達とかじゃない。・・・恋する相手として、好きなんだよ。
・・・どうしようもないくらい。
────友達として、これからは普通に関わっていこうと決心した翌日の出来事だった。
教室のドアを開けると、いつもは静かなのに対して、今日はどこかから悲鳴が聞こえたり、椅子から滑り落ちる生徒がいたり・・・教室内は喧騒に包まれていた。朝から騒がしい様子にたじろいでしまう。
何かあったんだろうかと、不可解に思い辺りを見回して噂話に耳を傾けていると、リリーアが突然、ノアディアが今朝、婚約を発表したことを伝えてきた。
そして冒頭のセリフに至る。
「そうなの!!おかしいよね、相手は王家の子供だって言われてて、ずっとその話題で持ち切りなのぉぉおおお!!しかも、ノアディア様が隣国の王太子って皆にバレてもう大変!!」
皆・・・ノアディアが王族ってこと知らなかったのか。そういえば俺もリリーアに教えられるまで知らなかったっけ・・・。
「ノアディア様の情報については隣国で完全に秘匿されていたみたいで、あの国に王子がいたんだ~って大騒ぎだよ!!それにしても相手って誰!?誰なの!?私ちゃんと聞いてない!!!」
「そ、うか・・・。」
「顔色悪いけど大丈夫!?」
「お前の方が大丈夫じゃなさそうなんだが・・・。」
さっきから恐ろしい顔をしているぞ。一応ヒロインなんだしそんな顔しない方がいいと思うんだが。
事実確認をして来よう。俺はふらつきそうになる足を・・・ノアディアのいる場所に進める。
────誰もいない音楽室。やっぱりここか。もうすぐ授業が始まるっていうのに・・・。
ノアディアは、放課後になると大体誰もいない教室やカフェテリアにいたり・・・何を企んでるのか、気付けば俺の近くにいたりする。
きっと騒がしい教室から逃げてきたのだろう・・・近寄って話し掛ける。
「ノアディア、よかったな。・・・婚約、おめでとう。」
これっぽっちもおめでとうなんて思っていないが、つい口に出してしまう。
痛む胸にしらを切り、顔を微笑ませる。俺は今、綺麗に笑えているだろうか。
なんで俺はこんなに・・・。
「はい。ありがとうございます。」
嬉しそうな、幸せそうな返事が返ってきた。
そう、か。否定、しないのか。
────最後の授業が終わるまで、俺は茫然自失となっていた。教師の話を聞こうにも、ノートを取ろうにも、手を動かすことさえもままならなかった。・・・どうにもならなかった。
いつの間にか、俺は一人、物音のしない倉庫で座り込んでいた。音がしないのは魔法を使ったからだったか、誰もいないのはそういった魔法を使ったからか、錯乱した思考回路では思い出すことは難しかった。
ノアディア、婚約、したんだな。
好きな相手がいたんだろう。分かっていたじゃないか。それでも俺は、友人として近くにいれればいいかって、そう思ったじゃないか。踏ん切りがついていたじゃないか・・・。
釣り合わないと、この感情に違和感を持ち始めた時から、そう知っていたじゃないか。
何で涙が出ているんだよ。
どうして俺は、ノアディアの幸せを嬉しく思えないんだよ。
歪んだままの視界を闇に落とす。
顔を覆うと、激しく動く心臓の痛みに耐えきれなくなる。それでもどうにかしていつもの感情を取り戻そうともがき続ける。
今朝からずっと考えていることは一つだった。
胸が痛みで満たされても、それが変わることはなかった。
ああ、もう、言い訳出来ないな。
些細な一挙一動で心がときめいてしまうのは・・・恥ずかしくて意地を張ってしまうのは・・・こんなにも苦しくて切なくて、それでも考えることはお前の、今朝の幸せそうな顔の理由は・・・ノアディアが、好きだからなんだよな。
家族とかじゃない。友達とかじゃない。・・・恋する相手として、好きなんだよ。
・・・どうしようもないくらい。
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