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空くんの家出⑩
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「あ…!」
結城は飛び起きるとスマホを手に取った。
けど、それと同時に電話は切れてしまったようだった。
結城は、鳴動を止めたスマホをじっと見つめたまま硬直していた。
「ひよし先生だろ?今の」
俺の問いかけに結城は僅かに肩を震わせる。
「行ってやれよ、ひよし先生のとこ」
俺は続けてそう言った。
結城はパッと俺の方を見る。
今にも泣き出しそうな顔で。
「そんな泣きそうな顔すんなよ。っつーか泣きたいの俺だからな?」
「かなてぃ…」
「はぁ…ひよし先生が羨ましいよ。結城、俺の気が変わる前に帰りな。じゃないと続きするぜ?」
精一杯の強がりだった。
本当は結城に帰ってほしくないし、このままここにいてほしい。
でも結城の心の中に俺はいない。
わかってはいたけど、やっぱり結城の瞳の先にいるのは、いつだってひよし先生なんだ。
「かなてぃ…ごめん…。ありがとう」
結城は小さくそう言うと、素早く服を着替え、俺への気遣いのつもりなのか、俺の方を見ないまま、小さくもう一度ありがとうと言って、部屋を出ていった。
結城は飛び起きるとスマホを手に取った。
けど、それと同時に電話は切れてしまったようだった。
結城は、鳴動を止めたスマホをじっと見つめたまま硬直していた。
「ひよし先生だろ?今の」
俺の問いかけに結城は僅かに肩を震わせる。
「行ってやれよ、ひよし先生のとこ」
俺は続けてそう言った。
結城はパッと俺の方を見る。
今にも泣き出しそうな顔で。
「そんな泣きそうな顔すんなよ。っつーか泣きたいの俺だからな?」
「かなてぃ…」
「はぁ…ひよし先生が羨ましいよ。結城、俺の気が変わる前に帰りな。じゃないと続きするぜ?」
精一杯の強がりだった。
本当は結城に帰ってほしくないし、このままここにいてほしい。
でも結城の心の中に俺はいない。
わかってはいたけど、やっぱり結城の瞳の先にいるのは、いつだってひよし先生なんだ。
「かなてぃ…ごめん…。ありがとう」
結城は小さくそう言うと、素早く服を着替え、俺への気遣いのつもりなのか、俺の方を見ないまま、小さくもう一度ありがとうと言って、部屋を出ていった。
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