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ふくれっ面
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その後、服を見たりなんやかんやして、少し疲れたのでカフェで一休みしていた。
トイレから席に戻ってきたたーくんが、なぜか少しふくれ顔をしていた。
「どしたん?」と俺は聞いた。
「え、何が?」
「なんか、不機嫌そうな顔してるよ?」
「え、そう…?」
「うん。たーくんクールそうで意外と顔に出やすいから。まぁ俺も人の事言えないけど。」
そう言うと今度はなぜかほくそ笑むたーくん。
「たーくん?今度はどした?情緒不安定すぎん?」
俺はなんか面白くなって冗談っぽく言った。
「あ、いや…。そんなに俺の表情見てくれていたんだなって思うと嬉しくなってつい…。」
「え…あ…」
たーくんに言われて、確かに俺はたーくんの事をよく見ていたのかもしれないと思い、ここでもまた意識してしまった。
っていうか、たーくんが意識させるような言動や行動が多いから…。
あれ、でもいつもこんな感じだった気もする。
やっぱ俺が前より意識するようになっちゃったって事か…?
俺が頭の中でグルグルしている間、沈黙になってしまった。
すると、たーくんが俺の最初の質問に答えた。
「さっき不機嫌そうな顔してたって言ったでしょ?トイレから戻る時、すれ違った女の子達が『あの帽子の子、可愛い』って言ってたんだよ。レイちゃんの事だよ。」
「え、そうなん?でも帽子かぶってる人なんて他にも…」
と、周りを見渡したが、俺だけだった。
「レイちゃんだけでしょ。っていうかレイちゃんの方見て言ってたし。」
そう言うと、またたーくんがさっきのふくれっ面をする。
それがなんだか可愛くて、俺もついついほくそ笑んでしまった。
「たーくん、考えすぎだって。俺なんて可愛くなんてねーし。」
俺がいつもの調子で言うと、たーくんは分かりやすくため息をついて、アイスコーヒーを一口含めてから言った。
「レイちゃんみたいな人を"天然無自覚"って言うんだよ。」
「え?てん‥むじ?ムジカ…?何?」
「はぁ…もう。レイちゃんって可愛いんだよ?小顔だし、美白美肌だし、目なんかクリクリしてるし。おまけに社交的で明るくて優しいから…いや、まぁそれ自体はいい事なんだけどさ…はぁ…」
「え、なになに?たーくん、何ボソボソ喋ってんのさー。」
途中から声が小さくなって、俯き加減で喋るから、手元のアイスコーヒーと会話してるのかと思った。
「何でもありません。独り言です。」
「えー、絶対独り言じゃねーじゃん。」
急に敬語になるたーくんに俺はツッコミを入れて一人でケラケラ笑っていた。
「ねぇ、レイちゃん。ひとつ聞いてもいい?」
「ん?何?」
「聞いていいか分からないんだけどさ…。」
「なんだよ、何でも聞いてよ。」
「元カレさんのどこが良かったの?」
たーくんが遠慮がちに聞いた。
どうして急にそんな事を聞くんだろうと思って一瞬間が空いてしまったけど、少し考えてから答えた。
「うーん、そう聞かれるとどこが良かったんだろうな。最初の出会いがさ、痴漢に遭っていた俺を助けてくれた時だって言ったじゃん?なんか男らしく見えたのかなって思う。それから結構グイグイアプローチされて…最初は優しかったから、なんかだんだん気持ち動かされてさ。まぁ俺も付き合ったりするの初めてだったから。あんな浮気野郎だって知ってたら付き合わなかったのにな。」
ははは、と笑いながら答えた。
でも、たーくんは真剣な顔つきだった。
「俺は、その人に会ったことはないけど、レイちゃんがその人の事で悩んだり、時には泣いていたりするところを見てきたから、あんまり良い印象はないんだ。俺の大事な…大事な幼馴染みを悲しませるなんて許せなくて。」
「ありがとう、たーくん。」
「え…?」
「たーくんが俺の事をずっと心配してくれていたんだと思うと、俺、凄く嬉しいよ。」
俺は、たーくんの顔を正面からじっと見て言った。
たーくんは、目を反らして、またアイスコーヒーを飲んだ。
そんな様子がやっぱり愛らしく感じて、俺はまたほくそ笑んだ。
トイレから席に戻ってきたたーくんが、なぜか少しふくれ顔をしていた。
「どしたん?」と俺は聞いた。
「え、何が?」
「なんか、不機嫌そうな顔してるよ?」
「え、そう…?」
「うん。たーくんクールそうで意外と顔に出やすいから。まぁ俺も人の事言えないけど。」
そう言うと今度はなぜかほくそ笑むたーくん。
「たーくん?今度はどした?情緒不安定すぎん?」
俺はなんか面白くなって冗談っぽく言った。
「あ、いや…。そんなに俺の表情見てくれていたんだなって思うと嬉しくなってつい…。」
「え…あ…」
たーくんに言われて、確かに俺はたーくんの事をよく見ていたのかもしれないと思い、ここでもまた意識してしまった。
っていうか、たーくんが意識させるような言動や行動が多いから…。
あれ、でもいつもこんな感じだった気もする。
やっぱ俺が前より意識するようになっちゃったって事か…?
俺が頭の中でグルグルしている間、沈黙になってしまった。
すると、たーくんが俺の最初の質問に答えた。
「さっき不機嫌そうな顔してたって言ったでしょ?トイレから戻る時、すれ違った女の子達が『あの帽子の子、可愛い』って言ってたんだよ。レイちゃんの事だよ。」
「え、そうなん?でも帽子かぶってる人なんて他にも…」
と、周りを見渡したが、俺だけだった。
「レイちゃんだけでしょ。っていうかレイちゃんの方見て言ってたし。」
そう言うと、またたーくんがさっきのふくれっ面をする。
それがなんだか可愛くて、俺もついついほくそ笑んでしまった。
「たーくん、考えすぎだって。俺なんて可愛くなんてねーし。」
俺がいつもの調子で言うと、たーくんは分かりやすくため息をついて、アイスコーヒーを一口含めてから言った。
「レイちゃんみたいな人を"天然無自覚"って言うんだよ。」
「え?てん‥むじ?ムジカ…?何?」
「はぁ…もう。レイちゃんって可愛いんだよ?小顔だし、美白美肌だし、目なんかクリクリしてるし。おまけに社交的で明るくて優しいから…いや、まぁそれ自体はいい事なんだけどさ…はぁ…」
「え、なになに?たーくん、何ボソボソ喋ってんのさー。」
途中から声が小さくなって、俯き加減で喋るから、手元のアイスコーヒーと会話してるのかと思った。
「何でもありません。独り言です。」
「えー、絶対独り言じゃねーじゃん。」
急に敬語になるたーくんに俺はツッコミを入れて一人でケラケラ笑っていた。
「ねぇ、レイちゃん。ひとつ聞いてもいい?」
「ん?何?」
「聞いていいか分からないんだけどさ…。」
「なんだよ、何でも聞いてよ。」
「元カレさんのどこが良かったの?」
たーくんが遠慮がちに聞いた。
どうして急にそんな事を聞くんだろうと思って一瞬間が空いてしまったけど、少し考えてから答えた。
「うーん、そう聞かれるとどこが良かったんだろうな。最初の出会いがさ、痴漢に遭っていた俺を助けてくれた時だって言ったじゃん?なんか男らしく見えたのかなって思う。それから結構グイグイアプローチされて…最初は優しかったから、なんかだんだん気持ち動かされてさ。まぁ俺も付き合ったりするの初めてだったから。あんな浮気野郎だって知ってたら付き合わなかったのにな。」
ははは、と笑いながら答えた。
でも、たーくんは真剣な顔つきだった。
「俺は、その人に会ったことはないけど、レイちゃんがその人の事で悩んだり、時には泣いていたりするところを見てきたから、あんまり良い印象はないんだ。俺の大事な…大事な幼馴染みを悲しませるなんて許せなくて。」
「ありがとう、たーくん。」
「え…?」
「たーくんが俺の事をずっと心配してくれていたんだと思うと、俺、凄く嬉しいよ。」
俺は、たーくんの顔を正面からじっと見て言った。
たーくんは、目を反らして、またアイスコーヒーを飲んだ。
そんな様子がやっぱり愛らしく感じて、俺はまたほくそ笑んだ。
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