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keep only one love
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騒がしい時間はあっという間に過ぎ、閉店時間となった。
クレハとハルは後片付けを追え、カウンターに並んで座り、一息ついた。
「ハル、お疲れ様。色々ありがとう。」とクレハが改めて礼を言うと、「バイト代、期待してるよ。」とハルが言った。
深夜3時の店内は、まるで嵐の後の静けさだった。
「あんなに混むとは思わなくてさ。本当にバイト代をお支払いしたい気持ちだよ。ごめんな、いっぱい質問責めにされて。」
「あぁ…クレハが遮ってくれて助かった。」
「ハル、コミュ障だもんね?」
「ちげーって。」
そう言われてクレハは笑い、ハルもつられて少し笑った。
「でもさ…楽しかったよ。」
ハルが小さく呟いた。
「…本当に?」
クレハはハルの顔を覗き込むようにして聞いた。
「うん。あーいう騒がしいの僕初めてだからさ。」
ハルはそう言うと、クレハの方を見て、また少し笑った。
その可愛くて少し切なげな表情にクレハは目を奪われた。
「…クレハ…?」
「あ、あぁ…ごめんごめん。なんかさ、ハルは不思議な子だね。」
「え、そうか?」
「うん、可愛い顔して口調強めで、でも気遣いが出来て優しい。クールそうに見えて照れ屋。笑うとめちゃくちゃ可愛い。おっと、可愛いはNGだったっけ?とにかく色んな表情があってさ。不思議な魅力のある子だなぁって。」
そう言ってクレハはタバコに火をつけて、ハルの顔を見る。
すると、ハルはぽかんとした表情でクレハの顔を見ていた。
「ハル?あ、ごめん。タバコダメだった?」
「あ、いや違う。その…そんな風に言われたの初めてだったから驚いて…。」
そう言ったハルは、半分照れたような、もう半分はどこか嬉しそうな、そんな表情を浮かべていた。
そんなハルにクレハはまた目を奪われる。
そして、少しの沈黙が流れた。
「それ、なんてやつ?」
ハルはおもむろに問いかけた。
「ん?それって?」
紅葉が聞き返す。
「それ。吸ってるタバコ。」
「あぁ。koolだよ。」
「くーる?」
「そう。kool。keep only one loveの略なんだってさ。一途にあなたを愛します。だからクールの頭文字cじゃなくてkなんだ。」
「へー。なんか似合わねーな。」
「本当、うるさい口だな。」
そう言うやいなや、クレハはハルの唇を奪う。
突然の事にハルは目を丸くするが、ただ何も言わずに受け入れた。
タバコの香りのする甘いキス。
今までした誰よりも優しいキスだった。
唇が触れ合ったのはほんの一瞬だけど永遠のようにも感じた。
クレハとハルは後片付けを追え、カウンターに並んで座り、一息ついた。
「ハル、お疲れ様。色々ありがとう。」とクレハが改めて礼を言うと、「バイト代、期待してるよ。」とハルが言った。
深夜3時の店内は、まるで嵐の後の静けさだった。
「あんなに混むとは思わなくてさ。本当にバイト代をお支払いしたい気持ちだよ。ごめんな、いっぱい質問責めにされて。」
「あぁ…クレハが遮ってくれて助かった。」
「ハル、コミュ障だもんね?」
「ちげーって。」
そう言われてクレハは笑い、ハルもつられて少し笑った。
「でもさ…楽しかったよ。」
ハルが小さく呟いた。
「…本当に?」
クレハはハルの顔を覗き込むようにして聞いた。
「うん。あーいう騒がしいの僕初めてだからさ。」
ハルはそう言うと、クレハの方を見て、また少し笑った。
その可愛くて少し切なげな表情にクレハは目を奪われた。
「…クレハ…?」
「あ、あぁ…ごめんごめん。なんかさ、ハルは不思議な子だね。」
「え、そうか?」
「うん、可愛い顔して口調強めで、でも気遣いが出来て優しい。クールそうに見えて照れ屋。笑うとめちゃくちゃ可愛い。おっと、可愛いはNGだったっけ?とにかく色んな表情があってさ。不思議な魅力のある子だなぁって。」
そう言ってクレハはタバコに火をつけて、ハルの顔を見る。
すると、ハルはぽかんとした表情でクレハの顔を見ていた。
「ハル?あ、ごめん。タバコダメだった?」
「あ、いや違う。その…そんな風に言われたの初めてだったから驚いて…。」
そう言ったハルは、半分照れたような、もう半分はどこか嬉しそうな、そんな表情を浮かべていた。
そんなハルにクレハはまた目を奪われる。
そして、少しの沈黙が流れた。
「それ、なんてやつ?」
ハルはおもむろに問いかけた。
「ん?それって?」
紅葉が聞き返す。
「それ。吸ってるタバコ。」
「あぁ。koolだよ。」
「くーる?」
「そう。kool。keep only one loveの略なんだってさ。一途にあなたを愛します。だからクールの頭文字cじゃなくてkなんだ。」
「へー。なんか似合わねーな。」
「本当、うるさい口だな。」
そう言うやいなや、クレハはハルの唇を奪う。
突然の事にハルは目を丸くするが、ただ何も言わずに受け入れた。
タバコの香りのする甘いキス。
今までした誰よりも優しいキスだった。
唇が触れ合ったのはほんの一瞬だけど永遠のようにも感じた。
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