明日も君が笑顔でいるために。

はる

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楽しいね!

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今回のセットリストは最高だった。

俺はもう興奮しまくって、大人気なく「最高ー!!」なんて叫びながら乗りまくっていた。

葵くんも手拍子をしつつ、時折体を小刻みに揺らしたりして、楽しんでいる様だった。

最高潮の盛り上がりの中、ライブはあっという間に終わった。

メンバーが退場するやいなや、手拍子とアンコールが湧き上がった。

俺も負けじと「アンコール!アンコール!」と声を上げた。

すると、葵くんが俺の耳元でこう聞いた。

「アンコールって何ですか?」

そっか、ライブ初めてだもんな。

「もっと歌を聴きたいときにアルコールって言うと、再登場して演奏してくれる魔法の言葉だよ。」

「魔法の言葉…」

葵くんが小さく呟くのが聞こえた。

「あ、ほら!出てきた!」

再登場した彼らが再び演奏を始めた。

最後の曲は、最高に盛り上がるアップテンポの曲。

会場内が熱気に包まれた。

「楽しいね!!」

俺は、葵くんに聞こえるように大きな声で言った。

「はい、楽しいです!」

葵くんは、大きな声を出すのが苦手みたいで、俺の耳元に顔を近づけて答えた。

それを聞いて俺のテンションはさらに高まる。

なんでだろう、今までにないくらい凄く楽しくて堪らなかった。

気持ちの高まりを大声に変えて、でもそれは、爆音と歓声にかき消される。

それでも、もっと大きな声を出す。

隣を見ると、笑顔の葵くんがいた。

コンビニで見かける時や、昨日駅前で見かけた時からは想像もできないくらいの笑顔の葵くん。

そんな顔出来るんじゃん。

誘って良かった。

そう思った。

心から、強く、そう思った。

葵くんは、俺の袖を掴んだままずっと離さなかった。

鳴り止まない歓声と音楽、会場内を照らした色とりどりの照明。

それらが渦となって俺達を包んだ。

こんなにも騒がしいのに、不思議だな。

まるで、俺達2人しかいない世界のようだった。
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