レモネードのように。

はる

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僕のヒーロー①

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翌日も相変わらずの晴天。うだるように暑い日で、海辺はいつになく海水浴客で賑わっていた。

慌ただしく午前の仕事を終えた俺は、海を眺めながら伸びをした。

後ろから背中をチョンチョンとつつかれ、振り返るとルナがいた。

「やっほー。」と言って俺の隣にトコトコとやって来る。

何て返せばいいかわからず、「あ、うん。」と気のない返事をしてしまう。

「リクぅ、やっほーって言われたらやっほーでしょ。」

と、ルナが可愛らしく唇を尖らせる。

「…なんかそれアホっぽくないかな…」

「あー!僕のことアホって言ったぁ!」 

「ち、違うよ。ルナのことじゃなくて、やっほーにやっほーで返すのがアホっぽいなって…」

「おじいちゃんに言いつけよーっと。」

「だ、だめだよ!」

「おじいちゃーん!」

「ルナぁ、だめだってー!」

俺は慌ててルナの口をおさえた。

「んんー。ぷはっ、リク慌てすぎ!冗談なのにー。そんなにおじいちゃんが怖いの?」

と、ルナはイタズラが成功した子供のように無邪気に笑った。

 「ルナぁ…年上をからかうとこうだからな…!」

俺は、ルナの細い両腰を掴みムニムニと擽るように揉みこんだ。

「ひゃぁ…っ!ん、やぁ…ッ、もう!やめてよリク!」

「もうからかわない?」

「う…からかわない…」

擽りに弱いルナは、うーっと俺を恨めしそうに見ながら言った。そしてお互い目を見合わせて笑った。

「今日は一段と暑いよな。」

「そうだね。両手を伸ばして『んー』ってやりたい感じ。」

俺とルナは並んで、エメラルドグリーンの海を見つめる。温かい向かい風が今日も優しい。

その時だった。

「助けて!誰か!!」という女性の声が聞こえ、俺とルナは驚いて声がする方を見た。

砂浜で一人の女性が叫んでおり、周りに人が集まっている。女性の目線の先を辿り、事態を把握した。

男の子が沖の方に流されている。今日はいつもより波が高いんだ。このままじゃ溺れてしまう…!

「やばい…!」と狼狽えている俺の目の前をブロンドの綺麗な髪の毛がなびくのが見えた。

ルナが駆け出していたんだ。そして、一瞬の迷いもなく、ルナは服を着たまま海に飛び込んだ。

「ルナ!!」

俺は驚いて叫んだ。

ルナは速くしなやかな動きで、男の子の方に泳ぎ進んでいく。
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