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二章 共に逝きる
第二十二話 二度と帰らない家
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人の住んでいる気配はとっくの昔になくなり、蜘蛛の巣が張り巡らされ朽ちて寂れた家の中へ青年は足を踏み入れた。家具の配置も変わらない。食器だって出しっぱのまま…五年前から変わらないからこそハロスに失った日常を思い出させるには充分だった
「人が住まないだけで信じられないほど壊れてくな…」
柱も床も天井も…今にも全てが崩れてもおかしくなかった
「ラルカが見たら怒るよな…w…っ…何言ってんだろ…もう見ることはないんだ…全部終わらせに来たんだろ…」
ゆっくりと…一部屋ずつ回ってハロスは家に残っていた荷物を運び出した。アルバムや日記、ペンダント。本能的に避けていた家の中は予想以上に妹との思い出が溢れていた
「あとはラルカの物か…何が必要なんだろ。まぁそこまで物が無いしな…」
ラルカが気に入っていたアクセサリーやよく読んでいた本などをまとめていると机の上に一つの箱が出しっぱなしになってるのに気が付いた
「なんだこれ…鍵のかかった宝石箱?…でも振っても何も音はしないな…鍵がどこにあるかもわかんないしコレは良いか…」
必要な荷物を全て外へ運び出す頃には日が暮れ始めていた
「始めるの?」
「エトアルさん…リーベリアさんも。狩り終わったんですか?」
「猪捕まえたよ~」
「ご馳走ですねw」
「ハロスくんがこの家に戻ってきてると思わなかったけどね。荷物…運び出したんだ」
「なんで急に?」
もう戻れない…何度も夢だと信じたかった…俺の弱さ…
「過去に…ケジメをつける為です」
「ケジメって…」
「リーベリアさん。一個お願いしても良いですか?」
「うん。良いよ?」
「この家…燃やしてほしいんです」
「…え?」
「燃やすって…!そんな事したら二人の帰る場所も思い出も何もかも無くなっちゃうんだよ!?」
二人が詰め寄るがハロスは表情を崩すことは無かった。だけどその瞳は少し寂しげに揺れていた
「ずっと…わかってたんです。俺がどれだけ努力してもあいつ等に勝てないって…がむしゃらにやって来たけど負ける未来しか見えない。生き残れる保証なんてないからこれで良いんです」
「この行動は君の覚悟の形?」
「はい」
「わかった。魂の呪い具現…炎舞ー灰帰ー」
リーベリアが本を開くと一瞬にして家は炎に包まれた
「これで終わり…なんだね」
「始まりだよ…後悔しないようにしないと」
「図書館に戻ろう」
「はい」
家が燃え尽き灰と化すまで三人は燃えゆく光景を眺めていた。全て元通りになる…平和な日常が返ってくる…そんな夢をみなくなるまでに…現実を受け入れ納得するまでに五年という月日は十分過ぎたのだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「獣が騒いでる…」
屋敷にいた三人は辺りを見回した。明らかに森の様子がいつもと違う…何か不穏を告げる様だった
「何か見えるな…」
「あれって…煙?狼煙みたいになってる」
「この国には無いだろ。町の方だな」
「煙…」
「ラルカ気になるの?」
「はい…少し。見て来ても良いでしょうか?」
「良いよ。町の人に見られないようにすぐ戻って来いよ?」
「わかりました」
森に囲まれて動物達と過ごしてきたからなのか…それとも何かを感じ取ったのか…確かな事なんて分からないがラルカはその煙に酷く嫌悪を覚えてた。取り憑かれるように町へ向かい走り出した妹を見送ると残った二人は屋敷の中へ戻っていった
「町の方に行かせて良かったの?」
「さぁ…あの煙が何かは俺等も分かんないしな」
「まぁね」
「随分歩いてきたけど…あれ…?奥の空間がひらけてる」
煙に向かって歩いてきたラルカは五年ぶりに森の出入り口までやって来ていた。日が沈み森は既に闇に包まれていた
「あれって…灰だ。なら煙の出処はここか…良かった、完全に煙が消える前に辿り着けた」
ラルカは家に…いや、家だったものに近づいて行った
「灰になってるか全部焦げてただの残骸だな…何が燃えたんだろ…奥に見えるのがフィロ兄様達の言ってた町ならこれも家だったのかな?」
少女の中にこの場所の記憶は無い。例えあっても焼け落ちて原型を失った兄との家に気付くのだろうか…もうあの頃の…過去の【二人】に後退は許されていなかった
「なんでかな…何も分からないのに…何も知らないのに…何でこんなに胸が苦しくなるの?木の…焼ける匂い…こんな感覚知らない…!こんな匂い…大ッキライだ…」
記憶を失っても…消えないものは存在しているのか。少女は消え去った思い出の前で静かに崩れ落ち涙を零した
「人が住まないだけで信じられないほど壊れてくな…」
柱も床も天井も…今にも全てが崩れてもおかしくなかった
「ラルカが見たら怒るよな…w…っ…何言ってんだろ…もう見ることはないんだ…全部終わらせに来たんだろ…」
ゆっくりと…一部屋ずつ回ってハロスは家に残っていた荷物を運び出した。アルバムや日記、ペンダント。本能的に避けていた家の中は予想以上に妹との思い出が溢れていた
「あとはラルカの物か…何が必要なんだろ。まぁそこまで物が無いしな…」
ラルカが気に入っていたアクセサリーやよく読んでいた本などをまとめていると机の上に一つの箱が出しっぱなしになってるのに気が付いた
「なんだこれ…鍵のかかった宝石箱?…でも振っても何も音はしないな…鍵がどこにあるかもわかんないしコレは良いか…」
必要な荷物を全て外へ運び出す頃には日が暮れ始めていた
「始めるの?」
「エトアルさん…リーベリアさんも。狩り終わったんですか?」
「猪捕まえたよ~」
「ご馳走ですねw」
「ハロスくんがこの家に戻ってきてると思わなかったけどね。荷物…運び出したんだ」
「なんで急に?」
もう戻れない…何度も夢だと信じたかった…俺の弱さ…
「過去に…ケジメをつける為です」
「ケジメって…」
「リーベリアさん。一個お願いしても良いですか?」
「うん。良いよ?」
「この家…燃やしてほしいんです」
「…え?」
「燃やすって…!そんな事したら二人の帰る場所も思い出も何もかも無くなっちゃうんだよ!?」
二人が詰め寄るがハロスは表情を崩すことは無かった。だけどその瞳は少し寂しげに揺れていた
「ずっと…わかってたんです。俺がどれだけ努力してもあいつ等に勝てないって…がむしゃらにやって来たけど負ける未来しか見えない。生き残れる保証なんてないからこれで良いんです」
「この行動は君の覚悟の形?」
「はい」
「わかった。魂の呪い具現…炎舞ー灰帰ー」
リーベリアが本を開くと一瞬にして家は炎に包まれた
「これで終わり…なんだね」
「始まりだよ…後悔しないようにしないと」
「図書館に戻ろう」
「はい」
家が燃え尽き灰と化すまで三人は燃えゆく光景を眺めていた。全て元通りになる…平和な日常が返ってくる…そんな夢をみなくなるまでに…現実を受け入れ納得するまでに五年という月日は十分過ぎたのだ
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「獣が騒いでる…」
屋敷にいた三人は辺りを見回した。明らかに森の様子がいつもと違う…何か不穏を告げる様だった
「何か見えるな…」
「あれって…煙?狼煙みたいになってる」
「この国には無いだろ。町の方だな」
「煙…」
「ラルカ気になるの?」
「はい…少し。見て来ても良いでしょうか?」
「良いよ。町の人に見られないようにすぐ戻って来いよ?」
「わかりました」
森に囲まれて動物達と過ごしてきたからなのか…それとも何かを感じ取ったのか…確かな事なんて分からないがラルカはその煙に酷く嫌悪を覚えてた。取り憑かれるように町へ向かい走り出した妹を見送ると残った二人は屋敷の中へ戻っていった
「町の方に行かせて良かったの?」
「さぁ…あの煙が何かは俺等も分かんないしな」
「まぁね」
「随分歩いてきたけど…あれ…?奥の空間がひらけてる」
煙に向かって歩いてきたラルカは五年ぶりに森の出入り口までやって来ていた。日が沈み森は既に闇に包まれていた
「あれって…灰だ。なら煙の出処はここか…良かった、完全に煙が消える前に辿り着けた」
ラルカは家に…いや、家だったものに近づいて行った
「灰になってるか全部焦げてただの残骸だな…何が燃えたんだろ…奥に見えるのがフィロ兄様達の言ってた町ならこれも家だったのかな?」
少女の中にこの場所の記憶は無い。例えあっても焼け落ちて原型を失った兄との家に気付くのだろうか…もうあの頃の…過去の【二人】に後退は許されていなかった
「なんでかな…何も分からないのに…何も知らないのに…何でこんなに胸が苦しくなるの?木の…焼ける匂い…こんな感覚知らない…!こんな匂い…大ッキライだ…」
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