クロックワーカーの遺したモノ

杏珠

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二章 共に逝きる

第二十一話 悪夢

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 王都から帰ってきたハロスは植物園の隅で占いをしてるエトアルの様子を見ていた
「また来てね~」
「相変わらず人気ですね」
「でも最近は君目当てで来る子も多いんだよ~?」
「そうなんですか」
「うわ~興味無さそ」
「実際無いですし」
 わざわざ俺を目当てにするなんて…馬鹿げてる
「エトちゃん組紐ってどこにある?って…帰ってきてたんだね」
「ついさっき」
「組紐ならカウンターの引き出しにあるよ」
「ありがとう。ご飯作っちゃうけどハロスくん食べる?」
 もうそんな時間か…
「いえ、少し出掛けるので帰ってからいただきます」
「了解」
 星の図書館を出てハロスは町の外れへと向かいだした

「…五年前…ここから全部…」
【兄さん。行ってくるね!】
「ラルカ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もうすぐ新月かぁ…月明かりで本読めなくなるから嫌いなんだよね」
 窓辺に座っていた少女は空を見上げ呟いた
「ラルカ、入って平気か?」
「フィロ兄様、大丈夫ですよ」
「また読書?」
「知らない事を知れるから好きなんですよね」
「そっか」
 急に訪ねてくるなんて…何かあったのかな?
「…どうされたんですか?」
「侵入者」
「いつぶりですっけ?」
「三ヶ月くらいじゃねぇかな…人数そんな多くなかったからラルカ行ってみる?」
「楽しそうですね。是非」
 ラルカは本を綴じ部屋を後にした。残ったフィロは先程の少女と同じように空を見上げる
「新月…か、あれから五年。もう十分だろ?少年」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【お前達だけでも逃げろ!この国は終わりだ!】
【貴方があの子の家族になってあげて】
「っ…待って!はぁ…はぁ…夢…?」
 図書館に帰ってきて眠っていたハロスは深夜に飛び起きた
「っクソ…」
 忘れられない悪夢。ただの夢であって欲しいと何度願ったのか…
 母様…父様…俺は…
「絶対に…助ける…俺が…!」
「ハロス君、大丈夫?」
「エトアルさん…すいません起こしちゃいましたか?」
「いや起きてたからそれは良いんだけど…ホントに大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
 心配かけたな…
「嘘つけ。無理して笑ってるから引き攣ってるよ?」
「リーベリアさん…」
「悪夢見ない薬でも調合してこようか?」
「いえ平気です」
「そっか…まぁ俺は調合戻るわ」
「私も部屋戻るね。なんかあったら呼んで」
「はい」
 二人が部屋を出た後ハロスは付けていたネックレスを掴んだ
「レヴナント」
「よぉアンクロウ室内で呼ぶなんて珍しいなぁ」
 ネックレスが姿を変えて目の前に大鎌が現れる
「お前は…どうやってあの場所から逃げ出したんだ?最期の時まで父様の側にお前はいたはずだろ」
「…さぁ?召喚されてない間のことは忘れちまったなぁ」
「嘘ばっかりだな」
「悪魔の所有物だからな」
「…」
「珍しいなお前が俺にシーユのことを聞いてくるなんて」
「今は俺以外にお前しか父さんの事を知らないからな」
 今のラルカも…いや…俺といた時でさえきっとわからない
「アンクロウにとっては俺の力を引き出すのはもう限界か?」
「勝手にほざいてろ」
 沈黙を切り裂くようにレヴナントが音を発する
「嬢ちゃんの元へはいつ行くんだ?」
「明後日の新月。闇に飲まれてる日の方がお前の力が強いからな」
「頼むから壊してくれるなよ?」
「並の武器じゃ刃こぼれすら無理だろ」
「いやぁ…ココらへんは妖気が漂ってるからなw」
「妖気?」
「まぁ気にすんなwさっさと寝ろよアンクロウ」
 また隠し事か…まぁこいつが何を隠してるにせよ…
「…全部終わったら砕く」
「お~怖い怖いw」

 ハロスが魔力を流すとレヴナントはネックレスへ姿を変え部屋には静寂が流れた。微かな月明かりに照らされハロスの髪は白く光り輝いた。毒に蝕まれていることは本人すら知らないのだろう
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