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第1章 転生して女の子になりました。(小学校1年生)
第16話 怒りと反省と団長と
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本日の運動会の練習は、応援合戦。
白組と赤組が交互に応援をして、これ以外の時はどこに保管しているのかすら分からないデシベル計を使って勝敗を決する競技です。
私の学校では白組、赤組それぞれから一人応援団長が出され、その応援団長の掛け声に合わせて皆が叫ぶという形のようで。
今年も例年通り応援団長は最上級生である六年生が行うということを事前に九重先生が言っていました。
そんな団体競技の練習なので、今日の授業は全学年合同。皆が運動場に集まっています。
「が、頑張ろうね!」
「せやな! いっぱい声出すで!」
「うん、そうだね。それにしても、練習はいつ始まるんだろ?」
集合してから既に十分が経過しており、どうやら最上級生の方で話し合いをしているみたい。
痺れを切らした私はその輪の中へと進んでいきます。
何故か二人とも後ろを着いてきているけど、自分より年上の人混みに行くのは怖くないの? 待っててくれてもいいんだからね?
「千佳ちゃんおるからな! 大丈夫やで!」
「そうだよ、ちかちゃん」
私は秘密兵器か何かですか?
まぁ別に二人に危害が及びそうになったら全力で止めてはみせますけども。
そうならないように、敵意の無いことを示しておきましょう。
……とりあえず笑顔で喋ればいいでしょ!
「あの、すいません。練習はいつ始めるんですか?」
「ん? ああ、ごめん。ちょっと今話し合いしてるの。一年生かな?」
「はい。一年の諸弓千佳です。どんな話し合いをしているのですか?」
「わっ、一年生なのにしっかりしてるねー。えっと、団長をやりたい人が二人いて、どっちがやるのか揉めてるの」
「あら、大変そうですね」
「ええ案があるで!」
団長をやりたいという二人の生徒を除き、六年生たちが困っているところに湖月ちゃんの発言。
藁にも縋りたいのか、興味津々に見てきました。
中々肝が据わってるな湖月ちゃん。
「君も一年生さんだね。どんな案があるの?」
「それは勿論! 千佳ちゃんがやればええねん!」
湖月ちゃんに集まっていた視線が全てこちらに向きました。
……いや湖月ちゃん。
それいい案というか、私に全て押し付けてるだけなのでは?
でもドヤ顔の湖月ちゃん、可愛いから許す!
「おいお前、何勝手なこと言ってるんだよ」
「そうだ、俺が団長するって言ってるじゃんか!」
「ひっ!?」
「お前でもねえよ! 俺がやるんだよ!」
「ちょっと二人共! 一年生ちゃん怖がってるじゃん!」
五つも歳が離れた、それも男子二人に怒鳴られて半泣きの湖月ちゃん。
それを見た瞬間私の中で何かがぷっつり切れちまったぜぃ。
湖月ちゃんの手を引っ張って愛ちゃんに持たせ、私は二人の前に立って奴等を睨みつけます。
……こらそこの女の子の先輩。睨んでるのも可愛いとか言わない!
「お、お前なんだよ」
「泣いたのは俺のせいじゃねえぞ! こいつが怒鳴ったから!」
「はぁ!? お前のせいだろ!」
悪いけど、そんなどうでもいい話は今はいいんだよ。
君たち二人に知ってもらわなきゃならないのはね。
「そこの少年二人……正座っ!」
私自身がびっくりするような、冷たく尖った声を出して男子二人に叫びました。
びっくりした男子二人は、まるで母親に怒られたときのように素直に素早く、飛ぶように土の上に正座。
「ねぇ? 君たちは何をしたか分かってる?」
「いや、あの」
「会話を許可した覚えはないよ! いい? 君たちはね、私の大好きな女の子を泣かしたんだよ。どっちが団長をやるかだって? そんなもの女の子を泣かす君たちにやれるわけないだろ! 湖月ちゃんにしっかり頭下げて謝りなさい!」
気付けば辺りは静まり返っています。
ここにいる全生徒の注目を集めており、騒ぎの中心である私といえば言い切った後冷静になって、ただやってしまったという考えだけが頭を埋め尽くしていました。
ああ、いくら湖月ちゃんが可愛いからって怒鳴りすぎじゃないか。
それに年上の人に向かって、これは上級生から嫌な目で見られてしまうかも……。
「ご、ごめんなさい。いきなり怒鳴ったりして」
「俺も、ごめん。謝るから泣かないで」
私が思考の渦に飲み込まれ、溺れてしまいそうになっている間、少年二人は湖月ちゃんへと謝っていました。
少年二人に睨みを利かせている怖い顔の先生のお蔭もあるようで、意外と素直。
そして泣いていた湖月ちゃんは涙を拭い、顔を上げて二人を許しました。
「ふ、二人とも! 大丈夫?」
「千佳ちゃん、ありがとうなぁ~」
「うん、湖月ちゃんは大丈夫?」
「大丈夫や! 千佳ちゃんが守ってくれたからな!」
「そう、よかった」
「千佳ちゃんは大丈夫?」
「うん、大丈夫! ちょっとはしゃぎすぎちゃったね」
うん、私だって精神年齢は高くても、社会に出たこともないんだ。
間違いを起こしちゃったら、謝ればいいよね。
誰にだって間違いはあるのだから!
という訳で少年二人の元へ小走りで近付いて、頭を下げます。
「すみませんでした。お二人に怒鳴ってしまって」
「いや、俺も悪かったから」
「そうだ、その子の言うとおりおあいこだよ」
「ありがとうございます」
どうにか蟠りなく事件を終わらせることができました。
しかし一息吐いて安心しきった隙だらけの私に、最初に私に話しかけてきた六年生の女の子が特大の爆弾を落としていきました。
「じゃあ、私たち白組の団長は諸弓さんということで! みんなおっけー?」
「おー!」
「いいぞー!」
「もちろんやー!」
「はい!」
「……ほぇ?」
変な声出た。
どうしてこうなった!?
「じゃあ諸弓さん、いや千佳ちゃんって呼ばせてもらうね。こんな六年生たちじゃ頼りにならないから、かっこよくて可愛い千佳ちゃんにお任せしていいかな?」
「は、はぁ」
え、何故私が団長に!?
さっきまで白熱してた少年二人も何で乗り気なの!?
いや、一年生を代表にしたら他の学年からも文句が。
と思ったら白組全員がこちらを見て賛成の声を上げています。
……いいのかそれで。
「あーもー分かりました! やりますよ!」
「ありがとうね千佳ちゃん! よろしくね!」
そんなこんなで応援団長に。でも、まぁ悪くないかな。
意外と私って人の前に立つのが好きみたい。
だって今、とても楽しいんだもん!
「よーし皆! 私がやるからには勝ちにいくよ!」
皆の声援を浴びながら私は高らかに宣言します。
その日から私は、皆に団長と呼ばれるようになりました。
白組と赤組が交互に応援をして、これ以外の時はどこに保管しているのかすら分からないデシベル計を使って勝敗を決する競技です。
私の学校では白組、赤組それぞれから一人応援団長が出され、その応援団長の掛け声に合わせて皆が叫ぶという形のようで。
今年も例年通り応援団長は最上級生である六年生が行うということを事前に九重先生が言っていました。
そんな団体競技の練習なので、今日の授業は全学年合同。皆が運動場に集まっています。
「が、頑張ろうね!」
「せやな! いっぱい声出すで!」
「うん、そうだね。それにしても、練習はいつ始まるんだろ?」
集合してから既に十分が経過しており、どうやら最上級生の方で話し合いをしているみたい。
痺れを切らした私はその輪の中へと進んでいきます。
何故か二人とも後ろを着いてきているけど、自分より年上の人混みに行くのは怖くないの? 待っててくれてもいいんだからね?
「千佳ちゃんおるからな! 大丈夫やで!」
「そうだよ、ちかちゃん」
私は秘密兵器か何かですか?
まぁ別に二人に危害が及びそうになったら全力で止めてはみせますけども。
そうならないように、敵意の無いことを示しておきましょう。
……とりあえず笑顔で喋ればいいでしょ!
「あの、すいません。練習はいつ始めるんですか?」
「ん? ああ、ごめん。ちょっと今話し合いしてるの。一年生かな?」
「はい。一年の諸弓千佳です。どんな話し合いをしているのですか?」
「わっ、一年生なのにしっかりしてるねー。えっと、団長をやりたい人が二人いて、どっちがやるのか揉めてるの」
「あら、大変そうですね」
「ええ案があるで!」
団長をやりたいという二人の生徒を除き、六年生たちが困っているところに湖月ちゃんの発言。
藁にも縋りたいのか、興味津々に見てきました。
中々肝が据わってるな湖月ちゃん。
「君も一年生さんだね。どんな案があるの?」
「それは勿論! 千佳ちゃんがやればええねん!」
湖月ちゃんに集まっていた視線が全てこちらに向きました。
……いや湖月ちゃん。
それいい案というか、私に全て押し付けてるだけなのでは?
でもドヤ顔の湖月ちゃん、可愛いから許す!
「おいお前、何勝手なこと言ってるんだよ」
「そうだ、俺が団長するって言ってるじゃんか!」
「ひっ!?」
「お前でもねえよ! 俺がやるんだよ!」
「ちょっと二人共! 一年生ちゃん怖がってるじゃん!」
五つも歳が離れた、それも男子二人に怒鳴られて半泣きの湖月ちゃん。
それを見た瞬間私の中で何かがぷっつり切れちまったぜぃ。
湖月ちゃんの手を引っ張って愛ちゃんに持たせ、私は二人の前に立って奴等を睨みつけます。
……こらそこの女の子の先輩。睨んでるのも可愛いとか言わない!
「お、お前なんだよ」
「泣いたのは俺のせいじゃねえぞ! こいつが怒鳴ったから!」
「はぁ!? お前のせいだろ!」
悪いけど、そんなどうでもいい話は今はいいんだよ。
君たち二人に知ってもらわなきゃならないのはね。
「そこの少年二人……正座っ!」
私自身がびっくりするような、冷たく尖った声を出して男子二人に叫びました。
びっくりした男子二人は、まるで母親に怒られたときのように素直に素早く、飛ぶように土の上に正座。
「ねぇ? 君たちは何をしたか分かってる?」
「いや、あの」
「会話を許可した覚えはないよ! いい? 君たちはね、私の大好きな女の子を泣かしたんだよ。どっちが団長をやるかだって? そんなもの女の子を泣かす君たちにやれるわけないだろ! 湖月ちゃんにしっかり頭下げて謝りなさい!」
気付けば辺りは静まり返っています。
ここにいる全生徒の注目を集めており、騒ぎの中心である私といえば言い切った後冷静になって、ただやってしまったという考えだけが頭を埋め尽くしていました。
ああ、いくら湖月ちゃんが可愛いからって怒鳴りすぎじゃないか。
それに年上の人に向かって、これは上級生から嫌な目で見られてしまうかも……。
「ご、ごめんなさい。いきなり怒鳴ったりして」
「俺も、ごめん。謝るから泣かないで」
私が思考の渦に飲み込まれ、溺れてしまいそうになっている間、少年二人は湖月ちゃんへと謝っていました。
少年二人に睨みを利かせている怖い顔の先生のお蔭もあるようで、意外と素直。
そして泣いていた湖月ちゃんは涙を拭い、顔を上げて二人を許しました。
「ふ、二人とも! 大丈夫?」
「千佳ちゃん、ありがとうなぁ~」
「うん、湖月ちゃんは大丈夫?」
「大丈夫や! 千佳ちゃんが守ってくれたからな!」
「そう、よかった」
「千佳ちゃんは大丈夫?」
「うん、大丈夫! ちょっとはしゃぎすぎちゃったね」
うん、私だって精神年齢は高くても、社会に出たこともないんだ。
間違いを起こしちゃったら、謝ればいいよね。
誰にだって間違いはあるのだから!
という訳で少年二人の元へ小走りで近付いて、頭を下げます。
「すみませんでした。お二人に怒鳴ってしまって」
「いや、俺も悪かったから」
「そうだ、その子の言うとおりおあいこだよ」
「ありがとうございます」
どうにか蟠りなく事件を終わらせることができました。
しかし一息吐いて安心しきった隙だらけの私に、最初に私に話しかけてきた六年生の女の子が特大の爆弾を落としていきました。
「じゃあ、私たち白組の団長は諸弓さんということで! みんなおっけー?」
「おー!」
「いいぞー!」
「もちろんやー!」
「はい!」
「……ほぇ?」
変な声出た。
どうしてこうなった!?
「じゃあ諸弓さん、いや千佳ちゃんって呼ばせてもらうね。こんな六年生たちじゃ頼りにならないから、かっこよくて可愛い千佳ちゃんにお任せしていいかな?」
「は、はぁ」
え、何故私が団長に!?
さっきまで白熱してた少年二人も何で乗り気なの!?
いや、一年生を代表にしたら他の学年からも文句が。
と思ったら白組全員がこちらを見て賛成の声を上げています。
……いいのかそれで。
「あーもー分かりました! やりますよ!」
「ありがとうね千佳ちゃん! よろしくね!」
そんなこんなで応援団長に。でも、まぁ悪くないかな。
意外と私って人の前に立つのが好きみたい。
だって今、とても楽しいんだもん!
「よーし皆! 私がやるからには勝ちにいくよ!」
皆の声援を浴びながら私は高らかに宣言します。
その日から私は、皆に団長と呼ばれるようになりました。
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