異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

文字の大きさ
12 / 104

感涙

しおりを挟む
 泉から家への帰り道は、小虎カイルが歩いていたから、レオンさんは私を肩車してくれた。
 視界が高くて、いつもと違う景色が新鮮な感覚だ。

「レオンさん、夕焼けがとても綺麗…」
「そうだな」

 紫と桃色と朱色のグラデーションに染まる異世界の景色を、幻想的な雲を、やさしい風を、レオンさんとカイルと一緒に見た夕焼けを、私、きっと忘れない。
 この瞬間は、ずっと私の心の宝物だよ。

「重いでしょ、降りる」
 肩から降ろしてもらって、レオンさんと手をつなぐ。本当のお父さんみたいだ~。

 家に帰ると、アーシャさんが夕食を準備してくれていた。幸せだなぁ。

「ルカちゃんの着替えを作ってみたの。着てくれる?」

 にこっと笑ってアーシャさんは数枚の着替えの服や肌着を見せてくれた。
 フリルやリボンが付いた可愛いデザインの服たち。こんなにたくさん作ってくれるなんて。
 あなたは天使ですか?きっと天使に違いない!

「ありがとうございます~…」
 感動と感謝で涙と鼻水が止まらない。孤児の私は、誰かにこんなに優しくされたことが無くて。

「ルカ、泣き過ぎ」
 レオンさんが笑いながら涙を拭いてくれる。
 カイルが頬をなめてくれる。

「ありがとう、アーシャさん。このご恩は一生忘れません…」

「小さい子がそんなに気を遣わなくていいのよ。外は暑かったでしょう?カイルとお風呂に入ってくる?」
「はい、そうします。行こう、カイル」

 魔法でカイルと自分を全身洗浄してから、一人用くらいの浴槽にカイルと一緒に入る。
 異世界の虎は、水も湯も嫌がらないのか、ご機嫌で湯船に浸かっている。
 カイルと充分温まって、濡れたカイルと自分の体を魔法で乾かして、アーシャさんが作ってくれた服を着た。
 とっても可愛いので見てもらおうと思ってアーシャさんのところへ行こうとすると、カイルが行く手を阻む。

「なんで?カイル」

 ちら、とキッチンのほうを見るカイル。
 そぉっと見てみると、レオンさんとアーシャさんが2人の世界にどっぷりはまり、肩を組み見つめ合って仲良く話していた。

 なるほど。
「パパとママの邪魔しないように、私の部屋に行こうか」
「キュルル…」

 部屋に入り、カイルともふもふじゃれていたら、急に感触が変わった。

 目の前で、美形の幼い男の子が微笑んでいる。

「僕、人の姿に変身できるようになったんだ」

 え~~~っ?!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました。

ヒロイン? 玉の輿? 興味ありませんわ! お嬢様はお仕事がしたい様です。

彩世幻夜
ファンタジー
「働きもせずぐうたら三昧なんてつまんないわ!」 お嬢様はご不満の様です。 海に面した豊かな国。その港から船で一泊二日の距離にある少々大きな離島を領地に持つとある伯爵家。 名前こそ辺境伯だが、両親も現当主の祖父母夫妻も王都から戻って来ない。 使用人と領民しか居ない田舎の島ですくすく育った精霊姫に、『玉の輿』と羨まれる様な縁談が持ち込まれるが……。 王道中の王道の俺様王子様と地元民のイケメンと。そして隠された王子と。 乙女ゲームのヒロインとして生まれながら、その役を拒否するお嬢様が選ぶのは果たして誰だ? ※5/4完結しました。 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。

imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。 今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。 あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。 「—っ⁉︎」 私の体は、眩い光に包まれた。 次に目覚めた時、そこは、 「どこ…、ここ……。」 何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...