4 / 19
大急ぎのウサギさん
しおりを挟む
静かな午後の森の中を、懐中時計を見ながら白いウサギさんが大急ぎで駆けぬけてゆきました。
もしかしたら、穴の中に飛び込むのかしら?
不思議の国への入り口の穴に?
私とカイルは、ウサギさんの後をついていってしまいました。
並走しながら声をかけます。
「ウサギさん、穴に飛び込むの?」
「なんでそれを知っているんだい? もう時間に間に合わないかもしれない!」
「一緒に穴に飛び込んでもいい?」
「? いいよ!」
森の奥の大木の傍には大きな穴が開いていました。
ウサギさんに続いて私とカイルが飛び込むと、穴の中は暗くて深くて、ゆっくりと穴の底へ落ちてゆきました。
ひゅるるる~~~、くるくるくるくる、スタッ!
空中3回転を華麗に決め、見事に着地したウサギさん。
普通に着地したカイルと、ちょっとつんのめってコケた私は、穴の中の景色に驚きました。
素敵なお城や庭園やファンタジーなキャラクターが織りなす世界を想像していましたが、そこにあったのはなぜか巨大市場でした。
「どうして~? 不思議の国のア〇スの世界じゃないの~?」
ガッカリ感を隠せない私に、ウサギさんは言いました。
「ルカちゃん、急がないとタイムセールに間に合わないよ! さぁ急ごう!」
なんだかわからないうちに、なりゆきでウサギさんの買い物のお手伝いをすることになりました。
ウサギさんはカフェをやっていて、お店に出す料理の食材の買い出しに来たようです。
「あっ! 魚の掴み捕りセールだ! うちのカフェは新鮮な食材にこだわっているんだ。ルカちゃん、頑張って捕ってきてくれ!」
「ええっ! ピチピチ跳ねてますよ?」
「最高に新鮮な食材だ! 僕は鶏が卵を産むのを待っているから!」
産みたて卵、ゲットだぜ!と、ウサギさんは意気揚々と行ってしまいました。
私が魚の掴み捕りセールで、跳ねる魚やタコやウツボと格闘してる間、カイルは店指定の袋にどれだけたくさんの野菜を詰められるかに挑戦していました。
5mくらいの大木に実った果物を、木に登って早い者勝ちで収穫したり、野菜が実るたびに大砲のような植物が発射した野菜をキャッチするため競争して走り回ったり、穴の中の巨大市場は大騒ぎです。
「ウサギさん…買い物とは、戦いなんですね」
ぜえはあと息切れ状態の私とカイル。
「野菜も果物も魚も取れたて新鮮だね♪ 生みたて卵も買えたし、帰ろうか」
ウサギさんは満足そうに買ったものをマジックバッグに入れ、私たちはウサギカフェへと向かいました。
木造のアンティークな店内は、テーブルも床も磨き込まれていてピカピカに輝いていました。
「今日は買い物を手伝ってくれてありがとう。ゆっくりしていってね」
ウサギさんはにっこり笑うと、私とカイルをテーブルに案内して、食事をごちそうしてくれました。
新鮮な食材で作られた食事はとても美味しくて、デザートはウサギの顔の形をしたお餅でした。
赤い目と桃色のホッペは食紅なのかな。とても可愛いお餅です。
まだ開店前の店内は私とカイルの貸し切り状態で、ロマンティックなBGMが流れていました。
窓の外に目をやると、開店時間を待ちきれないお客さんの行列が見えます。
店内では、タキシードやメイド服のウサギさんたちが開店準備を始めていました。
どうやらここは、「執事メイドカフェ」だったようです。
「私、メイドカフェに来たの、初めて」
「僕も」
初めての執事メイドカフェに、ワクワクドキドキです。
ウサギさんと一緒に穴に飛び込んで、不思議の国のア〇スの世界は見れなかったけど、初めて執事さんやメイドさんに「お嬢様」と呼んでもらえました♪
もしかしたら、穴の中に飛び込むのかしら?
不思議の国への入り口の穴に?
私とカイルは、ウサギさんの後をついていってしまいました。
並走しながら声をかけます。
「ウサギさん、穴に飛び込むの?」
「なんでそれを知っているんだい? もう時間に間に合わないかもしれない!」
「一緒に穴に飛び込んでもいい?」
「? いいよ!」
森の奥の大木の傍には大きな穴が開いていました。
ウサギさんに続いて私とカイルが飛び込むと、穴の中は暗くて深くて、ゆっくりと穴の底へ落ちてゆきました。
ひゅるるる~~~、くるくるくるくる、スタッ!
空中3回転を華麗に決め、見事に着地したウサギさん。
普通に着地したカイルと、ちょっとつんのめってコケた私は、穴の中の景色に驚きました。
素敵なお城や庭園やファンタジーなキャラクターが織りなす世界を想像していましたが、そこにあったのはなぜか巨大市場でした。
「どうして~? 不思議の国のア〇スの世界じゃないの~?」
ガッカリ感を隠せない私に、ウサギさんは言いました。
「ルカちゃん、急がないとタイムセールに間に合わないよ! さぁ急ごう!」
なんだかわからないうちに、なりゆきでウサギさんの買い物のお手伝いをすることになりました。
ウサギさんはカフェをやっていて、お店に出す料理の食材の買い出しに来たようです。
「あっ! 魚の掴み捕りセールだ! うちのカフェは新鮮な食材にこだわっているんだ。ルカちゃん、頑張って捕ってきてくれ!」
「ええっ! ピチピチ跳ねてますよ?」
「最高に新鮮な食材だ! 僕は鶏が卵を産むのを待っているから!」
産みたて卵、ゲットだぜ!と、ウサギさんは意気揚々と行ってしまいました。
私が魚の掴み捕りセールで、跳ねる魚やタコやウツボと格闘してる間、カイルは店指定の袋にどれだけたくさんの野菜を詰められるかに挑戦していました。
5mくらいの大木に実った果物を、木に登って早い者勝ちで収穫したり、野菜が実るたびに大砲のような植物が発射した野菜をキャッチするため競争して走り回ったり、穴の中の巨大市場は大騒ぎです。
「ウサギさん…買い物とは、戦いなんですね」
ぜえはあと息切れ状態の私とカイル。
「野菜も果物も魚も取れたて新鮮だね♪ 生みたて卵も買えたし、帰ろうか」
ウサギさんは満足そうに買ったものをマジックバッグに入れ、私たちはウサギカフェへと向かいました。
木造のアンティークな店内は、テーブルも床も磨き込まれていてピカピカに輝いていました。
「今日は買い物を手伝ってくれてありがとう。ゆっくりしていってね」
ウサギさんはにっこり笑うと、私とカイルをテーブルに案内して、食事をごちそうしてくれました。
新鮮な食材で作られた食事はとても美味しくて、デザートはウサギの顔の形をしたお餅でした。
赤い目と桃色のホッペは食紅なのかな。とても可愛いお餅です。
まだ開店前の店内は私とカイルの貸し切り状態で、ロマンティックなBGMが流れていました。
窓の外に目をやると、開店時間を待ちきれないお客さんの行列が見えます。
店内では、タキシードやメイド服のウサギさんたちが開店準備を始めていました。
どうやらここは、「執事メイドカフェ」だったようです。
「私、メイドカフェに来たの、初めて」
「僕も」
初めての執事メイドカフェに、ワクワクドキドキです。
ウサギさんと一緒に穴に飛び込んで、不思議の国のア〇スの世界は見れなかったけど、初めて執事さんやメイドさんに「お嬢様」と呼んでもらえました♪
0
あなたにおすすめの小説
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
レイルーク公爵令息は誰の手を取るのか
宮崎世絆
児童書・童話
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。
公爵家の長男レイルーク・アームストロングとして。
あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「僕って何かの主人公なのかな?」と困惑するレイルーク。
溺愛してくる両親や義姉に見守られ、心身ともに成長していくレイルーク。
アームストロング公爵の他に三つの公爵家があり、それぞれ才色兼備なご令嬢三人も素直で温厚篤実なレイルークに心奪われ、三人共々婚約を申し出る始末。
十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレイルーク。
しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。
全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。
「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてるからもう誰が誰だか分からないな。……でも、学園生活にそんなの関係ないよね? せっかく転生してここまで頑張って来たんだし。正体がバレないように気をつけつつ、学園生活を思いっきり楽しむぞ!!」
果たしてレイルークは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?
そしてレイルークは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか?
レイルークは誰の手(恋)をとるのか。
これはレイルークの半生を描いた成長物語。兼、恋愛物語である(多分)
⚠︎ この物語は『レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか』の主人公の性別を逆転した作品です。
物語進行は同じなのに、主人公が違うとどれ程内容が変わるのか? を検証したくて執筆しました。
『アラサーと高校生』の年齢差や性別による『性格のギャップ』を楽しんで頂けたらと思っております。
ただし、この作品は中高生向けに執筆しており、高学年向け児童書扱いです。なのでレティシアと違いまともな主人公です。
一部の登場人物も性別が逆転していますので、全く同じに物語が進行するか正直分かりません。
もしかしたら学園編からは全く違う内容になる……のか、ならない?(そもそも学園編まで書ける?!)のか……。
かなり見切り発車ですが、宜しくお願いします。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
水色オオカミのルク
月芝
児童書・童話
雷鳴とどろく、激しい雨がやんだ。
雲のあいだから光が差し込んでくる。
天から地上へとのびた光の筋が、まるで階段のよう。
するとその光の階段を、シュタシュタと風のような速さにて、駆け降りてくる何者かの姿が!
それは冬の澄んだ青空のような色をしたオオカミの子どもでした。
天の国より地の国へと降り立った、水色オオカミのルク。
これは多くの出会いと別れ、ふしぎな冒険をくりかえし、成長して、やがて伝説となる一頭のオオカミの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる