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月夜のオウムインコさん
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さわやかな秋晴れの日。
ルカとカイルが川辺を散歩していると、川上から大きなリンゴが、どんぶらこと流れてきました。
30㎝くらいあるリンゴだったので、大きいね~、なんて言いながら、川に浮かぶリンゴを眺めていると、シャリシャリシャリ…と、リンゴの実を食べる音がして、リンゴの中からオウムインコさんが現れました。
「どんぶらこ~!」
オウムインコさんはルカとカイルを見て声を掛けました。
どんぶらこ~と流れてきたので、言葉を覚えるのが好きなオウムインコさんは早速覚えたようです。
リンゴの中から生まれたオウムインコさんは素早くリンゴの実を食べると、あっという間に成長し、ルカとカイルのところへ飛んできました。
ルカの肩にとまったオウムインコさんを見て、カイルが「可愛いね」と話しかけました。
「カワイイネ」
オウムインコさんはもっとたくさんの言葉を覚えたくなり、森へと飛んでゆきました。
森ではデート中のスモウブタさんと、ラグビーイノシシさんが「好き♪」と愛を囁きあっていました。
トゲネズミさんが「なんでやね~ん!」と突っ込んでいたり、笑いキノコが「うひょひょひょひょ♪」と笑っていました。
オウムインコさんは森でいろんな言葉を覚えたのでした。
その夜は満月でした。
山の方から、タヌキさんの腹太鼓の音がポンポコポンポコと響き、森の方からは、オオカミさんの遠吠えが鳴り響いていました。
ウォォォォォォン…
ポンポコポン♪
ウォォォォォォン…
スッポンポンのポン♪
「…タヌキの腹太鼓がマヌケすぎて、俺様のカッコイイ遠吠えが台無しになってるような気がする…」
オオカミさんはご立腹のようです。
そこへ、偶然散歩で通りかかったアライグマさんが疑いをかけられました。
「おいっ、腹太鼓の音がマヌケ過ぎるぞ!」
怒るオオカミさんにアライグマさんは不思議そうな顔をしました。
「私、タヌキさんじゃないですよ~。ほら、尻尾もシマシマだし、目の周りの黒い部分も多いでしょう?」
「そんな細かいとこ見てないよ。そっくり過ぎるよ」
「ですよね~。よく間違えられちゃって~」
それじゃ、とアライグマさんは行こうとしましたが、突然、暗闇から声が聞こえてきました。
「カワイイネ」
オオカミさんは驚いて、
「なにっ! 俺様がカワイイだとぅ? カッコイイの間違いだろう!」
「スキ!」
「えぇっ? さっき会ったばかりじゃないか!何言ってるんだ?」
「ウヒョヒョ!」
「何笑ってるんだよ? オオカミの俺様をからかってるのか?」
「ナンデヤネ~ン!スキ!」
こんなに情熱的?に迫られたのは初めてのオオカミさんでした。
「そんなに俺が好きか?」
「スキ!カワイイネ!」
「そこまで言うなら友達になってやろう」
オオカミさんの目がキラリと光りました。
「はい?」
自分が話してたと思われてるの?と、アライグマさんは焦りました。
誤解を解こうとしたけれど、オオカミさんはアライグマさんの肩を抱いて、
ウォォォォォォン…
と、カッコよく遠吠えを決め、切れ長の流し目でアライグマさんを見つめたのでした。
「オオカミさん、カッコイイ…♪」
アライグマさんは、押しに弱いタイプでした。
ポンポコポンポコポン♪スッポンポンのポン♪
ふたりを祝福するように月夜に響くタヌキさんの腹太鼓は、二重奏になっていました。
オウムインコさんは、腹太鼓の音も覚えたようです。
オオカミさんに、スキ!と言っていたのも、オウムインコさんが覚えたての言葉をよく分からず話していたのでした。
オオカミさんとアライグマさんは、腹太鼓の二重奏を仲良く聞きながら、満月の夜を楽しんだのでした♪
ルカとカイルが川辺を散歩していると、川上から大きなリンゴが、どんぶらこと流れてきました。
30㎝くらいあるリンゴだったので、大きいね~、なんて言いながら、川に浮かぶリンゴを眺めていると、シャリシャリシャリ…と、リンゴの実を食べる音がして、リンゴの中からオウムインコさんが現れました。
「どんぶらこ~!」
オウムインコさんはルカとカイルを見て声を掛けました。
どんぶらこ~と流れてきたので、言葉を覚えるのが好きなオウムインコさんは早速覚えたようです。
リンゴの中から生まれたオウムインコさんは素早くリンゴの実を食べると、あっという間に成長し、ルカとカイルのところへ飛んできました。
ルカの肩にとまったオウムインコさんを見て、カイルが「可愛いね」と話しかけました。
「カワイイネ」
オウムインコさんはもっとたくさんの言葉を覚えたくなり、森へと飛んでゆきました。
森ではデート中のスモウブタさんと、ラグビーイノシシさんが「好き♪」と愛を囁きあっていました。
トゲネズミさんが「なんでやね~ん!」と突っ込んでいたり、笑いキノコが「うひょひょひょひょ♪」と笑っていました。
オウムインコさんは森でいろんな言葉を覚えたのでした。
その夜は満月でした。
山の方から、タヌキさんの腹太鼓の音がポンポコポンポコと響き、森の方からは、オオカミさんの遠吠えが鳴り響いていました。
ウォォォォォォン…
ポンポコポン♪
ウォォォォォォン…
スッポンポンのポン♪
「…タヌキの腹太鼓がマヌケすぎて、俺様のカッコイイ遠吠えが台無しになってるような気がする…」
オオカミさんはご立腹のようです。
そこへ、偶然散歩で通りかかったアライグマさんが疑いをかけられました。
「おいっ、腹太鼓の音がマヌケ過ぎるぞ!」
怒るオオカミさんにアライグマさんは不思議そうな顔をしました。
「私、タヌキさんじゃないですよ~。ほら、尻尾もシマシマだし、目の周りの黒い部分も多いでしょう?」
「そんな細かいとこ見てないよ。そっくり過ぎるよ」
「ですよね~。よく間違えられちゃって~」
それじゃ、とアライグマさんは行こうとしましたが、突然、暗闇から声が聞こえてきました。
「カワイイネ」
オオカミさんは驚いて、
「なにっ! 俺様がカワイイだとぅ? カッコイイの間違いだろう!」
「スキ!」
「えぇっ? さっき会ったばかりじゃないか!何言ってるんだ?」
「ウヒョヒョ!」
「何笑ってるんだよ? オオカミの俺様をからかってるのか?」
「ナンデヤネ~ン!スキ!」
こんなに情熱的?に迫られたのは初めてのオオカミさんでした。
「そんなに俺が好きか?」
「スキ!カワイイネ!」
「そこまで言うなら友達になってやろう」
オオカミさんの目がキラリと光りました。
「はい?」
自分が話してたと思われてるの?と、アライグマさんは焦りました。
誤解を解こうとしたけれど、オオカミさんはアライグマさんの肩を抱いて、
ウォォォォォォン…
と、カッコよく遠吠えを決め、切れ長の流し目でアライグマさんを見つめたのでした。
「オオカミさん、カッコイイ…♪」
アライグマさんは、押しに弱いタイプでした。
ポンポコポンポコポン♪スッポンポンのポン♪
ふたりを祝福するように月夜に響くタヌキさんの腹太鼓は、二重奏になっていました。
オウムインコさんは、腹太鼓の音も覚えたようです。
オオカミさんに、スキ!と言っていたのも、オウムインコさんが覚えたての言葉をよく分からず話していたのでした。
オオカミさんとアライグマさんは、腹太鼓の二重奏を仲良く聞きながら、満月の夜を楽しんだのでした♪
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