灯火

松石 愛弓

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 侍女に案内され 部屋に入ってきたアマンダは
「義姉とふたりで話をしたいから 席を外していただける?」
 と、早速 人払いをした。
 嫌な予感が・・。

 侍女が部屋を出て扉を閉めると、アマンダは豹変した。
 そうくると思ってたけど。

「自分だけ災難から逃れて、ずるいわ!」
 鬼の形相で いきなり胸倉掴んで怒鳴るし。
 
「ずるいって言われても 成り行きで・・」
「使用人たちが皆出て行って、屋敷は荒れ放題なのよ! 買い物に行く人も食事を作る人も掃除や洗濯をする人もいない! 借金の取り立てに追われて、私たちがどんなに不便してるか分かってる? 
 うちで家事しないで ここでのんびり遊んでいたなんて許せない! すぐにうちに戻って家を片付けてお金を稼いでくるのよ! 血の繋がらないもらい子のくせに、調子に乗ってるんじゃないわよ!」
 
 パァン!
 アマンダの平手打ちが飛ぶ。
 なんでそこまで言われないといけないの?

「そこまでだ! スチュワート、君に婚約者の本性を見せてやりたくなってね」
 ロナルドさんとスチュワートさんが 衝立の影から現れた。

 スチュワートさんは 唖然としていた。
 今まで 彼の前で盛大に猫をかぶっていたのがバレた感じ。

「きっ、きみは そんな性悪ガールだったのか! 怪我人の義姉の心配もせず、今までメイド代わりにこき使っていたのか! 挙句に暴言を吐いて殴るとは! 虫も殺さないような態度にすっかりころっと騙されていたよ! 君と結婚しなくて本当に良かった! 」
 スチュワートさんは 真っ赤になって憤慨した。

「え?え? どうしてここにスチュワート様が? 誤解です! 酷いわ! 性悪ガールだなんて! 一体私が何をしたっていうの!」
 声色を可愛く変え、かよわい乙女を演じるアマンダ。往生際の悪さは天下一品だ。
「性悪ガールだから、性悪ガールだと言ったんだ!」
「酷い! そんなに何度も言ったら 本当に私が性悪ガールみたいじゃないの!」
「だから そうだと言ってるだろう! 君の所業には ぞっとした!」
 スチュワートさんは怒って部屋を出て行った。

 取り残されたアマンダは 再び鬼の形相で振り返る。二重人格者の極み。
「フィーリア、騙したわね!」
 再び胸倉を掴むアマンダの手を ロナルドさんが制した。

「騙すも何も、部屋に入るなり人払いをして フィーリアさんに無礼を働いたのは君だろう? 普通に話していれば スチュワートが見ていても何も問題は無かったはず。人が見ていないところで悪さをしたのがバレただけで、全て自業自得だ。今まで自分がしてきたことを この機会にじっくりと反省するがいい。彼は君の事を心配していた。追いかけて話をしてきてはどうだ?」

 ロナルドさんの冷たい視線に耐え切れなくなったのか、アマンダは部屋を飛び出していった。

 その後、アマンダはスチュワートさんと決別し、私を訪ねてくることは二度と無かった。

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