【3部完結】ダンジョンアポカリプス!~ルールが書き変った現代世界を僕のガチャスキルで最強パーティーギルド無双する~

すちて

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2章 アポカリプスサウンド

42話【レッドゲートへの侵入】

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 命令が下された。
 僕たちには特務捜査員としての証となる徽章バッヂが配られる。それぞれ衣服の襟などにつける。

 そしてガチャから排出されたものの中から、夢現ダンジョンで最も有用だったスキルが1パーティーに1つ配布された。
 《スキル封印》と《防御結界/投擲攻撃》の2つだ。それぞれパーティーに1つずつ。

 武藤さん有坂さん僕、森脇さん宗次郎くん雛実ちゃん、水品さん夜桜さん田村さんの3人パーティーでそれぞれ1つずつ。
 それから、初めて出た星10最高レアは剣術系特級職専用武器だったので、それを武藤さんが装備する。

 神度剣かむどのつるぎという名の剣で、武藤さん曰く、「古事記に出てくるヤツだ」そうで、他の高レア武器もアレコレと元の伝説はこれで、と話してくれた。
 僕がラノベやゲームで見知ったものもいくつかあった。

「創作で集めた知識がこんなところで役に立つとはなあ」
 そうぼやくように言いながら、神度剣を装備する。
 攻撃力が今まで見たどの武器より高く、アンデッド特攻も乗っている。

 装備の更新も行われた。杖や弓、短剣などの武具、そして特殊効果つきの装備品など。

 僕たちは死ぬわけにはいかない。
 スキルが強力なので、PKされることだけは避けなければいけない。
 与えられた役割もある。

 攻略サイトで見たところレベル5ダンジョンは夢現ダンジョンの中層くらいのモンスターしか出てこない。戦力はダンジョン内より、対人戦を考慮されている。

 身代わりの護符も全員装備する。

 
 それから、PK、PKKについての情報としては『キル後5分の猶予の間の蘇生が効けばスキルやアイテムは奪われない。そして奪われるアイテムは個人ストレージの物に限られる』ということが告げられた。

 原国さんのところへはあらゆる情報が入ってくる。ノートPC、無線、人が直接耳打ちをしにきたりもする。

 原国さんは情報処理能力がズバ抜けて高く、判断力も高いのだろう。どれだけ情報が舞い込み、それが悪いニュースであることの方が多くても苛立ちひとつ見せない。
 表情に温厚さは消えているけれど、僕は原国さんを怖いと思わなくなっていた。
 最初に忠告をされたときは背筋が冷えたけれど、今はそれが頼もしい。

「ではマップを見てください」

 原国さんがプロジェクターに映し出されたマップのレッドゲートを1つずつ指差して、どの順番でどのパーティーが攻略をするのか説明をしていく。

 僕たちの担当する地域は東京タワー周辺。
 そして、最初のレッドゲートの位置は、武藤さんのお姉さんが入院している病院内だった。


 みんなと駐車場で別れて、車に乗り込む。
 多分僕らは、走ったほうが速い。だけど車両移動なのはスキルによる器物破壊が不可能だからだ。不意打ちを防げる。

 僕らを乗せた車が、駐車場を出る。

 既に外にあるゲート周辺には、あれだけいた警察官はすでにいない。
 いてもスキル持ちでない限り、警備にならない。死傷者が増えるのを防ぐにはスキルを獲得する必要があるため、レッドゲート内で警察関係者が攻略を開始している。

 僕たちの家族については、すでにレッドゲート攻略済みの覚醒した捜査員が必ず着いて希望者から、6名で攻略する準備をしているそうだ。

 母さんからもショートメールが来ていた。僕の状況を説明して、出来ればスキルの獲得をしておいて欲しいとも伝えた。

 本当は一緒に行って、母さんを守りたい。
 だけどそれをしたいのは、僕だけじゃない。宗次郎くんたちもそうしたいはずだ。だけど、それを飲み込んだ。レベル1ダンジョンで、経験者がついて攻略なら、よっぽどの事故がなければクリアはたやすいはず。

 事故なら、今までの平和の中でも起きていたし、巻き込まれたりしなかったのは運が良かったからだ。誰なら事故にあってもいい、なんてことはない。
 それに母さんは、強い人だ。僕よりずっと、強い人だから、大丈夫だと信じている。

 それに采配は原国さんが行っている。あの人がする采配なら、信頼できる。

 それに警視庁内のゲートは、外部侵入者がいないため、外部のPKを恐れる必要がない。
 レベル1ダンジョンから攻略にあて、安全考慮を充分にすると約束してくれたのだ。

 僕も、宗次郎くんたちもその言葉を信じた。心の底から信じられた。そうできる僕らは、きっと幸運だ。説明を受け、庇護を受けることも出来る。

 だからこそ、与えられた役目をしっかりと果たさなければならない。

 僕らを乗せた車が道路を走る。自動車事故は起きておらず、道はまだ空いていた。
 戒厳令をスピーカーが告げている。
 家や建物から出ないように呼びかけていて、それでも外で動いている人はいる。
 覚醒者なのか、それとも、そうではないのかは見ただけではわからない。

 どうしても家に帰りたい帰宅途中の人かもしれないし、こんな状況でも……だからこそ働きに出る人なのかもしれないし、ダンジョンに無謀な挑戦をしに行く人なのかもしれない。
 SNSはあらゆる憶測と情報が飛び交っていて、眩暈がしそうなくらいだった。
 動画配信サイトでは、ダンジョン内のライブ映像で溢れている。

「いつまでネット見れるんだろうな」
 ぽつりと武藤さんが言う。

「俺が描いてきた話に憧れて、何人死ぬんだ……?」
 空想だった。創作だったそれが、現実に存在する。
 武藤さんの作り出したお話のキャラクター。それに憧れて、無謀なダンジョンアタックをしている動画もある。

「武藤さん、大丈夫です。ダンジョン内なら、蘇生ができます」
 有坂さんが静かに言う。

「こちらでも蘇生出来る方法があるかもしれません。攻略をしていきましょう」
 有坂さんも普段より表情が硬かった。僕ら全員が緊張していた。

 夢現ダンジョンの時は、夢の中という自覚があった。
 夢の中だから、魔術やスキルをすんなり受け入れられた。

 だけど今は、ここは現実で、突然世界が変わってしまった。
 冷静に受け止めきれることじゃないのは、みんな一緒なんだ。
 なんとか飲み込もうと、必死なのだ。

「……そーだな、なんとかしていこう。らしくなかった、悪かったな」
 武藤さんが言葉を返す。

「こんな状況で陽気でいられる人なんてそうそういませんよ。私も緊張しています」
 小さく微笑んで有坂さんが言う。
 有坂さんは基本的にトラブルが起きても、パニックをおこさず、冷静でいられる女の子だ。
 そういう格好いいところも好きなので、そんな彼女を取り乱すほど泣かせたことが余計に胸に刺さる。

 二度と、大きな怪我はしない。
 誰も、傷つけさせない。

 そのために、出来ることを考え続けることを、諦めない。

「そろそろ着きます」
 運転をしてくれている警察官の上平さんが言う。

「現着後、パーティー登録をお願いします」
 原国さんからの指示で、彼女を覚醒者にするのも僕たちの任務の1つだ。

 未覚醒者の追加、パーティー編成は、ダンジョン内でしか出来ない。
 未覚醒者にはダンジョンアプリがない。
 ダンジョン入って初めて、アプリがインストールされる。
 夢現ダンジョンと違い、他のスマホアプリも使用が可能になっていると聞いてきた。

「はい。こちらこそ、宜しくお願いします」
 車は、病院内へ入る。地下駐車場の車を止めると、レッドゲートが見える。

 レベル5ゲート。未クリア、侵入者、1名。

 その表示を見て、僕らは顔を見合わせて、覚悟を決める。

 中にいるのは、果たして、敵か味方か。それとも要救護者なのか。


 レベル5ダンジョンは、地下5階層まで。
 マップも入れてある。
 防御系バフの時間確認もした。

「行こう」

 武藤さんが言い、僕らは揃って、レッドゲートに潜った。

 

  
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