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2章 アポカリプスサウンド
59話【人の求めし悠久の夢】
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ぞわり、と背筋が冷たくなる。
最後に得たスキルカードは『不老不死』
人が、人でなくなるスキル。レベル設定自体がない、特殊中の、特殊スキルだ。
使用すれば特異点となるスキル。
人どころか、生物としての、シンギュラリィポイントを明らかに超える、能力。
こんなものまで、スキルには存在するのか。
スキルとして在る、ということは、これを取得できてしまうスキルツリーも存在する、ということなのではないだろうか。
そして、思考する僕の耳に届いたのは
『ガチャスキルがレベルアップしました。ガチャ項目が選択可能になり、スキルカード排出残り枚数を表示できようになりました』
レベルアップのアナウンス。
僕は、不老不死のカードを見る。
残り、0枚。
たった1枚きりの、スキルカード。
それを誰に使うかで、世界の運命すら変わってしまうであろう、力。
「真瀬くん、大丈夫?」
蘇生を終えた有坂さんと、武藤さんが愕然としている僕を見て心配そうな顔をしている。
「ガチャで、とんでもないカードを引いてしまって……」
僕はそれを、2人に見せる。共有ストレージはいっぱいになってしまっていて、僕の個人ストレージにそれは格納されている。
「こいつは、また厄介な」
武藤さんは唸り、有坂さんは絶句している。
ダンジョンを出て、まずは車両に移動してから話合おう、ということになり僕らはダンジョンを出る。
ひどく、喉が渇く。
今までも強力なスキルを引いてきた。
だけどここまで、逸脱したスキルは初めて見る。
ストレージから水のペットボトルを取り出し、飲み下す。
原国さんへの連絡もしなくてはならない。
これを誰に、使うべきか。
それとも存在を秘匿しておくべきなのか。
不老不死は、人類の夢見てきた最たるものの1つだ。
魔法が現実化してしまったとはいえ、あまりに、法外すぎる。
そして、絶対に、悪人に渡してはならないもの。
僕らは車両へと向かう。既に蘇生した人たちはバスに乗せられて出発した後のようで、公園内には他に誰も居ない。
太陽は既に頂点を過ぎ、時刻は午後となっていた。
「おかしい」
ぽつりと武藤さんが言う。
「どうして迎えがいない? 原国さんは部下を呼んで俺たちを車両に案内させると言っていた。誰もいない、ってのは」
武藤さんの言葉を遮るように、光線が武藤さんのいた位置を貫く。
間一髪で、武藤さんがそれを避け、剣を抜く。
光線の放たれた方向以外からも、斬撃と矢が射掛けられる。
襲撃だ。
こんな、タイミングで。
いや、こんなタイミングだからかもしれない。情報系スキルもまた、無数にあるはずだ。
伏見という男が言ったような、未知を既知にする、力が。
僕たちは攻撃をかろうじて、避けきる。
職業の共有者、そしてダンジョンを踏破してきたことで上がった個体レベルで、なんとかしのげた。
気配察知が効かない。妨害系スキルだ。
僕たちもそれは既に、ガチャで得て使用している。それを気配察知無効スキルを攻撃してきた相手も、持っている。
僕らのいる公園内の歩道はそれほど広くはない。隠れるのにも限界がある。
気配遮断、透明化、どのスキルかはわからない。
だけど、打開策は、ある。
包囲攻撃だけど、僕たちはバラけず、それぞれの背を護るように死角を作らずに固まる。
武藤さんが剣聖のスキル、そしてガチャで得たスキルを発動する。
1つは広範囲全方位剣撃、そしてもう1つは守護スキル。あらゆる物理攻撃の最もダメージ値の高いものを無効化するスキルだ。
疾風の如く斬撃が四方八方に飛び、木々を抜けて襲撃者の悲鳴が上がる。
スキル封印を返される可能性がある。
それを知った僕らは、ガチャで出たスキル、そしてショップでの購入スキルをいくつか得て、常時使用できるものはレベルを上げるために常に使用をしてきた。
「出て来いよ。面見せな」
武藤さんの言葉に、がさりと木の上から人が落ちてくる。
と、同時に有坂さんが捕縛スキルを使用。これも、ダンジョン内でモンスター相手にレベルを上げてある。
木の上から落ちた男は負傷に呻くが、体をチェーンで巻かれて動かせない。
「あと4人、いるだろう。余り手間取らせると、うっかり殺しそうだが……それでいいなら隠れていても構わない。こっちは元人間を散々切り伏せてきている。今更殺せない、なんて言い訳はしない。警告をしているうちに出てこい」
低く冷たい声音で武藤さんが警告をする。
僕たちが捕縛した男に近づくと、負傷した男女があちこちから姿を見せる。
その全てに、有坂さんが捕縛スキルを使用する。
カウンタースキルはない、と頷く彼女に僕は頷き返して、捕縛した全員にスキル封印を使う。
それを確認した武藤さんが「それで、何故襲撃をしたのか、話してもらおうか。うちの職員をどうしたのかも、な」と武藤さんが切っ先を向ける。
僕は戦闘行為の合間に、原国さんへ通話を繋いでいた。襲撃の合図を既に送っている。
すぐにでも、応援が来る。
原国さんは僕らの重要度を「一切の代えがきかない」と言い、対策をしていた。
少ない人員の中で、尚。
それ程僕のガチャスキルと共有者、有坂さんの血の蘇生術、武藤さんの剣聖は不可欠だという判断をしている。
そしてギルド。
僕が殺されれば、僕のスキルが奪われる。
コインさえあれば、いかようにも強化できてしまう力。
僕のスキルは、残りカード0枚。
つまり、カードやスクロールでは他の誰もガチャスキルは取得が出来ない。
そしてスキルが発覚すれば、それを狙う人間は、必ず出てくる。
夢現ダンジョンでの会話を思い出す。最初にそれを警告したのは、原国さんだった。
彼は正しかった。誰彼構わず、力を与えるべきではないのも。知られるべきでもないのも。
そう言った、原国さんは正しかったのだ。
チェーンに捕縛された男女が口を開こうとした瞬間、彼らの、首が落ちた。
最後に得たスキルカードは『不老不死』
人が、人でなくなるスキル。レベル設定自体がない、特殊中の、特殊スキルだ。
使用すれば特異点となるスキル。
人どころか、生物としての、シンギュラリィポイントを明らかに超える、能力。
こんなものまで、スキルには存在するのか。
スキルとして在る、ということは、これを取得できてしまうスキルツリーも存在する、ということなのではないだろうか。
そして、思考する僕の耳に届いたのは
『ガチャスキルがレベルアップしました。ガチャ項目が選択可能になり、スキルカード排出残り枚数を表示できようになりました』
レベルアップのアナウンス。
僕は、不老不死のカードを見る。
残り、0枚。
たった1枚きりの、スキルカード。
それを誰に使うかで、世界の運命すら変わってしまうであろう、力。
「真瀬くん、大丈夫?」
蘇生を終えた有坂さんと、武藤さんが愕然としている僕を見て心配そうな顔をしている。
「ガチャで、とんでもないカードを引いてしまって……」
僕はそれを、2人に見せる。共有ストレージはいっぱいになってしまっていて、僕の個人ストレージにそれは格納されている。
「こいつは、また厄介な」
武藤さんは唸り、有坂さんは絶句している。
ダンジョンを出て、まずは車両に移動してから話合おう、ということになり僕らはダンジョンを出る。
ひどく、喉が渇く。
今までも強力なスキルを引いてきた。
だけどここまで、逸脱したスキルは初めて見る。
ストレージから水のペットボトルを取り出し、飲み下す。
原国さんへの連絡もしなくてはならない。
これを誰に、使うべきか。
それとも存在を秘匿しておくべきなのか。
不老不死は、人類の夢見てきた最たるものの1つだ。
魔法が現実化してしまったとはいえ、あまりに、法外すぎる。
そして、絶対に、悪人に渡してはならないもの。
僕らは車両へと向かう。既に蘇生した人たちはバスに乗せられて出発した後のようで、公園内には他に誰も居ない。
太陽は既に頂点を過ぎ、時刻は午後となっていた。
「おかしい」
ぽつりと武藤さんが言う。
「どうして迎えがいない? 原国さんは部下を呼んで俺たちを車両に案内させると言っていた。誰もいない、ってのは」
武藤さんの言葉を遮るように、光線が武藤さんのいた位置を貫く。
間一髪で、武藤さんがそれを避け、剣を抜く。
光線の放たれた方向以外からも、斬撃と矢が射掛けられる。
襲撃だ。
こんな、タイミングで。
いや、こんなタイミングだからかもしれない。情報系スキルもまた、無数にあるはずだ。
伏見という男が言ったような、未知を既知にする、力が。
僕たちは攻撃をかろうじて、避けきる。
職業の共有者、そしてダンジョンを踏破してきたことで上がった個体レベルで、なんとかしのげた。
気配察知が効かない。妨害系スキルだ。
僕たちもそれは既に、ガチャで得て使用している。それを気配察知無効スキルを攻撃してきた相手も、持っている。
僕らのいる公園内の歩道はそれほど広くはない。隠れるのにも限界がある。
気配遮断、透明化、どのスキルかはわからない。
だけど、打開策は、ある。
包囲攻撃だけど、僕たちはバラけず、それぞれの背を護るように死角を作らずに固まる。
武藤さんが剣聖のスキル、そしてガチャで得たスキルを発動する。
1つは広範囲全方位剣撃、そしてもう1つは守護スキル。あらゆる物理攻撃の最もダメージ値の高いものを無効化するスキルだ。
疾風の如く斬撃が四方八方に飛び、木々を抜けて襲撃者の悲鳴が上がる。
スキル封印を返される可能性がある。
それを知った僕らは、ガチャで出たスキル、そしてショップでの購入スキルをいくつか得て、常時使用できるものはレベルを上げるために常に使用をしてきた。
「出て来いよ。面見せな」
武藤さんの言葉に、がさりと木の上から人が落ちてくる。
と、同時に有坂さんが捕縛スキルを使用。これも、ダンジョン内でモンスター相手にレベルを上げてある。
木の上から落ちた男は負傷に呻くが、体をチェーンで巻かれて動かせない。
「あと4人、いるだろう。余り手間取らせると、うっかり殺しそうだが……それでいいなら隠れていても構わない。こっちは元人間を散々切り伏せてきている。今更殺せない、なんて言い訳はしない。警告をしているうちに出てこい」
低く冷たい声音で武藤さんが警告をする。
僕たちが捕縛した男に近づくと、負傷した男女があちこちから姿を見せる。
その全てに、有坂さんが捕縛スキルを使用する。
カウンタースキルはない、と頷く彼女に僕は頷き返して、捕縛した全員にスキル封印を使う。
それを確認した武藤さんが「それで、何故襲撃をしたのか、話してもらおうか。うちの職員をどうしたのかも、な」と武藤さんが切っ先を向ける。
僕は戦闘行為の合間に、原国さんへ通話を繋いでいた。襲撃の合図を既に送っている。
すぐにでも、応援が来る。
原国さんは僕らの重要度を「一切の代えがきかない」と言い、対策をしていた。
少ない人員の中で、尚。
それ程僕のガチャスキルと共有者、有坂さんの血の蘇生術、武藤さんの剣聖は不可欠だという判断をしている。
そしてギルド。
僕が殺されれば、僕のスキルが奪われる。
コインさえあれば、いかようにも強化できてしまう力。
僕のスキルは、残りカード0枚。
つまり、カードやスクロールでは他の誰もガチャスキルは取得が出来ない。
そしてスキルが発覚すれば、それを狙う人間は、必ず出てくる。
夢現ダンジョンでの会話を思い出す。最初にそれを警告したのは、原国さんだった。
彼は正しかった。誰彼構わず、力を与えるべきではないのも。知られるべきでもないのも。
そう言った、原国さんは正しかったのだ。
チェーンに捕縛された男女が口を開こうとした瞬間、彼らの、首が落ちた。
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