36 / 59
第四章 上流階級
第36話 言質を取りました
しおりを挟む
「あんなこと言っちゃって大丈夫だったんですか?」
勿論さっきの学校での玲央さんの発言のことだ。だけど玲央さんは特に問題視するでもないように、ふうふう言いながら味噌汁を啜っている。
「あの場はああ言うしかありませんでしたので。放っておいたら菫さんは吉本君に持って行かれてしまいます」
実際あの後大変だったのだ。玲央さんは「そういう事なので吉本君、諦めてください」とか言ってさっさと居なくなっちゃうし、二人には「どういう事?」って質問攻めに遭うし。
唯一の救いは玲央さんが「手代木家の使用人」と言ってくれたことだ。お陰で凛々子は玲央さんのお爺ちゃんの家の使用人だと勝手に勘違いしてくれて、その凛々子の話を聞いていた吉本君もそのまんま勘違いしてくれた。あたしが玲央さんと二人で生活してるとは思わなかったようだ。
それより、一体何なんだろう、正月二日の会合って。あたしは玲央さんの家政婦として参加しなきゃいけないって事かな?
「大切な会合なんですか、正月の集まりって」
「そうでもありません」
は?
「え、だって、手代木と伊集院と二階堂が集まるからって」
「そうですよ。僕と桜子と二階堂君が手代木の屋敷に集まりますので。まあ、大切な会合と言えば大切な会合ではありますが、どうしてもその日でなければならないと言う訳でもありませんね」
涼しい顔でかぼちゃの煮物を口に運ぶ玲央さんを見て、あたしは開いた口が塞がらない。
だって! だってさ! わざわざ話に割り込んでまで止めたんだよ? あたしが手代木家の家政婦をしてるってバラしてまで中止させるほどのことですか?
「集まって何するんですか?」
「新年の顔合わせです」
「それだけ?」
「それだけですよ」
あたしが納得できないって顔してたんだろう、玲央さんは言葉を継いだ。
「厳密には桜子と二階堂君をもう一度会わせるためですよ。文化祭で一度会ったきりです。他の大人がいるところでは砕けた話もできない。ですから新年の顔合わせとして手代木家に招待するんです。そこでゆっくり話をすれば、あとはもう僕の出番はありません。三人ですと二階堂君が気を使いますし、菫さんでしたら手代木の使用人という位置づけでもあるので、僕が手伝いに呼び出すこともできます」
「それって、伊集院先輩と二階堂君をくっつけるためなんですか?」
「手っ取り早く言えばそうです。お互いが気に入らなければ、もうどうしようもありませんが、チャンスが無ければそもそも始まりませんから」
まさか玲央さんがそんなことに手を出すとは思いもよらなかった。自分の恋愛には興味ない癖に、他人のキューピッドは買って出るのか。
「でもそれなら二日にする必要なかったんですよね? いつだって良かったんですよね?」
あたしの台詞に、玲央さんは思いがけない反応を見せた。なんとも形容しがたい、強いて言うなら哀し気な目をして箸を置いたのだ。
「菫さんは、吉本君と初詣に行きたかったんですか?」
「別に、そういうわけじゃないですけど」
「では何故そんな事を聞くんですか?」
「だってその日でなくても良かったのに、あたしと玲央さんが同居してることがバレるようなリスクの高いことを言ってまで中止させたから……どうしてかなって」
そしたら玲央さん、大きな溜息をついた。溜息つきたいのはこっちです。
「わかりませんか?」
「はい」
お金の心配? 着て行く服が無いから? あ、そっか、もしかして帰りにみんながカラオケ行こうとか言い出して、あたしだけ帰らなきゃならないのを不憫に思ってくれたとか?
「クリスマスはどなたかとお出かけなさるんですか?」
「はい?」
いや、今その話じゃないですよね? 正月どうなったんですか?
「クリスマスです。どなたかとお出かけなさいますか?」
「いえ、出かけません」
「そうですか。では家で過ごされるわけですね」
「今のあたしには盆も正月もありません。絵本バッグ作らないと」
「殊勝な心がけですね。実はですね、来年あたりを目途に起業しようと思っているんですよ」
は? いや、ちょっと、それって唐突過ぎませんか?
話の流れ、おかしいですよね? 正月の話からクリスマスの話になっただけでも訳が分からないのに、いきなり来年の話ですか?
「その企画書がなかなかまとまらなくて。学校に行っているので仕方ないんですが、冬休みは心行くまで起業の準備ができます。それはもう朝から晩までみっちり」
はぁ……随分と嬉しそうですね。あたしだったら絶対に逃げ出したくなりますけど、玲央さんは筋金入りなんですね……。
「それでですね、菫さんがいないと寝食忘れて没頭してしまうと思うんですよ。菫さんが食事を作ってくれることによって、食事の存在を思い出すというか、人間らしい生活を維持できるというか」
それって、ほっといたらミイラになるまで仕事するって事ですか! 本当にやりそうで怖いですから!
「大丈夫です、どこにも行きません。玲央さんに即身仏になられちゃ困ります。あたしの高校生活かかってますから、ちゃんと三食作ってお風呂も沸かします。ですから人間らしく生きてください、お願いします!」
って言ったら、玲央さんホッとしたように再びカボチャを口に運んだ。好きなんですね、カボチャ。
「助かります。僕一人だと本当にダメな生活をしてしまうので」
「ずっと玲央さんのそばにいますから。だから安心してお仕事してください」
「はい。ずっとずっと僕のそばにいてください」
え、ちょっとそれ、なんか凄く照れるんですけど。っていうか、ずっとずっとって二回も言わなくてもいいんですけど。玲央さん、照れたりしないんですか、しませんよね、そうですね。
「はい。ずっと……そばに……います」
うわぁ、尻すぼみすぎて恥ずかしい! 照れる照れる照れるー!
なのに! 玲央さんはにっこり笑ってこう言ったのだ。
「言質を取りました」
なんですかそれー!
勿論さっきの学校での玲央さんの発言のことだ。だけど玲央さんは特に問題視するでもないように、ふうふう言いながら味噌汁を啜っている。
「あの場はああ言うしかありませんでしたので。放っておいたら菫さんは吉本君に持って行かれてしまいます」
実際あの後大変だったのだ。玲央さんは「そういう事なので吉本君、諦めてください」とか言ってさっさと居なくなっちゃうし、二人には「どういう事?」って質問攻めに遭うし。
唯一の救いは玲央さんが「手代木家の使用人」と言ってくれたことだ。お陰で凛々子は玲央さんのお爺ちゃんの家の使用人だと勝手に勘違いしてくれて、その凛々子の話を聞いていた吉本君もそのまんま勘違いしてくれた。あたしが玲央さんと二人で生活してるとは思わなかったようだ。
それより、一体何なんだろう、正月二日の会合って。あたしは玲央さんの家政婦として参加しなきゃいけないって事かな?
「大切な会合なんですか、正月の集まりって」
「そうでもありません」
は?
「え、だって、手代木と伊集院と二階堂が集まるからって」
「そうですよ。僕と桜子と二階堂君が手代木の屋敷に集まりますので。まあ、大切な会合と言えば大切な会合ではありますが、どうしてもその日でなければならないと言う訳でもありませんね」
涼しい顔でかぼちゃの煮物を口に運ぶ玲央さんを見て、あたしは開いた口が塞がらない。
だって! だってさ! わざわざ話に割り込んでまで止めたんだよ? あたしが手代木家の家政婦をしてるってバラしてまで中止させるほどのことですか?
「集まって何するんですか?」
「新年の顔合わせです」
「それだけ?」
「それだけですよ」
あたしが納得できないって顔してたんだろう、玲央さんは言葉を継いだ。
「厳密には桜子と二階堂君をもう一度会わせるためですよ。文化祭で一度会ったきりです。他の大人がいるところでは砕けた話もできない。ですから新年の顔合わせとして手代木家に招待するんです。そこでゆっくり話をすれば、あとはもう僕の出番はありません。三人ですと二階堂君が気を使いますし、菫さんでしたら手代木の使用人という位置づけでもあるので、僕が手伝いに呼び出すこともできます」
「それって、伊集院先輩と二階堂君をくっつけるためなんですか?」
「手っ取り早く言えばそうです。お互いが気に入らなければ、もうどうしようもありませんが、チャンスが無ければそもそも始まりませんから」
まさか玲央さんがそんなことに手を出すとは思いもよらなかった。自分の恋愛には興味ない癖に、他人のキューピッドは買って出るのか。
「でもそれなら二日にする必要なかったんですよね? いつだって良かったんですよね?」
あたしの台詞に、玲央さんは思いがけない反応を見せた。なんとも形容しがたい、強いて言うなら哀し気な目をして箸を置いたのだ。
「菫さんは、吉本君と初詣に行きたかったんですか?」
「別に、そういうわけじゃないですけど」
「では何故そんな事を聞くんですか?」
「だってその日でなくても良かったのに、あたしと玲央さんが同居してることがバレるようなリスクの高いことを言ってまで中止させたから……どうしてかなって」
そしたら玲央さん、大きな溜息をついた。溜息つきたいのはこっちです。
「わかりませんか?」
「はい」
お金の心配? 着て行く服が無いから? あ、そっか、もしかして帰りにみんながカラオケ行こうとか言い出して、あたしだけ帰らなきゃならないのを不憫に思ってくれたとか?
「クリスマスはどなたかとお出かけなさるんですか?」
「はい?」
いや、今その話じゃないですよね? 正月どうなったんですか?
「クリスマスです。どなたかとお出かけなさいますか?」
「いえ、出かけません」
「そうですか。では家で過ごされるわけですね」
「今のあたしには盆も正月もありません。絵本バッグ作らないと」
「殊勝な心がけですね。実はですね、来年あたりを目途に起業しようと思っているんですよ」
は? いや、ちょっと、それって唐突過ぎませんか?
話の流れ、おかしいですよね? 正月の話からクリスマスの話になっただけでも訳が分からないのに、いきなり来年の話ですか?
「その企画書がなかなかまとまらなくて。学校に行っているので仕方ないんですが、冬休みは心行くまで起業の準備ができます。それはもう朝から晩までみっちり」
はぁ……随分と嬉しそうですね。あたしだったら絶対に逃げ出したくなりますけど、玲央さんは筋金入りなんですね……。
「それでですね、菫さんがいないと寝食忘れて没頭してしまうと思うんですよ。菫さんが食事を作ってくれることによって、食事の存在を思い出すというか、人間らしい生活を維持できるというか」
それって、ほっといたらミイラになるまで仕事するって事ですか! 本当にやりそうで怖いですから!
「大丈夫です、どこにも行きません。玲央さんに即身仏になられちゃ困ります。あたしの高校生活かかってますから、ちゃんと三食作ってお風呂も沸かします。ですから人間らしく生きてください、お願いします!」
って言ったら、玲央さんホッとしたように再びカボチャを口に運んだ。好きなんですね、カボチャ。
「助かります。僕一人だと本当にダメな生活をしてしまうので」
「ずっと玲央さんのそばにいますから。だから安心してお仕事してください」
「はい。ずっとずっと僕のそばにいてください」
え、ちょっとそれ、なんか凄く照れるんですけど。っていうか、ずっとずっとって二回も言わなくてもいいんですけど。玲央さん、照れたりしないんですか、しませんよね、そうですね。
「はい。ずっと……そばに……います」
うわぁ、尻すぼみすぎて恥ずかしい! 照れる照れる照れるー!
なのに! 玲央さんはにっこり笑ってこう言ったのだ。
「言質を取りました」
なんですかそれー!
7
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない
朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。
止まっていた時が。
再び、動き出す―――。
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
衣川遥稀(いがわ はるき)
好きな人に素直になることができない
松尾聖志(まつお さとし)
イケメンで人気者
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる